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エヴォルダー  作者: 法相
暴く未知
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黒翼の過去前編

花奏回になります。

 ボクは幼い頃に両親を失い、親族の間をたらい回しにされて育った。

 どこに行ってもうまく馴染めず、居場所を掴めず、鬱屈した気持ちを抱えながら育った。

 だからたらい回しにされた地での公園へ遊びにいくのが唯一の救いだったのかもしれない。

 けれども子どもと言うのはとても残酷な物で、知らない子どもが来ると集団で異物を排除にかかる。

 ボクは何もしないし、関わる気はない。ただ家にいるのが嫌だっただけなのに。

 そんなボクの気持ちをよそに向こうから突っかかってきて、集団で暴力を奮ってくるいじめっ子。

 ボクがメソメソと泣いてやめてよ、と言っても聞く耳は彼らは持たない。


『はいドーン!』

『へぶしっ!?』


 そんな中、いじめっ子の一人に誰かが蹴りを思い切り叩き込んでいた。

 暴力がわずかだが止み、その間隙に他の取り巻きにも砂を思い切り投げつけていた。


『目に砂がぁ!? 目に砂がぁ!』

『痛い! 目がすごく気持ち悪い!』


 まさに阿鼻叫喚。ボクをいじめていた世界が一瞬で変わった。


『よってたかっていじめとかクソださ行為は俺が許さない!』


 奇襲によるアドバンテージを生かし、それぞれに金的をかましていくと言うわりとえげつない行為を平気で行ったその少年はいじめっ子たちを追い返し、ボクに手を差し伸べてくれた。


『大丈夫か? もう追っ払ったぞ!』

『あ、ありがとう』


 当時六歳のボクには、その少年が白馬の王子様のように見えた。

 お話でしか見ることができないと思ったそんな綺麗な存在で、これがボクと剣くんの初めての出会いだった。

 互いに自己紹介をした後は、公園で少し遊んだ後彼がよく遊ぶと言う空き地に行った。

 公園に比べて遊具なんかは当然なかったけど、その分のびのびと体を動かして楽しめた。誰かと遊ぶなんて言うのはこんなにも楽しくも穏やかなものだったのかと。

 ……まぁ下の名前を彼はろくに覚えてなかったようだし、ボクを男の子と勘違いしていたようだけ、それで十分すぎるほどにボクは幸福だった。


『あの、本当に助けてくれてありがとう』

『いいのいいの。奇襲成功してなかったら俺もボコボコにされてたし』


 夕焼けを一緒に土管の上で座りながら鑑賞して、感謝の言葉を彼にのべたらなんてことなしに返した。


『俺弱いからああいうことしないと勝てないんだよ。ま、運がよかったんだな!』


 それでもボクが助けてもらったことに違いない、と思ったものだが。

 それから約一年間、ボクたちは交流を深めて空き地で一緒に遊んで、別の親戚のところに行くことが決まってもう遊べなくなると伝えた時には彼がわかりやすく落ち込んでくれたのを覚えている。

 ボクは泣きながら「またいつか会えるよ」と強がりを言って、剣くんは頭を撫でながら「そうだな」と優しく言ってくれた。

 こうしてボクと剣くんはお別れをして、月日が過ぎていった。

 そして二年前、ボクは当時通っていた学校の帰り道に虎型のエヴォルダーに襲われた。

 剣くんと別れて以来、自分にできることとして我流ではあったけど竹刀を武器にして戦えるように鍛えてきた。今度なにか会った時、そしてもしかしてまた剣くんに出会えた時に今度はボクが彼を守れるようにと、隣に並んで恥ずかしくないようにと。

 しかし圧倒的な身体能力の差、そして少しずつボクをいたぶって喜ぶ奴の口元は忘れることができない。

 抵抗した竹刀も容易くへし折られ、死を覚悟した。

 そこで奴は背後から胸を貫かれ、ボクには血飛沫が降りかかった。

 呆然とした様子で奴が振り返れば、心臓を握っていたエグゼがいた。

 そして心臓を握り潰すと同時に奴は事切れて、倒れ伏した。


『お嬢さん、大丈夫かい?』


 脳に直接響く声は女性的で、だけどいくらか無機質なことに恐怖を覚えて無言で首を縦にふって答えた。


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