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エヴォルダー  作者: 法相
ひとときの安らぎ
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変化

 新しい仕事になりはや一週間、周囲が変わると体調が厳しくなります。

 しかしその間に評価されていたりなどで嬉しかったのです。これを励みに頑張っていきます。

 勢いよく飛び込んだおかげか、多少距離は稼げた。しかしあのタツノオトシゴはすでに十メートルほど進んでいた。

 なんとか逃れようと一姫さんも抵抗しているようだが、振り解ける様子はない。

 けれど彼女が抵抗しているおかげで奴も思うように進めないでいるようだ。これならすぐに追いつけ……


『などと思わない方がいいぞ? 坊主』

『誰も一人で犯行をするなんて言ってないからなぁ』

「!?」


 左右から同時に衝撃が襲い、身体が一気に沈められていく。

 思わず顔を左右にふれば、タツノオトシゴが俺の両腕を押さえ込んでいた。

 一姫さんを捕まえた奴も含めれば三人。それぞれ頭に生えているツノの本数が一、二、三本と別れているので見分けがつくが……想定外の事態だ。


(同種のエヴォルダーが三体、しかも完全水中戦使用だと!?)

『ぬかった! 剣、振り払うぞ!』

(言われずとも!)


 言葉に出せずとも、合体している間は俺の意思だけで意思疎通は取れる。

 全力で腕に力を込めて振り解こうとするが、水圧で地上のそれとは比べ物にならないほど遅く、力が伝わらなかった。


『カカカカ。陸上の生物が我らシードラゴンズを相手にまともに戦えると思っているのか!』


 ……向こうの装着者の声は聞こえずとも、エヴォルダーの声は聞こえるのでそういう意味ではエヴォルダーの声が直接脳内に響くというのはありがたい。少なくとも、表面的なものは。


『やかましいぞツヴァイ。坊主、あの女より先に楽にさせてやろう』

『貴様ら、恥ずかしくないのか!? 武装していない女に不意打ちなどと……!』


 ゼロの怒りの声が水中にいる装着者たちに響き渡る。

 その声が一姫さんを捕まえている奴にも伝わったせいか、動きを止めて呆れたような声で喋った。


『阿呆が。貴様らの実績やこの女の戦力を考えれば当たり前の判断だ』

『お、アインが珍しく返事してる』

『ドライ、黙っててやれよ。勝ち確定みたいなもんだからこの坊主が死ぬ前に冥途の土産ってやつだろ』


 ギャハハ、とツヴァイとやらが笑う。

 それに憤慨したのかゼロはさらに怒りに燃え、吠えた。

 その声に対してアインが鬱陶しそうな声で二度『阿呆が』と答えた。


『卑怯だと思うなら勝手に思え。罵りたければ罵れ。足りない戦力、格上との差を埋めるために手段など選んでいられるか』


 そう言って奴は捕まえていた一姫さんを一瞬だけ離し、その首を締めた。


「〜〜〜〜!」


 ゴポ、と一姫さんの口から大きく息が漏れる。まずい、あの状態じゃあと一分も……

 そして『やれ』というアインの言葉と共に俺とゼロは急激に沈められていく。

 水圧によって身体にかかる負担も同時に急激に増えていく。


(まずい、俺の方ももう息が……!)

『くそ……クソ! すまん剣、我が無力なばかりに…;一矢報いることすら……!』


 口惜しい、そう考えるほどにゼロはこの状況に屈しかけていた。

 ここで俺が言うべきことは……いや、やることは。


(バカが! ここから逆転するんだよ……!)

『剣……?』


 強がることだった。

 すでに身体は水圧によるダメージ、酸素低下による思考能力の低下。

 そんな状況で俺が導き出せることなんてそんなものだった。

 だってここで終わったら、一姫さんはどうなる?

 短い付き合いだが、彼女は死なせていい人じゃないし、死なせたくない。

 だったらあがくしかないだろ。

 アホでけっこう、バカでけっこう。チンケで惨めでちっぽけであったとしても。


(だからゼロ、お前も折れずに付き合ってくれ!)


 身勝手で子供じみたわがままをゼロに伝える。少なくともあの日にゼロたちに出会ったことで俺は前よりも少しだけ自分に自信が持てるようになったんだ。

 だったら今度は俺がゼロを少しでも、助けてやらなきゃいけないだろ!


『く、は……お前は本当にバカなのだな』

(今更だろ……!)

『で、あったな。ならば……我も応えてみせよう!』


 そうゼロが答えた瞬間だった。

 俺たちの身体が、光り輝いたのは。


『『『『!?』』』』


 全員が全員、驚愕し俺を拘束していたツヴァイ、ドライも離れていく。

 だがそんな俺たちの動揺をよそに、急速に俺が絡っているゼロのアーマーが『再構築』されていった。


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