スライムですか?ゴブリンですか?いいえ。イノシシです
このナゾの大地にスポーンしてからかれこれ10分。
とりあえず何かわかるかもしれないので、メニューウィンドウを開いてみる。
《メニュー》
・ステータス
・マップ
・インベントリ
・システム
マップがあったので開いてみるが、自分の周囲しか分からなかった。地名すら書かれていない。
……役立たずと言いたくなるが、ここは理知的に対応しよう。こういう時こそ冷静になるべきだと、いつかのテレビ番組でやっていた。
「うーん。自分の周囲しか分からないってことは、もしかしたら歩いたところ、つまり踏破した所しか表示されないのか?だとしたら、試しに走ってみた方がいいかか?」
そうしたら、どこか人のいる場所にたどり着くかもしれない…
「というか、今はゲーム内時間が何時かすら分からないし、もし夜になったら強力なモンスターが現れるとかだったら詰むな。ならまずは、安全な場所の確保が優先か。」
という訳で、まずは周りの探索をすることにした。
✧✧✧
「ブモォォォォォーー」
大地に鋭い蹄を打ち下ろし、地面を抉るようにして筋肉質な体躯が駆ける。彼の生物が通り抜けた跡には撒き散らされた石礫。
「マージで!無理だってぇー!!!」
「《キュイイイイィィィ》ブォッ《バシュ》」
何かが収束するような高音が響き、彼の生物が鳴き、噴進弾のような気の抜けた射出音が耳に届く。
「うぉッ!」───ドカーンッッ
「あっぶな!」
探索開始から十数分くらいか?俺は今絶賛ランニング中だ…強制で。って何を冷静に分析している!そんな暇あるならこの明らかにヤバい敵?モンスター?猪もどき?から逃げないとっ!ああぁ、今真横をサッカーボール位の火の玉が飛んでった!まぢこわ…
「ブモォォォォォーー」
「うぎゃッ」
ドサ。
し、しまった、体当たりをモロに食らった。痛くないはずなのに痛い気がする。
「ふっ、どうやらここが死地のようだな。だが、俺はここで死ぬ訳にはいかぬのだっ!せいぜい、抗ってみせる!」
なんだかもういろいろ吹っ切れた。
「来いっ!猪もどき!」
「ブモォォォォォーー」
「また体当たりかッ、だがアマいっ!」
俺は猪もどきが突っ込んでくるタイミングで右にジャンプし、カウンターの右ストレートを側面に放つ。だが猪もどきは突進の勢いを止めずに駆け抜け、俺の拳は空を切った。
「チッ、だが次は当て《バシュ》!?ッ…」
とっさにしゃがんで火の玉を回避する。
どうやら猪もどきは突進の後大回りして火の玉を発動する準備をして、半円を描くように再突入してきていたらしい。俺は再び突っ込んでくる所を狙っていたので何とか回避出来た。
よしっと思ったのも束の間。猪もどきは無常にも突進してきている。
「な、何かないか?・・これでッ!」
しゃがんだ姿勢から勢いよく立ち上がると共に、そこらに沢山落ちていた小石と砂、というか猪もどきが撒き散らした石礫なんだけど。それを猪もどきの顔に向かってばら撒く──目潰し狙いだ──さらに、大きめの石を拾って両手で構える。
目潰しは失敗したらしく奴はそのまま向かってくるが、それに合わせて俺は構えた石を突き出した。
「オラッ!」
「ブモッ?!」
インパクトの瞬間、奴の鼻は半分くらい潰れたと思う。そして俺も5mくらいぶっ飛んだ。仰向けでズズズズゥと滑る。
「どうだ?効いたか?」
運が良かったのか、猪もどきは俺の少し先で気絶していた。
「ふぅ、危なかった。開始早々デスしなくてよかったよ…んじゃま、とどめさしますかぁー」
さっきの石を掴んで奴の元へ歩く。
「とは言っても、あと一撃で死ぬのかね?コイツ。」
チラッと嫌な予感がよぎるが、不安を払拭するように俺は石を振り下ろした。
「どうだッ参ったか!」
「……」
「おっ?これは…やったのか?」
……。あっやべ…
「《キュイイイイィィィ》ブォッ《バシュ》」
ドカーンッッ
6回くらいやってやっと倒した。
✧✧✧
「はぁ、災難だな。」
あの猪もどき硬すぎんだろ。
「そういや、HPとか大丈夫かな?」
さっきの戦いで割と攻撃は避けていたつもりだ。しかしまだHP総量だって確認していないのだ。もしもがあるだろう。
「ええと、メニューの、ステータスかな」
《メニュー》
《ステータス》
HP:3/15 Lv:0
MP:3/3 EXP:10/30
VIT:5 SP:0
RES:2 JP:0
AGI:20
STR:10
INT:4
DEX:6
LUK:5
─特性─
〖脆弱な一撃〗
・STGに減衰がある代わりに、SP・JPにブーストが発生する。減衰率は10%。端数切り捨て。
─スキル─
・なし
─ジョブ─
・なし
オオゥ…なかなか危なかったんじゃないだろうか?残りHP3て。経験値も10入ってるし、あの猪もどきは強敵だったに違いないな。
ステータスのイメージだけど、MPやRES、ついでにINTも低いが、その代わりAGIが20と高い。スピード物理タイプ(今考えた)だなきっと。
──余談だが、HPや、今は必要ないがMPがわざわざステータスウィンドウを開かないと見れないのが不便だと思ったら、ふつうに変更できたので視界の端に常に表示されるようにした。──
「なるほどね、素早さが取り柄で耐力は低いと。で、攻撃力はそこそこあるけど特性のせいで火力が減衰する…ってかなりきついんじゃない?」
しばらくステータスと睨めっこしていたがそうしていても何も変わらないので、当初の目的の探索を続けることにした。
頼むから安全な場所かなんかがありますように。と思いながら。
この間「今日はもう1話いけるかな」と言ったな?
あれは嘘だ……
(。>ㅅ<。)//ごめんちゃい