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僕はテイマー  作者: 鳥越 暁
伯爵昇爵と領内経営
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食料事情と狩り

「旦那様。食料の値段が上がっているようですよ」(サリナ)


冬場はボアトルなどは出てこないから、品薄なのかもしれない。


「お肉もそうですけれど、野菜も少ない季節ですからね」(アンフィ)


「それじゃあ、貧しい人達は困っている?」


この問いにサリナもアンフィも首を傾げた。なぜだ?


「あの、貧しい人達とは、具体的にどんな人達でしょう?」(サリナ)


「だから、貧乏で食料も買えないような人達。収入の低い人達だよ」


「そんな者達いないわよ」


会話に割って入ったのは姉さんだ。


「この領に住んでいる者はそれなりの収入があるの。仕事があるからね」


そうなのか。それはいい事だ。


「サリナやアンフィの言っているのは、食料の絶対数が足りないってこと。お金があっても物がないなら買えないじゃない」


えっと経済の本で読んだことがあるぞ。そういう時はがめつい人が儲けるために買い占めたりするんだよな。


「そんな人もいないわよ。貴方が商業組合みたいの作ったんでしょ!? 」


商業組合じゃなくて「商業会議所」ね。

そうか、きちんと機能しているようだ。


「それにあくどい事をしてこの地を追われることになったら大変ですもの。

この地より良い所はないのですから」(アンフィ)


「そういうこと! その品薄状態も三日前の大雪のせいなのよ。他領からの荷が運べないから」


なるほど。雪で流通が止まっているのか。


僕の領は(魔)野菜の自給率は低い。アイーダ草原を畑用に拡げても良かったのだけれど、農業というのは手間がかかる産業だ。他から買った方が早いし、その分の収入はあるのだから。

食肉に関しては、そこまでは低くない。魔物が退治されて、その肉が手に入るので。魔物以外の豚肉や鶏肉は交易しているけれどね。ちなみに魔物の肉の方が断然、美味しい。


しかし、いつ荷が入ってくるか分からないし、領民が困っているなら何とか手助けしたい。


「大量ではありませんけれど、研究所で飼育している魔物用に栽培している野菜をある程度放出しましょうか?」


アンフィ。そんなことしていたんだ!?

何の魔物を飼育しているかは聞かないでおこう。その方がいい気がなんとなくするからね。


すぐに(魔)キャベツを1トンほど放出する手筈となった。


「じゃあ、アタシ達は狩りをしようよ!

ユリアスがたまに皆の目を盗んでウサギ狩りに行ってるじゃん!?」


ああ、ばらすな!

えっ? 皆知ってた? そうなんだ……。



どうして、いつもこうなるのだろう。

「ウサギ狩り」すると決まったら、参加者希望者がふえた。

幹部と言われる人は全員だ。

全員という訳にはいかないのでウサギ狩りは二日に分けて行うことになった。


「ちょっとーっ! 私は聞いてないんですけれど!? 私も参加する!」

「もちろん、私もです!」


チョコレッタとファーファだ。

チョコレッタは分かるような気もするけれど、ファーファが乗り気なのは珍しいな。面倒くさがりなのに。


「だって、ウサギ鍋って美味しいじゃないですか! たくさん狩ってお腹いっぱい食べるのです!ふんすっ!」


ふふふ、あまりに正直すぎて笑える。


「分かった分かった」


袖を引かれて、隣を見ると期待に満ちた目で見あげている三人がいた。

ティアとラナとマーだ。


ウサギ狩りはそれほど危険ではないし、いいか。と子供達も参加。

さらにどこで聞いたのかマリアも参加を希望してきた。しょうがないなあ。


一日目だけの参加はルドフラン、ツキシロ、ユリーネ、イーナ、イード

二日目だけの参加はラトレル、ビュウロン、ニーナ、リグネール、ニノトーラ。


他の者達は両日参加。

僕、奥さん達、姉さん、ガディアナ、チョコレッタ、ファーファ、クロム、子供達、プティラーナとデーアビントル数名、イスカンダリィ公爵祖父孫コンビなんかだ。


かなりの人数だよ!?


これじゃあ、皆が楽しめるように仕掛けが必要だな。仕掛けには一日必要なので、二日後に狩り本番にする。

明日は仕掛けをしてこなくちゃ。




----狩り当日----


朝、皆が一面の雪原となったアイーダ草原に集まった。


「皆、かんじき履いてね。雪の柔らかいところだと大分沈んじゃうから」


空の待機組であるプティラーナ達デーアビントル組以外がかんじきを履いた。


「ええと。今日狩るのは『ジャンピングラビット』という50cmくらいのウサギの魔物」


狩りの仕方を皆に教える。


ジャンピングラビットは雪の上に小さい物を置くと飛び出してくる。それを弓で狙う。

雪の上に置くのは大きすぎても出てこない。大きくても掌より少し小さいくらい。

おびき出すために雪上に撒くために、(あらかじ)め木片を沢山用意してある。それを皆に分けた。


「これを雪の上に放るでしょ。すると、丁度五つ数えた時に飛び出すんだ。飛び出す高さはだいたい10mくらいかな。

そこを狙って弓で狩る。簡単でしょ」


空中に居るのは4から5秒くらいかな。もう少し長いかも。だいたい、それくらいの時間。



「アンフィ様。ご存知でしたか?」(クロム、ひそひそ)

「いいえ。知らなかったわ。興味深いわね」(アンフィ、ひそひそ)



「仕留めたウサギはすぐに『状態保存魔法薬』を掛けてね。1、2滴で大丈夫だから。これはデーアビントルの人達が手伝ってあげてね」

「はい」


獲物の確保と魔法薬を垂らすのために彼女達に同行してもらったんだ。


僕はコロン族に魔法薬が出る特注の矢を作ってもらったので、改めて掛ける必要はない。時間がなくて皆の分は用意出来なかった。


「ちょっと待って!その矢、見せて!」


しまった! 姉さんは武具コレクターだった。目新しい矢に喰いついてしまった。


「1本あげるから!」


手渡すと嬉しそうに矢筒に仕舞う。




「さあ、狩りを始めよう!」



人物説明

マー……マーネーラ。スネークタイガーのリグネールの娘。


ラナ……マーベラの娘。ユリアスの養女。

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