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僕はテイマー  作者: 鳥越 暁
テイマー初級編
31/147

vsリザードマン (1)

 僕はマーベラ(変化体)の背に乗り、ゼル村へ急いでいる。

 訓練所でファイヤーサーベルの魔術訓練をしていたとき、急報が入った。ゼル村にリザードマン(トカゲの獣人)が10名襲来し、村長が重傷を負ったという。村人にも怪我人が出ており、村からリザードマン撃退の依頼が寄せられた。


 ゼル村には護衛任務で定期的に行っているマーベラは、憤然としている。

 僕はマーベラのほか、ルドフラン、ラトレル、ツキシロ、それにアントラー族の治療スキル持ち2名、さらに最近チェンジヤー団に加わったワイルドキャッスルの新人3名を連れて急行した。



「村長! 大丈夫か!?」


 村長の家に飛び込むなり、マーベラが声をかけた。村長は苦しげだが、意識はあるようだ。


「ルドフラン。治療を! 他の治療持ちは村人たちを頼む!」


 怪我人たちの治療が始まる。リザードマンたちはすでに撤退したようだった。



「村長。初めまして。僕はユリアスです。

 挨拶もそこそこですが、状況をお聞かせください」


「このたびは、お越しくださりありがとうございます。マーベラ殿のご主君様でいらっしゃいますね。

 実は突如としてリザードマンどもが現れ、村のチーズを奪い始めたのです。何とか抵抗いたしましたが、この有り様でして……い、いててっ……」


「無理をなさらず、ゆっくりで構いません。リザードマンたちは、今は村にはいないのでしょうか?」


「はい。奴らは持てるだけのチーズを奪い、去っていきました。ただ……『明日もまた来る』と言い残していったのです」


「分かりました。

 ルドフラン、治せそう?」


「もちろんです。マンマルポーションもありますので」


「そうか。頼りにしてるよ」


 詳しい話は治療が終わってから聞いた。



 リザードマンたちの目的は最初からチーズの奪取だったらしい。

 ゼル村のチーズは上質で知られ、村の収入の8割を占める重要な産品だ。酪農の村にとって、死活問題といえる。しかも奴らは「明日はチーズの他に金銀財宝も用意しろ」と脅していったという。


 一番怒っているのは、村長と酒を酌み交わすほど親しいマーベラだ。

 実はワイルドキャッスルの新人3名も、かつてこの村の家畜を狙っていて、マーベラに捕まり、そのまま傘下に入った経緯がある。



 リザードマンはトカゲの獣人で、筋力が強く、硬い皮膚を持つ。太く長い尻尾は強力な打撃武器で、剣も扱うという。Bランクに分類される魔物だが、弱点は喉と頭頂部だとされている。



「よし。明日は僕とマーベラ、それにルドフラン、ラトレル、ミドリで迎撃に回ろう。

 残りのみんなは村民の警護をお願いしたい。

 ツキシロは警護隊を見てもらえる? 落ち着いたら、僕たちとも合流してほしいんだ」


「分かりました!」


 ミドリはワイルドキャッスルの新人で、尾の付け根が緑色なことからマーベラが名付けた。ミドリに従っていた2名は、ウスミドリとキミドリという。実にマーベラらしいネーミングだ。



「俺もリザードマンと戦いてえ!」


 ウスミドリが迎撃隊に加わりたいと駄々をこねる。


「チェンジヤー団心得・其の一!」


 マーベラが一喝すると、ウスミドリはびくっと肩を震わせ、


「わ、分かった。警護する……」


と大人しく引き下がる。チェンジヤー団心得とは一体何なのか。後で訊いてみよう。



 翌朝。見張りをしていたツキシロがリザードマン接近を知らせてきた。


「10名です。特に警戒する様子もなく、悠々と歩いてこちらへ向かっております」


 悠々と、だと……!

 初めて対峙する相手だし、Bランク相手だから苦戦するかもしれないけれど、こちらも戦力は揃っている。マーベラ、ルドフラン、ラトレルはBランクだ。



 村の東の入口でリザードマンたちと対峙する。


「ふん! 村に雇われたか? 怪我するだけ損だぞ、人間ごときが! ね!」


 大将格の一体が吐き捨てる。

 僕らは皆、人間の姿をしているから、どうやら相手は全員人間だと思っているらしい。


 黙ったまま睨みつけていると、数体のリザードマンがこちらへ踏み込んできた。



「ぐあっ!」


 瞬時にミドリが人型を解き、ワイルドキャッスルの姿となる。そのまま一頭のリザードマンの喉笛に食らいつき、噛み千切って倒した。

 続けてルドフランが刀を一閃。二頭目のリザードマンが地に伏し、魔石へと変わる。


 リザードマンたちの顔色が一変する。


「ぬっ! 変化師か!? 中々やるな。皆、油断するな!」


 その声を合図に、敵の動きが変わった。隙がなくなり、全身がうっすらと魔力を纏い始める。身体強化だろうか。



「ラトレル、ミドリ、左の3人をお願い!

 僕とルドフラン、それにマーベラで残りの5人を相手にするよ!」


「了解!」


 僕たちもすぐに態勢を整える。

 敵の連携を許すと厄介だ。僕らは村を背にする形で二手に分かれた。


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