ギルドに入ろう
♦ブロローグ♦
僕は今日、やっとギルドに入れる。ウキウキした気持ちでここに来た。
僕が入ろうとしているのは『テイマーギルド』。開けることすら出来なかった扉を開ける。
「うわっ!ここが『テイマーギルド』かあ」
古びているけれど大きな扉を開けた中は、数多な人がいて活気がある。人だけではない。その人達には多種多様なもの達がくっついているのだ。
「ユリアス様、あちらが受付のようですよ。参りましょう」
ギルドの入口で呆気に取られている僕を促してくれたのは、僕の唯一のテイムモンスターのサリナだ。
僕は促されて、受付へと向かった。
「あの、ギルドに入りたいのですが、どうすればよいのですか?」
僕の問に受付の女性が、僕の体を上から下までじっと眺めた。そして一枚の板を取り出した。ツヤツヤしていてなんの素材かは分からないけれど、琥珀色でとても綺麗だ。
「ここに手を乗せてください。貴方のレベルとギルドに入れるだけの適性があるか判断します」
「はい」
僕は言われるがままにその板に手を置いた。すると、一瞬だけれどピカッと強い光が瞬いた。
「うわっ!」
思わず声が出てしまった。
「えっ!ち、ちょっと待って!」
何故か受付の女性が僕以上に驚いている。
そして「こちらに来てください」と手を取られて、受付の奥の部屋に引っ張り込まれてしまった。
【なになに?どうしたの?僕何かやらかした?あの板に手を置いただけだよね??】
そこは応接室の様になっていて、僕はそこのソファに座らされた。重厚なテーブルを挟んで、受付嬢は座り傍らからノートを取り出した。
「いくつか確認致します」
「はい」
「まずはお名前はパドレオン・ユリアスさん。年齢は15歳ですね」
「!!はい。でも、どうして!?」
僕は名前すら名乗っていないはずだ。
「登録・レベル判断の板に手を置いたではありませんか」
どうやら、あの板はそういうことが分かるらしい。不思議な板なんだな。
「貴方はテイマーレベル5です。このギルドの登録条件の下限です」
それは分かっている。やっとレベル5になったからここに来たのだ。
「それなのに…」
受付嬢が続けて何か言おうとした時に
『ガチャッ』と奥の扉から背の高い黒づくめの男性が入って来た。
「この子かい?」
「はい。ジュオン様。これが彼のボードです」
ジュオンと呼ばれた男性はじっと板を見ていたが、そこから目を離すと僕をじっと見た。そして受付嬢の隣にすっと座った。
「ユリアス君。私はこのギルドの副マスターのギルベルタ・ジュオンだ。よろしく」
「はい。よろしくお願いいたします」
「もちろん、君はこのギルドに登録させてもらうよ。適性も問題ない。だが、このエリナから説明があったと思うが君は特殊なようだ。少し話を聞かせてくれ」
何が何だか分からない。
「あのう…。僕は何も説明されていないのですが…」
「えっ!?…そうか、そうだったか。では私から説明させてもらおうか」
それから小一時間程、説明を聞いて、質問に答えて、ギルドバッチを貰って帰途についた。本当はすぐにでも依頼を受けたかったんだけど、なんか疲れてしまった。
明日から依頼を受けよう。