表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

18/24

18・出来の悪い昼ドラですか?

「ねえ、化け猫。アンタって人間の言葉喋れるの?喋れるなら殺すけど」


 そんなこと言われて話す筈がない。いや話せないけど。

 私が弱々しく鳴くと悪のメイド女はフフンと得意げに笑った。

 子猫相手にマウントを取って楽しそうな成人女性ってかなりやばいな……。


「まあ話せないから頑張ってこんなドヘタクソな手紙書いたんでちゅよね~まあ、破るけど」


 そう下品な笑みを浮かべながらビリビリと紙を破る。

 別にそれ練習だから破られてもショックじゃないんですけど。下手糞な字と馬鹿にされても書いたの私じゃなくてレックスだし。

 ただ、ちょっとカチンと来たのは確かだ。


「飼い主のお嬢ちゃんがパパに泣かされてるのみて、畜生の分際で助けようと思ったの?健気ねぇ」

「にぅ……」

「でもね。あの人が娘を愛することはないわよ。奥様に全然似てないし~」


 そんな事は言われなくても知っている。というか、それよりも気になるのはこの女がマクシミリアンを『あの人』と言ったことだ。

 ただの主人とメイドの関係にしては馴れ馴れしすぎる。そして馬鹿にしているようでもない。

 私の中に眠る前世のアラサー女の勘が嫌な感じで警告を鳴らしてくる。こういういやらしい言い回しを知っている。

 あれだ。匂わせって奴だ。

 マー坊、お前親としてはクズだけど嫁大好き男だと思っていたのに……。

 元々マイナスだったマクシミリアンへの好感度が底をぶち破ってより深い奈落まで落ちていく。

 私の内面を知らずメイド女は得意げに言葉の続きを言った。  

 

「それにあのガキ、彼と血なんて繋がってないのよねえ~」


 追い出されないだけ感謝しなさいよ。

 そうニタニタ笑う女の醜さよりも、その発言に眩暈がした。

 は?ベアトリスちゃんがマクシミリアンの実の娘ではない?

 なんだその衝撃的な事実。ゲーム内でそんな設定出ていた?

 そしてベアトリスちゃんはそのことを知っているのか?

 混乱する私にメイド女が話しかける。


「ねえ、ご主人様を助けたいならアンタ私の役に立ちなさいよ」


 私がこの家の女主人になったら、ベアトリスをもう少し可愛がるようあの人に言ってあげる。

 だって義理の娘になるのだもの。そう邪悪な表情で女は私に提案してきた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