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僕はテイマー  作者: 鳥越 暁
テイマー初級編
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鍛錬(7) 群れのリーダーになる

ワイルドキャッスルが目覚めた。


「お前、名前は何という?」


「えっ?僕? 僕はユリアスだよ」


いきなり問われて面食らう。初めての会話らしくはあるけれど。


「いきなり失礼ですね!貴女!」

「まあまあ、サリナ、気にするなよ」

「いいえ。お母様の仰る通りです。命の恩人に対する口の利き方ではございません!」


サリナとアンフィが怒っている。横にいるルドフランやラトレルも口をへの字にして怒っているようだ。


「ふんっ」


とワイルドキャッスルは彼女らを一瞥した。

その後で僕に向かっていう。


「ユリアス。礼をいう。命をもらった」


そう言いながら近づいてきて僕の手を取ってペロリと舐めた。


「なっ!?」


「んまーっ!この無礼者!」


すわっと周りのもの達が立ち上がったけれど、僕はそれを制して宥めて座らせた。


「お前達には関係ないわ。

ユリアス。アタシはお前に従うよ。今日からお前はアタシの群れのリーダーよ」

挿絵(By みてみん)

「はあ?ち、ちょっと意味が分からない!」


「なぜ分からない? 群れのリーダーであるアタシを救ったんだもの、お前がリーダーだ」


そう言いつつ、ゴロゴロと喉を鳴らして、また手を舐めてくる。


「ご、ごめん。きちんと話しよう。まずは落ち着いて!」

「アタシは落ち着いてるけれど?まあ、いいわ。何を話す?」


それから無礼だといきり立つサリナ達を宥めて話をすることにした。認識の違いから話は長くなったけれど、要約するとこういうことだ。


助けたワイルドキャッスルは8頭の群れのリーダー。狩りの途中でムービンローズの刺の睡眠効果でウトウトしている間に触手に捕らえられた。噛みちぎろうとするがその間にオークに襲われたと。数時間あの状況だったらしい。


「あの時、アタシの魔力は急激に減って死がみえたわ。でも、ユリアスが助けてくれた」


「うん。助かって欲しいと思ったから嬉しいよ」


「ユリアスが魔石をくれたでしょ!?

あの時、身体の中でアタシの魔力よりユリアスの魔力の方が大きくなったのさ」


「へーっそうなんだ」


「そ、その時点でアタシの主ってことになるんだけどね。でも、時間が経てば、またアタシの魔力に戻ってくるはず」


「だろうね」


「それでさ。アタシは死にかけだったからさ。中々魔力増えないじゃない?」


「うん」


「最後のトドメにもう1個魔石をもらった。その時にアタシの身体の魔力はほとんどがユリアスの魔力、少しがアタシの魔力。それが人型だったからだと思うけど、固まったんだよ」


結果的に今のワイルドキャッスルの魔力は僕の魔力を主にして元の魔力を混ぜた混合状態が出来上がったらしい。


「そこまでは分かったけれど、それでなんで群れのリーダーとかいう話になるの?」


「はあ?なんで分からない? アタシの命を救い、更には魔力もほとんどユリアスに染められたのよ?」


「うーん。そうなのか?でも、ごめん。その話は無理だよ。僕は明日には人の町に帰らなくちゃならないんだ」


そういうと『むうん…』と考え込んでしまった。

そんなワイルドキャッスルを放っておいて、僕らは明日の荷造りをはじめた。晩のご飯となりワイルドキャッスルにも声をかけた。


「アタシも付いて行く」


「えーっ!?どうして?」


「アタシの身体をこんなにして置いていくのか?」


魔力のことはほっといても、確かに人型にしてしまったのは僕の責任ではある。さすがに裸はまずいので今はサリナの予備の服を着てもらっている。ワイルドキャッスルは健康的な美人だ。


「それに魔力を染められた以上、アタシの主人はお前だ。ユリアス」

「ごめん。僕はこれ以上テイム出来ないんだ。それにテイムできる数が増えたら先約があってね」


僕がアンフィに目をやると、アンフィは顔を紅くして目を潤ませていた。


「そんな契約などいらない。アタシの主人はユリアス、お前となったのさ」


「うーん。どうすればいいかなぁ」


「迷う必要はない。決定事項だ!

それに先程の群れのことだが、リーダーが他の者に仕えるとなると、やっぱりその者がリーダーだ!」


とても、頑固だ。


「仮にだよ。僕がリーダーとなってもこの森には僕はいないんだよ?リーダー不在ってダメでしょ?」

「問題ない!」


即答かよ!


「群れごとついて行く!」


「「「「「はあーっ!?」」」」」


みんなの驚き声が揃う。


僕は彼女にマーベラと名をつけ結果的にワイルドキャッスルの群れのリーダーとなった。

それを了解した瞬間に『ビン』と音がした。音を聞いた後で僕は気を失った。


「う…」

挿絵(By みてみん)

身体の節々の痛みで目が覚める。どうやら一晩寝てしまったようだ。僕が目覚めたとみんな大騒ぎしている。サリナとアンフィは泣いている。


「良かったです。魔力は安定しておりましたのでご無事だとは思いましたが心配でした」

「まったくです。あー(涙).安堵致しましたわ」

「ごめんね。急激なレベルアップで身体と魔力が追いつかなかったみたい。もう落ち着いたよ」


成長痛のような感じだ。

周りをみるとマーベラの周りに8頭のワイルドキャッスル達がいる。そのうちの1頭は小さい。子供のようだ。

挿絵(By みてみん)

本当に街に付いて来るようだ。


僕、サリナやアンフィ達のアントラー族が14名、ワイルドキャッスルが9名(頭?)、合計24名の結構な大所帯で帰ることになった。

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