第一話
自慢の姉が結婚することになった。
姉は私より四つ年上で20歳。とっても綺麗で、とっても優しくて、昔からずっと私の憧れ。そんな姉は隣の村の村長の息子に見初められ、また姉自身も彼に惹かれていて、結婚する流れになったのは当然と言える。
だけどそんな幸せな結婚によって幸せじゃなくなってしまう人もいる訳で。
例えばそう、私の姉にずっと片思いをしていた、私の幼馴染とか。
ずっとこの幼馴染…マルコが、姉が結婚相手の男性と知り合う前から姉に片思いしているのを知っていた。
だけど私は姉とマルコをくっつけようとも、マルコの想いを知っていても応援しようとも思わなかった。非情な幼馴染かと思われるかもしれないけど、私にも事情がある。
そして長い片思いを拗らせ続けてすっかり捻くれてしまったマルコは今日、姉が結婚すると聞かされた。よりにもよって、想い人である姉の口から。
私とマルコは姉に呼ばれ、結婚を報告された。幼馴染はマルコの他にもう一人いて、三人一緒に報告される予定だったらしいけど生憎今日は用事があって村を出ている。なので呼ばれたのは私とマルコの二人だけ。
私は家族だし、そろそろ結婚だろうというのには勘付いていたので大した驚きはない。だけど隣の幼馴染はどうだろう。
姉と姉の夫になる人はいつも村の外で会っていたし、姉は恥ずかしいのか恋人のことはあまり口に出さなかった。私たち家族は姉から隣村の村長の息子と交際しているという話は聞いていたけど、姉が秘密にしたがるので口外はしなかった。だから姉に恋人がいて、さらに結婚するなどということは村の人もほとんど知らないはず。これから姉が報告に回るのだろう。
両親は朝、何やら姉とこそこそと話をしていた。私がそこに混ぜてもらえなかったのは、姉によく面倒を見てもらっていた私と幼馴染二人にまとめて報告しようという魂胆からだろう。姉にとって私と幼馴染は、常に一緒にいるものだったから。今は一人欠けているけど。
そんなこんなで姉に片思いをしていた幼馴染のマルコは姉に恋人がいたことも、ましてや結婚するということも初めて知ったはずだ。だからこそ、こぼれ落ちそうなほどに目を見開いて姉を見ているのだろう。
マルコは多分、姉にとっては小さな頃から面倒を見てきた…そう、弟みたいなもの。だから姉は残酷なまでに眩しい笑みを浮かべて、『弟』に結婚の報告をしているだけ。マルコの心の内など知らずに。
目を見開いたまま口から声にならない声を漏らしているマルコの代わりに、私は笑みを浮かべて口を開いた。
「おめでとう、お姉ちゃん」
「ありがとう、アンナ。あら、マルコは祝ってくれないの?」
「…おめ、でとう…サーラ」
「ありがとう」
そう言って姉は私たちの頭をひと撫でし、村の人たちに結婚の報告をする為に私たちの元を離れていった。去り際の姉はとても幸せそうな顔をしていて、私も嬉しくなる。私は姉が好きだ。姉が幸せだと、私も幸せだ。
だけどそれと同時に胸が苦しくなった。姉の幸せそうな表情とは対照的に、苦しそうに顔を歪めて声も出さずに泣いている幼馴染が隣にいたからだ。
だけど泣いているマルコに、彼の恋を応援することもしなかった私が言葉をかけることもできず、唇をぐっと噛み締める。
「サーラ、俺は…」
かつて見たことのない幼馴染の打ちひしがれた姿。込み上げる罪悪感は堅く引き結んでいた唇を緩める。
「マルコ…」
思わず幼馴染の名前が口からこぼれ落ち、それに敏感に反応したマルコは鋭い目で私を睨む。
「アンナ、お前サーラに恋人がいたって知ってたな」
「……」
「なんで言わなかったんだよ!」
