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ビジネス地雷女

 地雷女。それは、関わる人へ精神的負荷を掛けてしまう言動をする女性のことを指す。基本的に地雷女というものは、かまってちゃん気質やメンヘラ気質などの複数の要素を煮詰めた結果生成される爆弾である。ほとんどの場合、地雷はその人の本質的な「性格」であり、本人が改善の意識を持たない限りは無限に設置される。


 誤解を避けるために言及をしておくが、当然ながら「地雷」属性を持つポテンシャルがあるのは女性だけではない。地雷を保持する者の性別が変われば、呼称も「地雷男」へと変わる。語り手である《《私》》が女性が故に「地雷《《女》》」についてを説明しただけであることをまずはご留意頂きたい。


 そんな私も所謂ところの「地雷女」である。しかし、普通の地雷女ではない。私は、「ビジネス地雷女」だ。私は私の欲望を満たすために地雷を戦略的に用いる。「かまってほしいから」や「ちやほやされたいから」といった浅い欲求ではなく、具体的に「欲しいものを得る」ために地雷を用いるのだ。対象によって火薬の量や設置場所、爆発の種類もすべて私がコントロールをするのだ。せっかくなので、過去の事例を一つご紹介しよう。


ケース1:年上の陽キャ先輩を清楚系彼女から奪う

 まずは、ものすごくタイプだった年上の陽キャ先輩を清楚系彼女から奪ったときの話をしよう。このときに用いた地雷は「R18S-|対陽キャ先輩可愛い後輩爆弾メンヘラマイン」だ。

 まずは陽キャ先輩が所属していたサッカー部のマネージャーの子と仲良くなり、何度も部室に顔を出すことで彼からの私への認知度を上げた。そして、何度も偶然を装い視線を合わせることで、こちらが陽キャ先輩を意識していることを匂わせる。ここまでは火薬詰めの段階である。続いて、こちらから連絡先を入手し以下のようにメッセージを送る。


************************************************************************

私『こんにちわ!◯◯ちゃんの友達のアイです!』

(ここで可愛いスタンプ。ハートいっぱいのやつ)


先輩『こんにちは!連絡ありがとう。俺は□□だよ。□□くんって皆から呼ばれているから、□□くんって呼んでいいよw』


私『じゃあ、□□くんって呼びますねw ところで□□くんは、彼女さんとかっているんですか?』

(ここで泣いている可愛いキャラクターのスタンプ)


先輩『いきなりだねw 去年から付き合っている彼女がいるよ!』


私『あぁ。。。そうですよね。。。当たり前ですよね、先輩かっこいいし』

************************************************************************


 ここからは流れで適当に会話を終了させる。この段階で最も大事な点は、私が陽キャ先輩に好意をもっているということを意識させるということだ。

 この後は、毎日のように明るい内容の連絡を何度も取る。可愛い(容姿的な意味のみではなく)後輩という存在から「毎日連絡を取る女の子」へと昇格させるのである。そして、清楚系彼女との幸せな純愛しかしらない爽やか陽キャ先輩に『甘い甘い禁断の果実』の味を教え込んでいくのだ。

相手の反応を見ながら、数日から数週間ほど続けたあとは一気に彼から身を引く。つまり、急に冷たい態度を取るのだ。そこからの流れは以下の通り。


************************************************************************

先輩『勘違いだったら申し訳ないけど、最近冷たくない? なにかあった?』

(ここから少なくとも一時間は既読をつけない)


私『いいえ。別に』


先輩『いやいや、明らかに冷たいよね』

(ここからは既読をつけてから一時間放置)


私『ごめんなさい。この前、彼女さんと一緒に仲良さそうにしているところを見ちゃって。やっぱり、私には居場所が無いんだなって思っただけです。ずっと先輩を避けてたのは、面倒な女だって思われるの嫌だっただけです』

************************************************************************


 この後に、私を肯定するような反応を示せば勝利はほぼ確定。後はウジウジと嫉妬の度に冷たくすれば陽キャ先輩は自分のものとなる。上記の連絡の後に面倒そうな雰囲気を醸し出していれば、さっさと撤退する。


 さて、皆様はお気づきだろうか。陽キャ先輩は私と連絡先を交換して、友好的な態度を示した時点で「地雷を踏んでいた」ことを。私はいくつもの「勝ちパターン」を知っている。その勝ちパターンに持ち込む、すなわち地雷を踏ませることができればほぼ確実に勝利することができるのだ。

 仮に失敗をしたとしても、私にとっては痛くも痒くもないのだ。感情が揺さぶられることも本当に傷つくことも無い。なぜなら私はビジネス地雷女だから。むしろ失敗は次の成功への最高の勉強材料になる。


 そんなビジネス地雷女子高生の私、うずめアイが唯一感情を大きく揺さぶられた相手が、『グレネードランチャー男』と呼ばれている迎撃むかえうちアユムである。


私はこの男を木っ端微塵に爆破したい。

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