表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

4/24

4・ベアトリスちゃんはピアノを弾き続けます

 ベアトリスちゃんの弾くピアノの音が聴こえる。

 最近彼女は家にいる時はピアノを弾いている時が多い。

 それには理由がある。

 先日ベアトリスちゃんのお母さん付きのメイドが来て、頼みごとをしてきたのだ。

 ベアトリスちゃんのお母さんは今はすっかりベッドから起き上がれなくなっている。

 唯一の楽しみは遠くから聞こえる娘のピアノの音色だけ。

 だから彼女を慰める為にもっと頻繁に弾いて欲しいと。

 お母さん大好きなベアトリスちゃんは当然快諾した。

 それから彼女は毎日、五時間ぐらいピアノの前に座っている。

 ずっと連続で弾き続けている訳ではないけれど、ベアトリスちゃんはピアノ以外にも習い事を沢山しているから大変そうだ。

 そのせいで私と遊んでくれる時間も少なくなった。

 けれどメイドにお願いをされた後ベアトリスちゃんはとても喜んでいたからクレームは言えない。


『ねえ、ベロア私嬉しいの。私にもお母様を喜ばせることが出来るなんて!』


 いい子だ。こんな天使みたいな女の子が数年後は悪役令嬢になるなんて全く想像できない。

 ただ、毎日五時間はちょっとやり過ぎじゃないかなと思う。

 私が転生前に住んでいた土地でこれをやったら絶対隣近所から苦情が来ると思う。

 そもそも最初は一、二時間程度だった演奏時間がここまで延びたのは理由がある。

 最初にピアノを弾いて欲しいと頼んできたメイドが、その後もっと演奏時間を長くして欲しいと注文をつけてきたのだ。

 ベアトリスちゃんのお母さんからのお願いだと言って。

 だから現在この屋敷は、陽が落ちるまでは大抵ピアノの音色が響いている。

 でもベアトリスちゃんのお母さんは、娘が自分の為に長時間ピアノを弾き続けるのを喜ぶような人だっけ?

 そんなことを思いながら私はベアトリスちゃんのベッドでうとうとと微睡んだ。 


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