「…お姉ちゃんが秘密にしてたから」
「俺には言ってくれてもよかっただろ!」
そう、言ってもよかったはずだ。姉はマルコに教えたところで恥ずかしがったりはしても、咎めはしなかっただろう。でも私は、私の事情でマルコに伝えなかった。
だけど今は後悔してる。マルコをこんな風に泣かせたかった訳じゃなかったから。
「…ごめん」
「……知ってたら、俺は…」
「告白してた?…お姉ちゃんに」
余計なことを口走ったと思った。ハッとした時にはもう遅くて、私が口走った言葉はマルコの激昂を誘った。
「…っ!…お前、俺の気持ち知ってたのか」
「…ごめん」
「知ってて、黙ってたのかよ!」
目頭が熱くなる。私は地面を見つめて、小さな声で謝ることしかできない。
「俺の気持ちを知ってたなら、お前から見た俺はさぞ滑稽だったろうな?好きな女に恋人がいることも知らずに馬鹿みたいに想い続けて…今日やっと告白しようと決心したのに、その告白しようとしてた相手に笑顔で結婚の報告されてさ」
「…え」
マルコが今日姉に告白しようとしてたなんて、知らなかった。
「好きな女と他の男が結婚するのを『おめでとう』って祝う俺は、無様で笑えただろ?」
「そんなこと、」
「ないなんて言わせねぇぞ!ふざけんなよ!」
「…ごめん」
「ごめんじゃねぇよ!お前とは絶交だ!」
「そんな…!」
「さっさとあっちいけよ!」
泣きながら叫ぶマルコの言葉が、痛いと思う。だけど同時にそんな風に思う資格なんてない、とも思う。マルコの隣にこれ以上居続けることはできなくて、私は泣いている幼馴染を慰めることすら出来ずに、彼の前から足早に立ち去ることしかできなかった。
◇◇◇
気が付くと、昔三人でよく遊んだ河原にいた。河原の近くにある木に寄りかかり、ぼーっと水面を焦点の定まらない目に映す。
幼い頃、天気の良い日はよく姉が私とマルコともう一人の幼馴染であるロベルを連れてこの河原にやって来た。姉はよくこの木の根本に腰掛け、わんぱくな私たち三人を見て笑っていた。私とマルコは水辺の浅い所にいる魚をどちらが沢山獲れるか競い合い、ロベルに私たち二人のどちらかがズルをしないように見てもらって。数年前に最後の魚獲りをした時、確か私は負けたんだっけ。
「悔しかったなぁ…」
降り続く雨みたいに、涙はぬぐってもぬぐっても溢れてくる。木の根元にずるずると座り込み、膝をぎゅっと強く抱きしめて顔を埋めた。
あの頃ここで私たちを見守ってくれていた姉と、今の私は多分同じくらいの歳になったと思う。
姉は私の憧れだった。赤っぽい茶色の長い髪は手入れされていて綺麗で、肌は魚の腹みたいに白い。お淑やかで、大人っぽくて、素敵なお姉さんって感じで。
姉を真似して邪魔だと思って短くしていた髪を伸ばし、姉より焼けやすい肌を白く保つ為に外であまり遊ばなくなった。お転婆と言われた性格はなかなか直りはしなかったけど、それでも最近は大人っぽくなったねって言われるようになった。姉が着ているような服を着て、姉がつけているような髪飾りをつけた。
姉にだいぶ近づけたと思う。
でもそれでもこんなに遠い。
どんなに姉に近づいたって…マルコは私を見てはくれない。
姉みたいになりたかった。
姉みたいに…マルコに好きになってもらいたかった。ただ、それだけだったんだ。
「…っ。うぅ…」
最初はただの幼馴染であり、良きライバルであり、大切な友達だった。
だけど、どんどん成長していくマルコは同じくらいだった私の背を軽く抜かした。程良い筋肉がついていって、でもほっそりとしていて、村にいるのがもったいないくらいに素敵な男の人になっていった。
