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(第12話)断罪の後で

ディラン様がアイラ様を連れてダンスホールを去った後も、生徒達のざわめきは収まらなかった。


「まさかアイラ様が帝国の皇太子殿下の婚約者の座を狙っていたなんて」

「オリヴィア様を本当に虐げていただなんて」

「ハリー殿下とはこのまま婚約を続けるのかしら」


 そんな会話がダンスホール中を駆け巡っていた。



「なっ。なんだよ。これは。主役は俺なのに」


 こんな状況でも自分が主役だと言えるヒューゴ様が信じられなかった。


「ヒューゴ様。私達の婚約など皆様にとってはどうでもいいことなんですよ」


 私はため息を吐きながら、傲慢な婚約者に話しかけた。


「うるさいっ! だいたいメイベルが婚約破棄に同意しないからこんなことになったんだろ!」

「……ご安心ください。私達の婚約はすぐに解消されます」

「はぁ!?」

「もともとこちらからお願いをしておりました」

「何を言っているんだ? この婚約はメイベルの我儘で結ばれたものだろ?」

「今までも何度か申し上げておりますが、私はヒューゴ様のことをお慕いしておりません」

「だから! 本当にメイベルは可愛げが」

「婚約は解消になりますので、もう私に話しかけないでください」

「なっ!」

「私はヒューゴ様のことをお慕いしておりません」


 なぜか唖然としているヒューゴ様に頭を下げて、私はその場を後にした。

そんな私の視界には、ノア様とオリヴィア様の姿が飛び込んできた。


「……ノア様。ありがとうございます」

「オリヴィア様が一番辛い時に助けることが出来ず申し訳ありませんでした」


「そんな……。十分です……。誰にも信じてもらえなくてもう諦めていたんです。自分の未来も、幸せも。……ノア様のおかげで……私は、救われました」


「良かった。本当に良かった。オリヴィア様が壊れる前に、間に合って本当に良かったです」

「……私を、見ていてくれたのですか? こんな私を助けるために魔法を……?」

「……僕が、もう一度オリヴィア様の笑顔が見たかっただけです」


 思わず会話を聞いてしまったけれど、これ以上は聞いちゃダメよね。

私はそっと視線を外して、ダンスホールから退場した。

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