真っ赤な大地ですが何か?──前編
長くなったので分割します。
え、分割したのに長いって?ハッハッハ不思議だね?
え?長くないgkbr:(´◦ω◦`):ガクブル
「しっかしどうすっかなー」
周囲を探索しても同じような景色が続くばかりで変化なしだし、さっきからポップしているのは赤ウリ坊だけで正直飽きてきた。というより、そもそもポップ数が少なすぎるのだ。レベルアップしてからまだ2匹しか遭遇していない。
それでもめげずに探索しているのだが、如何せん場所が場所だ。どうしても疲れる。
そこでふと思い出したのだが、今日は俺の親友鷹取和也もSSOにインしているはずだ。もしかしたらあいつは既に人類種の生息する国や領土にたどり着いているかもしれないし、ここらで情報収集でもしようという訳だ。
「ふっふっふっ。我ながら名案だ。」
なんて、傍から見れば痛いだろうことも周りに人がいないからできる。
「まぁどうでもいい事は置いといてさっさとログアウトしますかー」
この時の俺は、自分がどれだけ特異な状況にいるのかまるでわかっていなかった。
✧✧✧
SSOからログアウトした俺は早速和也にラインを送る。とはいったもののすぐに返事は来なかったので、待ってる間に少し遅めの昼を取っておこうと思う。というか今気づいたのだが、既にゲーム開始から3時間近くたっていたらしい。驚きだ。
いちいち作る気は起きなかったので、近くのコンビニの弁当で済ませようと買いに出かける。
俺の家から1番近いコンビニは歩いてだいたい10分の距離にあるのだが、この微妙な遠さが地味に辛い。そしてさらに、今は梅雨も開けてもうすぐ夏本番といった季節だ。あってないような活動しかしない文化部所属の俺にとっちゃこのダブルパンチは些か酷である。「コンビニとはもっと消費者に寄り添うべきだ。」などと愚痴をこぼしつつ何とかコンビニに到達する。
ピロリーン♪という軽快な音に迎えられて入店。冷房様の冷気が俺を包み込む。あぁ、これがこの世の終着点。人類の科学の結晶だ。ほんとに。
冷房に全力で感謝しつつ店員の挨拶を華麗にスルー。そのまま弁当売り場に直行する。
「冷やし中華とデミグラスハンバーグどっちにしようかな」なんて呑気に考えているとジャージ姿の学生達が入ってきた。
…あのジャージ、うちのだ。休みに同じ学校の生徒と会うというのは何となく気まずい。こっちは私服で面識もないので気づかれることはないし、気づかれたところでどうもしないのだが、相手が女子であることも相まって居心地が悪い。……なぜだか負けた気がする…いや、何にだよ。
1人でボケ突っ込みするのもそこそこに、テキトーに弁当を放り込んでレジへと向かう。
「3点で、合計540円になりまーす。」
「1000円で。あ、袋ください。」
「458円のお返しです。ありがとうございましたー」
うん。何もなかった。別にこれでいいしこれが普通なんだけどさ、トホホ…
✧✧✧
帰ってきた俺は家に置きっぱになっていたスマホを確認するが、和也からラインはきていなかった。仕方がないので弁当を食って待つことにする。デミグラス美味ァ…
食べている間に情報収集を並行してやっておく。SNSで色んな人の投稿を見ていると、ゲームのスクショをあげている人がいた。
…そういや、スクショってどうやるんだったかな?説明書には書いてなかったし後でヘルプ見りゃわかるかな?
──ポーン
っと、やっと返信がきたっぽい。俺はいそいそとラインを開く。
『和也、今ちょっといい?SSOの情報交換でもしないか?』
『いいぜ!ちょうど俺も昼で抜けてきたところだからな。』
『よかった。てか今から飯はおそくないか?』
『気にするほどでもないだろ。まだ13時だ。で、情報交換するんだろ?早くしようぜ』
和也が急かすので早速聞きたいことを聞く。
『おっとそうだったwじゃあ本題だけど和也、お前初期スポーンってどこだった?』
そう。俺がまず先に聞きたかったこと。それはスポーン地点のことだ。何度か考えたが、やっぱりあの初期スポーンはおかしいという結論に至った。何しろ、いきなり魔物?モンスター?とエンカウントだもんな。
『初期スポーン?俺はランドール帝国だったよ。』
どうやら俺がさっき考えていた読みは当たっていたらしい。名前からして神族の末裔が造った国とやらである、というのは確定だろう。俺は今は少しでも情報が欲しいので、とりまランドール帝国とやらの場所を聞いた。
『ランドール帝国?どこだよそこ』
『大陸の最西端にあるらしい。帝国より東にはレザリア王国があって、そことはたいそう仲がいいらしい。北には古代の衛っていうバカでかい森がある。んで、西には海が広がってるって話だ。さらに、南には赤色大地と呼ばれるさぞ恐ろしい魔物の巣窟の群生地帯があるそうな…なんでもそこに行って帰ってきた者はいないとかなんとか…(NPC情報)』
ビンゴだった。思わずガッツポーズをしそうになった。でもほんとにドンピシャでランドール帝国と赤色大地…恐らく俺が今いるであろう場所の位置関係が分かったな。ほんとラッキーだ。
ってちょっと待てい!なんだよその物騒な言い方は。『帰ってきた者はいない』じゃねーよ!しかも群生地体って、随分とハードコアだな!
