屋上
――一方、屋上では。
『ふむふむ? なぜ君がここにいるんだい?』
「足止め係だよ、鳥野郎」
不思議そうに問うエグゼに俺は虚勢を張りつつ、すでにゼロと合体した状態で俺は返す。
『いや、足止めだというのはわかるとも。そうではなくてなぜ私が『一人』で屋上に来ていることをわかったのかな? 正直君はそこまで賢そうではないけども』
「大軍は囮にこそ使うもの、って聞くからな」
シレっと失礼なことを今言いやがったぞこの鳥野郎。
とはいえ今下で騒いでた連中はさっきの音から察するにもう一姫さんが沈めたのだろう。
『常に揺動を考えた方がいい、と一姫が教えてもらったことが活きたな』
「そもそも飛べる奴がわざわざ下の階から真正面に突き進むとも思わん」
少なくともエグゼは想定どおりに屋上にやってきた。
騒ぎを聞きつけて一姫さんと役割分担して、陸上戦空中戦もやれる一姫さんに行ってもらい、俺は屋上でしっかり足に地をつけて戦う。
どちらにせよ飛ぶ奴を相手にしなきゃいけないのはわかっていたことだ。まぁ、それがエグゼだったのは想定外だったが……前回のリベンジを果たすにはもってこいの相手だ。
『ふむ、まぁいいだろう。あの娘が都宮くんに負けることはないと思うが……君もなかなかに油断できない相手だ。丁寧に、気絶させてあげよう』
「言ってくれるなぁチクショウめ。ゼロ、いくぞ」
『任せろ。以前と違うと言うことをはっきりと見せてくれる』
拳を握り、エグゼも屋上に足をつける。
強キャラよろしくの舐めプレイかもしれんが、それに今回はありがたくのさせてもらおう。
拳を握り、そのままエグゼに突進した。