燃えるように赤い髪は男性にしては少し長めだけど清潔感があって、少しだけ長い前髪から覗く翠の瞳は街で見たどんな宝石よりも綺麗。顔立ちも整っていて、村の同い年の女の子たちはよくカッコいいって騒いでいた。私はずっとそんな風に思ったことはなかったはずのにいつの間にか…カッコいいなって、好きだなって、思うようになっていた。
でもその気持ちに気付いた頃にはマルコはとっくに姉に恋をしていて。
姉を愛おしそうに見つめるマルコの眼差しに、私はどうしようもなく打ちのめされた。
姉は素敵だ。好きになるのも分かる。そんな姉に…私が敵うわけがない。
悔しかった。姉が羨ましかった。それでも憎めないくらいには、姉がどうしようもないほど好きだった。
だから私はマルコに気持ちを伝えることは諦めてマルコと姉の関係を静観した。マルコの恋を応援しなかったのは、そんなのできっこなかったから。マルコが好きなのに、どうして姉を好いているマルコの恋を応援できよう。
姉に恋人がいる、なんて言ったらマルコはきっと玉砕するとしても姉に告白する。それだけはどうしても見たくなくて、私はマルコに姉に恋人がいることを伝えなかった。
そんな自分勝手な事情のせいで私はマルコを深く傷付け、もう友達とすら思ってもらえなくなってしまった。どう考えたって自業自得だ。
「ごめん…ごめん、マルコ…」
くぐもった謝罪の言葉を、春風がマルコの元へ運んでくれることはなかった。
◇◇◇
「…アンナ?」
聴き馴染みのある声に顔を上げれば、よく見知った顔が視界に映る。
「…ロベル?」
もう一人の幼馴染であるロベルだった。
「やっぱりアンナだったか。どうしたのさ、目が真っ赤だよ」
「…ロベル、どうしよう」
「どうした?」
「マルコに…絶交されちゃった…」
「は…?……何かあったの?嫌じゃなければ俺に話してみて。必ず力になるから」
あまりに優しい言葉と表情に、とうとう私の涙腺は崩壊して洪水のように涙が溢れ出る。
小さな子供みたいにただただ泣き喚く私の背をさするその手は、あまりに温かくて余計に涙を促した。
絶交を言い渡してきた幼馴染は私に素っ気ないことも多かったけど、この幼馴染はいつも優しかった。私にだけじゃなくて皆に優しい。
皆等しく平等に優しい彼の優しさを私は今まで特段気にせず、当たり前のように享受していたけど。こんなに彼の優しさがありがたいと思ったのは初めてだった。
その後しばらく泣き続け、ようやく涙が止まった頃にはもう日は暮れ始めていた。
「…そういえば今日は村の外に用事があったんじゃないの?」
「ああ。俺の家で作ってる野菜が美味しいって街で評判になってたらしくてさ、街の食事処に俺の家の野菜を卸して欲しいって話があって、その話し合いに街まで行ってたんだ。んで話し合いの結果、今度からその食事処に野菜を卸すことになった」
「やったじゃん!おめでとう!ロベルのとこの野菜は本当に美味しいもんね」
「まーね。父さんも喜んでたよ。話し合いが終わって帰り道にアンナの姿が見えたから父さんと別れてアンナのとこに来た」
「そうだったの?なんかごめんね。私なんか気にせずにヨーゼフおじさんと一緒に帰って報告すればよかったのに」
「いいの。俺んとこの野菜を一番気に入ってくれてるアンナに俺が報告したかったんだ」
「…ありがと、ロベル」
「おー。……それで、もう大丈夫?」
「……うん、ほんとありがと」
お礼を言うとずっと私の背中にあった温かい手は離れていって、それがなんだか少し寂しかった。
「……何があったか聞いてもいい?」
「…うん」