いや待て待てまだ焦る時間じゃない。もしかしたら似ているだけで違うかもしれない。きっとそうだ。そうに違いない!
『へぇー。そんな危険な場所があるのかー。ちなみにその赤色大地の特徴とか分かりますかね?』
俺は一縷の望みをかけてこの言の葉を放った!
『いや、それは知らない。でも名前からして赤い大地の場所なんじゃないか?てか、お前が赤色大地に興味持つのは意外だわw』
……なんとも言えない反応だ。まぁ、確定したという訳じゃないだけいいか…とりあえず無難に返しておく。
『どういうことだよ?!』
『いやね、お前のことだから古代の衛の方に興味持つと思ってたんだよ。』
『あー確かに。そっちは魅力的だな。』
俺は割と古代兵器とか超古代文明とかそんなやつが好きなのだ。なんというかロマンを感じる。
『で、情報交換だろ。何かお前も情報ないのか?』
情報、情報か…そういや、フレンド機能ってのがあったな。あれは俺がレベルアップした時に開放されたけど、それだけが解放の条件って訳じゃないかもしれないし、ここはひとつ聞いてみるのもいいだもう。
『まぁまて、そう焦るなよ。そうだな、フレンド機能って知ってるか?』
『フレンド機能?それどこにあったんだよ?』
『普通にメニューにあるが?』
『まじかー。じゃあ見落としたのかな?』
どうやら和也はフレンド機能を解放していないようだ。仕方ない。教えてあげるとしよう。
『あーそうだ、和也お前いま何レベだよ?』
『まだ0だけど…』
『ならなくて当然だな』
『どーゆーことだってばよ?』
『フレンド機能はレベル1にならなきゃ解放されないみたいなんだよ。』
『え、それどこ情報だよ』
『実体験』
『それは嘘だろw』
『嘘じゃねーよ。嘘つく意味ないし』
『いやそうだけどさ…流石にそれは無い。』
なんだ和也のやつ。俺の方が先にレベルアップしたからって拗ねたのか?
『どうしてだ?』
『どうしてって…まあいい教えてやる。』
『ははぁ!有り難き幸せ』
『よろしい。まずな、レベルアップするには経験値が必要だ。これは分かるな?』
『もち』
『じゃあ、経験値を稼ぐにはどうしたらいいのかって話だ。答えは簡単。モンスターを討伐すればいい。あぁ、もちろんPKもありだぞ。』
うへぇ、PKとかなんか抵抗感あるわ。そういうのがサラッと出てくるのコワイよ。
『で、ここで問題だ。モンスターを討伐すれば経験値が入る。じゃあ、モンスターを討伐するにはどうしたらいい?』
何が言いたい…
『そんなん、探して見つけて攻撃するだけだろ』
『うん。そうだな。だがよ、今日はサービス初日だぞ。経験値を貯めたいプレイヤーなんて五万といるんだ、そんな膨大な数のプレイヤーが一斉にモンスターを探して見つけて討伐しても、一人一人に入る経験値はたかが知れてるだろ?』
確かに…そうだったな。肝心なことを忘れていた。プレイヤーの数がいくら多くても、モンスターの絶対数は増えない。
ちなみに、昨今のMMO系ゲームは1つのサーバーで全てを管理するのが普通。とは和也情報である。そんなことしたらフィールドがプレイヤーで溢れかえりそうなものだが、そこはチャンネル機能とやらを使って色々と対応しているらしい。
『それに加えてな、帝都…ああ、俺は今ランドール帝国の帝都にいるんだが、その周りにある平原にスポーンするスライムを倒したところで入る経験値は1だ。レベルアップまで最低でも30匹倒さなきゃならないんだ。恐らく開始2時間で終わる作業じゃないだろう?』
実際は、俺は開始1時間くらいでレベルアップしていたが…
『そう考えると、このペースでのレベルアップは不自然っていう訳だな』
『そういうことだ』
うーん。思ったよりもみんなスローペース…いや、そうならざるを得ないのか。でも俺はどうやら赤色大地(仮)にいるみたいだし、他プレイヤーとの競走なく経験値を集められる。故にレベルアップが早い。考えようによっちゃーなかなか得な状況だな!うん!
しかしこの件どう説明しようか?そのまま率直に「赤色大地にスポーンしました!」って言うか?悩ましいが、あまりいい言い訳が思いつかない。もしかしたらバグかもしれないし、ここはもう和也に相談してしまおう。
『で、光哉。お前ホントのこと言うとどうなんだよ。』
『いやぁそのね?実はさ、俺の初期スポーン地点がどうやら赤色大地っぽいんだよ。』
『…………は?』
『いやだから、ゲーム初めて目を開けたらなんかこうあかーい世界が広がってたんだよ。』
『………………は?(笑)』
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