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僕はテイマー  作者: 鳥越 暁
賜爵と授領、開拓
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ヤトノリュウとレーテー

◇レーシィの森・カシェの泉◇


レーテーは泉の中でくつろぎながらユリアスのことを考えていた。


「あの子、上手くやるかしら」


ツチグサレの消滅を依頼し、もう向かっていると聞く。「上手くやるかしら」などと口から発したが、ユリアスならば消滅させるだろうと微塵も心配はしていない。

数百年、ヒューマンと関わったことはなかった。アルセイデスの森の危機、ひいては世界の森の危機を託すことになったユリアスのことを考えるのが楽しいのだ。


「なんだ!? また、あの小僧のことを考えてるのか?」


そういうヤトノリュウもどこか楽しげである。


「そういう貴方も彼が帰ってから鍛錬する時間が増えたんじゃないの?」

「うん? ああ、そうだな。今度、手合わせしたらやられるかもしれないからな」


そうは言うが、龍族の中でも上位であるヤトノリュウがそんなに簡単にやられるわけがない。かといって、ユリアスを買い被っている訳でもない。


「龍族の貴方とヒューマンのあの子では、そもそも魔力量が違うじゃない」


この世界において生き物は全て魔力を保持している。

しかし、その保有量は種族によって差が大きい。ヒューマンはいわゆる魔物ではない生物の中では魔力量は大きいが、ここによってまちまちである。

ヒューマン(人)と魔物を比べると、魔力量の差は大きくなる。カラカラのような小さく弱い魔物ですら、魔力量はヒューマンより多いのだ。

ただ、ヒューマンは魔力量を増やすことができる数少ない生物であり、魔物のほとんどがその生涯を魔力量を増やすことなく終えることを考えると特異といえよう。


「ああ。だが、ユリアスの魔力の特異性にはレーテーも気づいているじゃないか」


そうなのだ。ユリアスの魔力は異質なほど質が高く操作効率が良い。スキル発動や身体機能を操作するのに必要な魔力量が極端に低いのだ。簡単に言えば燃費が良い。

現在、ユリアスは80の魔力量を持っているが、実際には800の魔力量を持っているのと同様なのだ。その値は下位の龍族にも匹敵する。ちなみに、サリナやアンフィは凡そ200魔力をヤトノリュウは12,000魔力である。


ユリアスはギルド登録した3年前まで25魔力量だった。僅か3年で80にまで延ばしたのは異常なことだ。下手をすると今年中にでも100に、すなわち通常値で言う1000程にもなるかもしれない。

ヤトノリュウからすれば足音をたてて後ろから迫られているような感覚である。


「それに魔力穴(まりょくけつ)の解放ね。私が加護を与えたから、既に水系の穴は20/40くらい解放されているわよ」


魔力は身体の魔力穴から解放され、様々なスキルを発動するのだ。


「そうだな。俺との手合わせで一気に解放穴が増えたのは驚いたよ。それに火系も1穴、風や土の魔力穴も開きそうだぞ」

「ええ。末恐ろしいわね」

「うむ。血筋か?」

「はっきりとは確かめようがないけれどね。多分、原始神の血脈でしょうね」

「なっ!? 源の神か! 」

「いずれは多種な者達を統べるでしょう。悪戯の神あたりがわざと私たちと引き合わせたっぽいわよ」

「………」


2人はなんともスケールの大きい話をしている。


「今回のツチグサレの件を終えたら、おそらくは人種(ヒューマン)では1・2の力を持つわよ」

「なるほどな。人だが「人に在らざる者」ということか。

ならば、今後は同士となるな。まずは森を1つ任せるように動いてみよう」

「そうね。神託や易占で上手く誘導しようかね」


話を終えた2人は早速動きだすのである。




◇カラブレット城(王宮)◇

城内の神殿の神官がイブロスティ女王と謁見し訴える。


「ご神託がありました。東端の蟻を統べる者に森を与える。それを補佐せよ……とのことです」


「はあ!? 」


「わ、(わたくし)も夢かと思いましたが、神官長である私も他にも数人がご神託を受けております」


「そ、そう。ご苦労さま。神託の件は他言せぬように」


「ははっ」


それから占星術など信用していないが、慣例として城に置いている。占星術師も同様なことを言上してきた。


直ぐに直属の諜報・調査部門が神官達や占星術師を調べる。よからぬ企てをする者が背後にいないか徹底的に。


その結果、そのもの達に繋がりはなく、身辺も潔白だった。


イブロスティ女王は直ぐにグオリオラ公爵を呼び談合。その後でいく人かの貴族を呼びつけるのである。



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