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僕はテイマー  作者: 鳥越 暁
賜爵と授領、開拓
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魔物狩り(4) ガディアナチーム

ガディアナチームはガディアナを中心として、サリナ系のジバールとボタインだ。ガディアナにはユリアスの間接テイムモンスターとしてフェントカゲのカエルナも一緒にいる。


普段、ガディアナはパドレオン男爵領の幹部とムネアカアントラー以外とはあまり交流を持たない。決して他排的という訳ではなく、単に機会がなかったのだ。

今回のツチグサレ消滅部隊にはムネアカアントラーはガディアナとスイレンだけだ。

元々、アントラーに比べてムネアカアントラーは数が少なく、総員で15名ほどしかいない。数は少ないが彼女らは十分に役をこなしている。ある者はカシェの泉の守護に赴き、他の者はコルメイスの水路の整備などを担っている。

もちろん、彼女達も交代で軍役についているので、武力も持ち合わせているが、役割としては小さいといえる。


ユリアスのテイムモンスターと間接テイムモンスターの2人は別枠扱いなのだ。もっとも最近はムネアカアントラーの時期女王に決まった者も成長してきている。


そんなムネアカアントラーを率いるガディアナの人材育成は厳しい。


ガディアナチームは巨大なガマガエルの魔物『ゲロゲロン』と対峙している。

(つがい)だったのだろう。1匹のゲロゲロンはカエルナが【アクアランス】で貫いた。


「カエルナ。もう1匹は倒しちゃダメですよ。ボタインに倒してもらいますからね」

「キュキュ!」

「治癒・回復持ちのジバールは支援にまわりなさい」

「はい」


ジバールは【治癒・回復】スキル所持者だ。スキルレベルは2。


「いいですか。ゲロゲロンは長い舌しか攻撃手段はありません。その代わり防御力がとても高いですからね。ガマガエルのくせに水系の攻撃に弱いのですけれどね」


水系の攻撃に弱いということはガディアナやカエルナにとっては相性が良い。ボタインやジバールは支給された剣に火属性が付与されているだけで、特段に属性攻撃の手段はないの。


ボタインは剣を抜かず、ゲロゲロンに拳を叩き込む。しかし、ぼよんっと弾き返されてしまう。ならばともっと力を込めて殴るが、力を込めた分、先程よりも強く弾かれる。それを数度繰り返す。その間にゲロゲロンの鞭のような舌が襲うが、それを躱すのは苦ではないようだ。

ゲロゲロンに効いた感じはしない。


ボタインは十数回目の攻撃の際につまずいて体当たりのような形になってしまった。


「ゲコッ」


ゲロゲロンから小さく鳴き声が漏れた。そして、僅かだが体がぶれた。


「ん!? 効いたのか?」


それを確かめるために距離を取り肩から強く当たる。ショルダーアタックだ。


「ゲココッ!」


明らかに効いている。


「ようし!」


それから何度も何度も体当たりをかます。途中でボタインに回復してもらいつつ、肩に魔力を纏い当たる。


「ゲココココッ!」


やはり魔力を纏った方が効く。

ゲロゲロンの外皮の反発力には点よりも面の攻撃が内部に浸透するようだ。拳よりも肩の方が面積は広い。

俄然、やる気の満ちたボタインは繰り返しショルダーアタックを繰り返す。


「大分、弱りましたね。もう、ほとんど反発していません。ここまでくれば剣で止めをさせるのでは?」


ボタインを回復させて見守っているジバールがそうガディアナに言うが、ガディアナは首を振る。


「いいえ。最後まであの攻撃でやらせます」


ガディアナに何かの意図があるのだろう。ジバールはそれ以上は何も言わずに静観することにした。


それから二十回ほどのアタックで、とうとうゲロゲロンはひっくり返り瀕死状態だ。


「次で仕留めます!」


ボタインが攻撃態勢をとったところで「待ちなさい」と言って、ガディアナが止めた。


「ボタイン。貴方は28回の攻撃でここまできました。体力・魔力を回復し、次はもっと少ない回数で倒してみなさい」

「はい? 次とは?」


ボタインもジバールもガディアナの言っていることが分からない。

ガディアナは腰袋からマンマルポーションを出し、ボタインに手渡す。


「回復ならば私がしますが?」


ジバールが自分が回復すると言うのだが、またしても首を振る。


「貴方が回復するのはボタインではありません」


ガディアナはすっと指を指す。


「ま、まさか!?」

「そのまさかです」


ガディアナの人差し指はゲロゲロンに向いていた。


「な!?」



ガディアナはゲロゲロンを回復させて、再び倒せと言っていた。


それからボタインはゲロゲロンを倒す。倒してはジバールが回復させて、また倒す。それをなんと10回も続けた。


そして、11回目。


「テヤーッ!」


『ボンッ』


とうとう一撃で倒したのだ。もう魔石となってしまったのだから、回復させようもない。数時間に及ぶゲロゲロン退治は終わった。


「グアァァァッ!」


いきなりボタインが叫び気を失った。


「どうしたのだ!? ボタイン!」


慌ててジバールが抱き抱える。

しかし、ガディアナは慌てていない。


「心配することありません。最後にゲロゲロンを倒したのでレベルが上がったのですよ。ジバールは回復の手助けをしてあげなさい。あっ、貴方もポーションを飲んでおきなさいね。貴方も度重なる回復スキルの使用でレベルが上がったのですからね」


そう二人は驚くべき成長を果たしていた。


なんとボタインはレベルを7つもあげてレベル10のBランクになり、強力な【突進】スキルを得て、そのスキルもレベル7だ。元々持ち合わせていた【金剛】スキルも5レベルまで上がった。

ジバールはBランクまでは伸びなかったがレベル8とCランクでも上位となり、【治癒・回復】スキルは6つも上がって9レベルだ。

ガディアナのスパルタ特訓恐るべしである。


二人の成長を(いざな)ったガディアナだが、この数時間、MAXレベルの【範囲隠匿】スキルで空間を保護してきた。その成果なのか、保護空間での二人の成長が起因してか、彼女もムネアカアントラーレベルが1つ(11Lv.)、【女王の支配】スキルも1つ(Lv.4)となる。


「あら、私もお零れをいただいたわ。うふふ」



ガディアナチームは結果としてはゲロゲロン一匹を倒しただけだが、十二分すぎる成長を得てベースへ戻るのである。

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