表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕はテイマー  作者: 鳥越 暁
伯爵昇爵と領内経営
113/147

図書館

久しぶりにギルドに顔を出してみた。


ユリアスギルドは小さなギルド……だったはずなんだけれど、人がたくさんいる。


「何かあったの?」


受付をしているダンダーラに聞いてみた。


「何がですか?」


「だって、こんなに人がいるじゃない」


「ああ、最近はいつもこんなんですよ」


小さかったギルドはいつの間にか大きくなっていたらしい。


依頼書が貼られている掲示板をみると、種々の依頼がある。薬草採取、鉱物採掘、護衛、魔物退治、輸送……。


依頼を受ける者、依頼達成の報告をする者で受付に人が並んでいる。

それをダンダーラはテキパキとこなしているんだ。凄いと思う。でも、無理はしていないだろうか、心配になる。


「人足りなくない?」


「大丈夫ですよ。午後はクロムさんに変わりますから」


ダンダーラ、クロム、ステイラさんで交代でやっているそうだ。


「それにもう二人くらい雇うとエリナ様が仰っておりましたから」


早めに人を入れてあげてほしいな。


「それはそうと姉さんは?」


「エリナさんは地下3階におりますよ。呼びますか?」


「いや、呼ばなくていいけど、何してるの?」


「書籍の整理です。私も午後から合流するんです」


あれ?ちょっと待って。地下室は1階しかなかったんじゃなかったかな?


「僕も一緒に行くよ。もうすぐ午後になるからさ。ご飯食べてまた来るね」


「はい。お待ちしていますね」


昼食を済ませて再び顔を出すと、既にクロムと交代していた。食事も済ませたそうだ。


「クロムも今まで地下に?」


「いいえ。クロムさんはアンフィさんの研究室へ行かれてました」


それぞれの時間割り当てがあるみたいだ。ステイラさんは姉さんの従者の仕事をしながららしい。




僕達は昇降の魔術具に乗って地下へ降りた。


そこはとても大きな空間だった。明らかに地上に建つギルドの建物より広いだろう。120㎡ほどだという。天井も高く10メートル。

その空間に本棚が並ぶ。壁に本棚は天井まで。その他の本棚も3メートル程の高さだ。


姉さんがその一角でせっせと棚に本を並べていた。実際に並べているのは小柄な人達だけど。コロン族よりも小さい。初めて見る人達だな。その人たちが10人くらいいて、姉さんの指示であちこちの棚に本を並べているのだ。


姉さんはこちらに気づいて寄ってきた。


「こんな所に珍しいわね。何か用?」


「いや。特に用事はないんだけれどね。地下とかって来たことないから気になってさ」


「そういうことね。ここはまだ整理出来てないのよ。(地下)1階と2階は整理されてるわよ。見てみる?」


「見てみたい」


その場にダンダーラを残して、姉さんに付いていく。昇降機で地下1階に上がる。


地下1階は物品の保管庫だった。地下は全て書庫のようになっていると思っていたから意外だ。


「なんでこんなに物が?」


薬草から魔石、装飾品から古そうな布まである。


「これは依頼達成時にギルド員が得た物を買い取った物。加えて、貸出す物もあるわ」


よく分からないけれど、必要な物なのだろう。


「あのね。例えば薬師から薬草採取の依頼を受けるわね。それをギルド員が受けて赴く。

ギルド員が薬草を採取する時に魔物に遭遇して退治。当然、魔石が手に入るわ」


「そうだね」


「でも、薬師は魔石は要らない。ギルド員も自らが魔石屋に売りに行くのは手間だわ。だから、ギルドで買ってあげるのよ。

もちろん、価値を見極めて適正な価格でね」


ギルドの収入は依頼者からの依頼料を受けてギルド員への報酬の差額だ。

その他に大きな収入源となっているのが、先程の例えの様な副産物の買取なんだって。なるほどね。


次に2階に降りてみると、巨大な図書館だ。想像してはいたけれど、本棚が並ぶ様は圧巻だ。


「王宮図書館より蔵書数は多いわよ」


姉さんが胸を張る。

よくここまで集めたものだ。


「ちなみにどのくらい?」


「ざっと120万書よ。王宮図書館は禁書を含めて80万ね。いつか、禁書も手に入れてやるわ」


なんかやる気に満ちている。


「す、凄いね」


地下3階まで含めても10万冊だというから、全て整理して並べる為には、単純に計算しても10倍以上の面積が必要になる。

未整理の書籍は更に1階下の地下4階に平積されているらしい。


「し、私設図書館だよね? 」

「そうよ。もう少し整理できたら、公開するつもりよ」


ギルドのとは別の入口を作って公開するつもりのようだ。入館料で経営できたらいいなと言っている。


「経営って?」


「人件費よ。維持したり、整理したり、新たに本を探したりするのに人手は必要じゃないの」


儲けようとは思っていないらしい。


「ダンダーラを専属の司書にするわ。

そのためにもギルドの業務する人材

確保せねば」


きっと姉さんのことだから、人脈を駆使して集めるだろう。




半月後、『パトレオン=エリナ子爵図書館』がオープンしていた。



ダンダーラ……ユリアス達がアルセイデスの森で保護したオーガの少女。元オーガの一集落長の娘。現在、エリナに預けられている。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