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僕はテイマー  作者: 鳥越 暁
伯爵昇爵と領内経営
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学校建設は大規模に!?

ゼル村やシロコ村から子供達の教育をして欲しいと頼まれて、学校を建てることにした。学校と言っても、村の子供達は十数名なので、小規模の学校だ。


そのはずだった。


今、コルメイスから100km、僕の領の端っこであるゼル村からでも70kmも離れた東のアイーダ草原の中に学校の建設が行われている。僕の領からかなり離れた所だ。


なぜ、そんなことになったのか。


「村民の子供達に礼節を教える意味合いの他に、将来の人材を育てる思惑もあるのでしょう?」


とサリナが言ったからだ。

領内では人材が不足しているのだ。幾人かは領運営に携わってくれたらいいなと呟いたのを聞いていたらしい。


「なるほど。それならば、我らが求める人材を育成するための学校にせねばなりませんね」(ルドフラン)


ということで、どんどんと話が大きくなっていった。


「面白そうじゃの」(テッテラ)


「私も協力させてくれ」(テノーラ)


いつの間にか別荘住いの二人も話に加わっている。


「村の子供達に負担にならない?」


「そこは優遇しましょう。きっかけを作ってくれたのですから」(サリナ)


こうして、あーだこーだと話し合われた結果、大分離れたところに「学園」が建設されることになったのだった。

4k㎡の広大な学園だ。さらに周囲に付帯する街も作られて、学園都市になる。

学園の出資はパドレオン伯爵家を筆頭として、イブさんの「イブロスティ財団」、急遽作られた「イスカンダリィ財団」と「テノーラ基金財団」が主だ。

姉さんは「出資は受付けるけれど、運営はユリアスの任じた学園長に一任よ」と方針に口を出さぬように釘を指していた。さすがだ。



「それで、いつぐらいに出来るの?」


「話が具体的になってから半月程なので、そろそろ出来るでしょう」(サリナ)


「ええーっ!? はやっ!」


「道路の整備も終わりましたし、ブカスの森街区も目処がたちましたから、全力全速で建設させていますもの。周囲の街は今後に追々とですけれどね」



それから4日後に本当に出来たと報告があった。


広大な学園の施設が出来たのだが、果たして生徒が集まるのだろうか。

何しろカラブレット王国の一番端っこの辺境地だ。


「その杞憂は必要ありません。既に500名を超える応募があります」


「そんなに!?」


王国中から集まったそうだが、特に東側の各地からの応募が多いようだ。

おそらく、色々な手段で募集したのだろう。


「特に我々は募集しておりませんよ。陛下やグオリオラ公爵が方々で話されたのでしょう」(アンフィ)


そうなのかあ。

内訳を聞くと、半分くらいは商人の子供達。それに学費の高い王都学院に通わせられない貴族の子供が次いで多いらしい。ゼル、シロコ村の子供のような庶民が20数名いるのは嬉しいことだ。


「学園の名称ですが、『ユリアス学園』でよろしいですか?」


それは嫌だ。もう既に僕の名前が付いている「ビレッジユリアス」や「ユリアス魔物・魔術研究所」がある。そんなに僕の名前をつけたくないよ。目立つじゃん。


「学園長はサリナにお願いするから、『サリナ学園』でいいんじゃない!?」


「 それは駄目です。私は旦那様がいてこそですから」


僕達が譲り合っていると、


「街の名を冠するのはどうですか?」


とガディアナが僕らの間に入った。

そういえば、学園の周りに作る街の名も決めていなかった。


「希望を意味する『ナデージダ』ってどう?」


「いいじゃん!」(マーベラ)


皆も賛成して呆気なく決まった。


学園の名前は「ナデージダ総合学園」、全寮制だ。街の名前は「ナデージダ市」となる。学園を含めてパドレオン=サリナ妃領である。


ここで僕の役割は終わり。

後は皆が決めてくれる。その中にいつの間にかテッテラさんやテノーラさんが混じっているのもいつものことだ。


教育プログラムによると初年度は基本的なこと(礼節、計算、読み書き)に加えて、適正を見た後で、魔術、武術、製造、研究等のクラス分けを行う。

具体的には、例えば魔術の授業では生活魔法等の「初級魔術」。研究の授業では「魔物識別」や「薬草識別」、といった具合だ。

僕も受けてみたい。


さらに数日後に僕は学園に赴いた。

学園の入学式に来賓として出席するためだ。

僕の他にテノーラさん、ムサ副所長の父親であるムサ公爵も来賓なのだが、なんとイブさんまで来ていた。

女王陛下が辺境の学校の入学式などに来ていいのだろうか。


「何言ってるの!可愛い弟の創った学園に来るのは当然でしょ!?」


「イ、イブさん。周りの目があるから!弟じゃないし!」


いつも通りにからかわれる。イブさんに同行しているコゾウさんも苦笑いしていた。


エリナ姉さんの司会の元、入学式が始まった。

来賓の挨拶のトップは、当然イブさんだ。


「本日入学される皆さん。このような場に来られて嬉しく思います。

(中略)

この学園で学んだ事は貴方達の将来に大きな財産となるでしょう。

なにしろ、私が信頼するパドレオン伯爵が創ったのです。

この学園の生徒であることに誇りを持って学んでください。そして、成長した姿を目にすることを待ち望んでいます。

入学、おめでとう」


さすが、歴代の王、女王の中でもカリスマ性に富んでいると言われるイブさんだ。学生達の顔が引き締まったし、その親族達は手が腫れるほど拍手を送っている。


それから、恙無く式は進行し終えた。


ナデジーダ学園のスタートだ。

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