姉が結婚すること。マルコの気持ちを知っていて姉に恋人がいたことを黙っていたのがバレたこと。それに怒ってマルコに絶交されたこと。…マルコのことが好きだったこと。
街の教会で懺悔するみたいにロベルに全て話した。
私の話を聞いてる間、ロベルは相槌を打つ以外は黙っていた。オレンジ色に染まった河原の水面を眺めつつも真剣に私の話に耳を傾けるロベルはどこか大人っぽくて、ずっと一緒にいたはずなのに知らない人みたいで。私は動揺を悟られないようにひたすらオレンジ色にキラキラ光る水面を見つめた。
「……そっか、サーラ結婚するんだね。おめでとう。多分帰ったら報告されるだろうな」
「だと思う。ほんとは私とマルコとロベルにまとめて報告したいみたいだったから」
「…一緒にいてやれなくてごめんな」
「なんで?」
「俺がその場にいたら、アンナはマルコと絶交なんてことになってなかったと思うから」
確かに近年、私がマルコを意識し始めてからどこかぎこちなかった私とマルコの間にロベルはいつも入ってくれていた。だからロベルがいたら確かにこんなことにはなっていなかったかもしれない。でも。
「…そんなことないよ。いつかこうなるはずだった。それが今日だっただけ」
天罰が下ったんだ。マルコの恋を知っていて、彼に協力できる立場だったのにそうしなかったから。
マルコの恋を見殺しにしたから。
「それこそ、そんなことないだろ。マルコがずっとサーラを好きだったことは俺も知ってる。分かりやすかったからな、あいつ。…きっとサーラの結婚の話を本人から突然聞いたもんだから気が立ってたんだ。だから多分強く言い過ぎただけだよ」
「…そうなのかな」
「そうだよ、きっと。まだ怒ってたら仲直りできるように協力するよ」
「……ありがと、ロベル」
「お安い御用ですよ」
「ロベルは…優しいなぁ」
「そうか?」
きょとんとした顔をしたロベルはいつものロベルで、もう大人っぽいロベルはいなかった。
焦げ茶の目と同じ色の短い髪。畑仕事をしていて健康的に焼けた肌。背が大きくてがっしりしてるから一見怖そうに見えるけど、話すと優しい表情になるそのギャップに村の女の子が熱を上げているのを知っている。
マルコとは違った魅力を持つこの幼馴染も、マルコ同様人気者だ。マルコに憧れている女の子は多いけど、本気で好きになっている女の子が多いのはロベル。
ロベルは本当に優しいから。
「うん、優しい。女の子にモテモテじゃん、ロベル。恋人がいないのが不思議なくらい」
「…俺にも好みはある」
「へーどんな?」
「教えない」
「なんでよ。じゃあ好きな人いる?」
「………いる」
「そうなの!?え、全然知らなかったんだけど!教えてよ!ロベルと仲良い女の子だと…エミリ?それともミランダ?」
「教えない」
「なんでよ!私だけ知られて不公平!」
「アンナが自分で言ったんだろ」
「不可抗力よ!ずるい!今日のロベル意地悪!」
「たまには俺だって優しくない時があるの」
そう言って意地悪そうな笑みを浮かべるロベルだけど、目は優しそうに細められている。
「……やっと、アンナらしくなったね」
「私らしく?」
「ここ何年か、アンナのお転婆は鳴りを潜めて落ち着いて…まるでサーラみたいだった。マルコが好きだったから、マルコの好みに合わせてサーラみたいにしてたんでしょ?」
ぎくり、と音が聞こえてきそうな程驚いた。姉のようになろうとしていたけど、まさか気付かれていたなんて。
「俺はアンナらしいアンナが好きだから、マルコと競い合ってた頃のお転婆なアンナが帰ってきて嬉しい」
