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僕はテイマー  作者: 鳥越 暁
伯爵昇爵と領内経営
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試行錯誤

僕らがベースへ戻ると、既にファーファ達は戻っていた。


「どうだった?」


疲れた顔をしている彼女達に聞く。


「大変だったんですよおー。蛾がばあーっと飛んできて、私もえいってやったんですけどー」


ファーファの話は要領を得ないので、スールヤに説明してもらう。


最初はジャッカロープの群れくらいで、Bランクのバンダースナッチはスールヤが倒した。ファーファも(ウィップ)でそこそこ雑魚退治したそうだ。

その後で出てきたのは蛾の魔物(魔物名不明)。気づけば「蛾」の大群に囲まれていた。パタパタ飛んで、体当たりしてくるくらいで、脅威は感じなかった。

ファーファも生き生きと打ち落していた。ふと、僕が言った「ウィンドカッター」と鞭を組み合わせてみた。


「それで出たのが、ウィンドカッターではなく「ファイヤーカッター」でした」


「うん?どういうこと? 魔法陣間違えた?」


「いいえ。おそらくですが……」


スールヤの憶測では、元々、火の属性の付いているメイスの影響ではないかというものだった。

そのファーファのメイスからのファイヤーカッターは何頭かの蛾を見事に切り落とした。

ここで問題が発生する。

切られた蛾は燃えながらあちこちに落下し、魔石に変わるまでの間に草や木に飛び火した。

後半は消火に追われたのだ。


魔術やスキルによって発生した火は、術を解除した時に消える。

だが、それによって間接的に飛び火すると解除しても消えない。(ことわり)は不明だが、火属性の術者は注意が必要なのである。


「それで副職種を得ました」

「へえ。どんな?」


「『メイス使い』です」


おお、そんな職種があるのか。ちょっと格好いい。


期せずしてのファイヤーカッターの影響か火属性のスキルも上がったという。


「えへへ。1つ上がったので、あと1つ!」


きっと、無事に上がるだろう。

チョコレッタは「ちっ。少し甘かったか」と言っている。素直に喜んであげようよ。


「ところでさ。「メイス使い」のファーファはメイスをどのくらい変えられるの?」


彼女がメイスをいくつかに変えられるのは知っている。参考にするために姉さんの所へ度々来ては「武器コレクション」を見ている。

僕が把握しているのは、(ランス)(ソード)連接棍(フレイル)(ウィップ)の4種。あれから、1年少し経つので増えていると思う。


「えっと、その他にはホルバート、刺叉、鎖鎌、薙刀、投網ですよ」


5つも増えている!でも、「投網」って武器なの?


「武器じゃないですけれど、網で捕らえてやっつけるのですよ」


臆病なファーファらしいな。

そこでふと閃いた。


「ファーファ。これに変えられる?」


ヤトノリュウの短剣を出して見せる。

ヤトノリュウの短剣は龍の鱗製だ。恐ろしいほどの切れ味。投げても敵を追尾して当たる。念じれば手元に戻ってくる。短さなど気にならないほど使い勝手がいいんだ。


ファーファは短剣をまじまじと観察して、メイスをそっくりに変えた。


「すごいね」


「形だけはですけど」


次の段階として、彼女に短剣を貸して使わせてみる。


10分程後で、メイス製の短剣は威力はかなり落ちるけれども、離れたところからの斬撃や手元に戻る効果などもコピーされた。


「ヤトさんの言うには威力なんかは保持魔力量に左右されるらしいよ」


ファーファは「じゃあ、魔力量を増やします!ふんぬっ!」と張り切っていた。


張り切るファーファの横でチョコレッタが顎に手をやり何やらぶつぶつ呟いている。


「どうしたの?」


「あのね。先程のタルウィリザードとのことなんだけれど……。私も水の属性魔法が使えるはずなのよ」


チョコレッタは火属性、土属性、風属性の魔術(魔法)を使える。今は水属性は使えていない。


「どうして?」


なぜ、水属性魔術を使えると思っているのだろうか。


「ユリアスくんが「水の加護」持ちだから」


「は?」


言いたいことは分かる。姉さん達にさんざん言われてきたし、僕のスキルの及ぼす効果も何となく分かってるけれど、ピンとこない。そんなに自信を持って言えることなのだろうか。


僕は魔術に疎いので、説明を聞く。


なるほど、まったく使えない訳じゃないんだね。「生活魔法」と言われる少量の水を出すことは出来ると。ただ、攻撃するための魔術が発動しないらしい。魔法陣は覚えているらしいんだけどね。


チョコレッタは「火の玉少女」と巷で呼ばれるくらいに火属性の魔術の威力が高い。相性の問題ではないだろうか。


「欲張らずにさ。土属性魔術の威力が上がってきたなら、それを更にって考えたら?」


「例えば?」


「そうだなあ。タルウィリザードとのことを考えてみようか」


「うん」


チョコレッタのオリジナル魔法の「ファイヤーディアゴナル」は凄いと思う。食べられちゃったけれど。

じゃあ、石の矢ならどうだろう? もちろん、ただの石ならば硬い皮膚に弾かれちゃうと思う。威力を上げるか、鋭くするかだ。


そこまで話すと「ちょっと待って」と地面に木の枝で魔法陣を描く。


「これが「火」を意味するから……。ここを「石」に変えて……」


数分後、改変した魔法陣が出来上がり、身の前で展開してみている。


「あとは実践で試してみたいわ。

私、また狩ってくる!」


結局、1時間程休んで再び魔物狩りへ戻る僕たちだった。今度は4人一緒に。

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