戦麗華
久方ぶりの更新です。
更新できなかった間は我慢できずに二次創作書いたり、肩が上がらなくなるレベルで仕事したり、車のエアコンぶっ壊れたりで大変な日々でした。
『ふぅむ……シードラゴンズとか格好をつけた名前をしていたが。この程度であったか』
ふと聞き慣れない女性の声が聞こえた。
この脳に直接響くような声はエヴォルダーの特徴だ。けれども、その気配がない。
『なんだ、声が聞こえて気配がないと言うのはどういうことだ』
『二人とも、悪いけど連戦になりそうだよ』
「みたいだな。ゼロ、変身!」
「私もさっきの汚名返上とさせてもらおうかしら。シンザン、セットアップ!」
共にエヴォルダーと合体し、背中合わせに警戒する。
「て、ゼロ。装甲が戻ってるな」
『アレは一時的なものであったようだな』
「二人とも、話は後にして」
そう一姫さんが言った直後、突風が吹いた。
「「のわっ!?」」
俺たちはそのまま吹き飛ばされ、俺は数度転んで立ち上がり、一姫さんはそのまま空中で静止する。
そして俺たちがいた場所には、紅い鳥型のエヴォルダーと合体していた装着者が立っていた。
『ふむ、君たちは多少マシなようだ』
「誰だ、テメェ」
腕を組み、うんうんと唸りながらソイツは「ああ」と答える。
『私はエグゼ、という。いやはや先ほどのこやつらと君の立ち会いは実に見事だったよ。地の利を取られ、数の不利もあっただろうに実に感嘆した』
「そりゃどうも……」
「AED持ってき……って新しいエヴォルダー!?」
灰沢さんも戻って来るなり、新たな敵さんを目にして驚愕を隠せないようだった。
そしてエグゼは少し困ったように頭をぽりぽりとかいて、捕縛した三人と三体の縄を纏めて掴んだ。
『今日のところはこれで引くよ。このシードラゴンズも我ら戦蓮華の者でな。悪いが回収させてもらうよ』
「そう言われて逃すと思ってるのかよ!」
『最速最短で仕留める!』
「シンザン、あいつの翼切り落とすわよ!」
『了解!』
ブースターの点火、そして上空からの超高速の斬撃。避けられるはずのないほど最大に息の合ったタイミングでの同時攻撃だった。
しかし、その攻撃は突如として出現した炎に阻まれた。
「どあっちゃあ!?」
「あっつつつ! ちょ、なんなの今の!?」
猛烈な熱により俺たちの装着は解除され、再び水面へと落ちる。
その様子を見ながらエグゼはクスクスと笑い、上空にいた。
『いいね。今の連携は私でなければまともにもらっていただろう。それではチャーオー、ボーイズアンドガール』
陽気な声でそのままエグゼは去っていき、俺たちも陸へ上がる。
「二人とも大丈夫か!?」
灰沢さんは慌てた様子で駆け寄り、心配そうな顔で見ている。
「なんとか。でも犯人を取り逃して……」
「バカ、君たちの命があってのものだから気にしなくていいんだ。それに都宮くんも危機を脱したみたいだしね」
「あはは……ご心配おかけしました」
「命があるからノープロブレムだ。それにしても今のエヴォルダーは……」
「なんか戦麗華とか言ってましたけど。さっきの三人もそこの人間とか」
「初めて聞く名前だな。しかしそうなると……厄介だな」
そうですね、と一姫さんもうなずく。
少し考え、俺にも意味がわかった。組織があると言うことは……
「少なく見積もっても四人のエヴォルダー装着者がいる……」
「いや、まだいるはずだ。まいったな……」
苦笑する灰沢さん。俺たちも視線を合わせ、表情を曇らせるしかなかった。