臆面もなく嬉しそうに破顔してこんなことを言うこの男が信じられない。流石マルコと二人、村の女子の人気をかっさらうだけのことはある。言葉と笑顔の威力は抜群だ。顔が真っ赤になったのを感じて咄嗟に立ち上がる。
「…もういい、帰る!」
「はいはい、帰りましょー」
「意地悪なロベルさんはどうぞ、お先に帰って下さいな」
「拗ねないの」
「拗ねてない!」
「ほら、一緒に帰ろう」
立ち上がったロベルに差し出された手が、私の手がその手の中に入るのを待っている。
「…子供扱いしてるでしょ」
「してないよ」
「ロベルっていっつもそう。なんだかお姉ちゃんみたい…というかお兄ちゃん?」
「俺はアンナのお兄ちゃんになった覚えはありません。…これでも女の子扱いしてるつもりなんだけどなぁ」
「そんな風に感じたことないけど」
「あらら、それは大変残念だ。ほら、帰ろう。マルコと喧嘩してから村に帰ってないんでしょ?皆心配してるよ」
「…うん」
差し出された手を握り村へ向かって歩き出すと、子供の頃よく皆で手を繋いで帰ったのを思い出す。マルコと姉、姉と私、私とロベルがそれぞれ手を繋いでいた。
「昔、よく皆で一緒に歩いて帰ったね」
「そうだな」
「十のときだったかな。マルコが恥ずかしいからって手を繋ぐのをやめて、いつの間にか繋がなくなったよね」
「あーそうだったっけか」
「うん。……あの頃から多分、マルコはお姉ちゃんが好きだったんだと思う」
「…そうかもな」
そう小さく呟くロベルはまた知らない男の人の顔をしていた。
昔みたいに手を繋いでいるはずなのに、ロベルがとても遠く感じる。昔と同じなのに…もう昔とは違うのかな。
「……あーあ。失恋しちゃった。マルコも…私も」
「アンナさんやアンナさんや。朗報です。失恋には新しい恋がいいらしいですよ」
「誰情報?」
「恋の伝道師である姉貴」
「説得力がある」
ロベルの姉であるローラは恋多き女性で、村の女の子が好きな人ができるとよくローラに指南を受けているのを見かける。だから弟に恋の伝道師なんて密かに言われている訳だ。
そしてローラは恋多き女性だからこそよく失恋もする。でも立ち直りも早い。そういうところを私も見習いたいものである。
「新しい恋かぁ…」
「とっても素敵なお嬢さん。ここに新しい恋をするのにお勧めの素敵な男性がおりますよ」
「…何言ってるのロベル。そもそもロベルには好きな人いるんでしょ?」
「あはは、そうだね」
「そういう冗談はいりません」
「…そりゃ、申し訳ない」
なんとなくロベルの方を見れば、ロベルは寂しそうに笑っていた。
「ロベル?」
「ほらアンナ、もうすぐ着くよ」
「え、うん…」
パッと離された手に、突き放されたような感覚を覚える。…そんなこと全然ないはずなのに。
かつて手を繋いで帰り道を笑いながら帰った私たちは、もうここにはいないのかもしれない。…なんて、ポエミーに後ろ向きなことばかり考えてしまう。
「明日、マルコと仲直りする為の作戦会議するから俺んとこの畑に集合ね」
「…また畑仕事手伝わせる気でしょ」
「マルコとの仲の仲介料」
「仲直りできるかも分からないのに?」
「仲直り出来るまでずっと付き合うから。前払いな」
「そういうとこちゃっかりしてる」
「まーね」
しょうもないやりとりに二人で笑った。
最近はあんまりなかったけど、昔はよく三人でこんな風に笑っていた。私が真ん中にいてマルコが右に、ロベルが左に。今はマルコはいないけど。
…恋なんて知らなかったあの頃に戻りたい。
そしたら私とマルコとロベルは馬鹿みたいに騒いでいて、それを姉がおかしそうに笑って。誰かが誰かを好きになっておかしな関係になってしまうことなんて、きっとなかったはずなのに。