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異世界サバイバル~コンビニなし水道なしチートなし~  作者: トタリ
第一章 空を駆ける災害
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サバイバル 1日目~覚悟~

 チカチカと瞼に光が当たり、その煩わしさで目が覚める。まず視界に入ってきたのは風で揺れる木の葉とその隙間から見える青い空だった。

 どうやら平たい岩の上で昼寝をしてしまったらしい。上体を起こし背伸びをすると体中が痛い。我ながら馬鹿なことをしてしまった。

 周囲は見慣れない草木に囲まれていてまるでジャングルのような場所だ。


 今日はどこのキャンプ場に来てたっけ?


 とりあえずスマホのGPSで現在地を確認しようと胸ポケットに手を伸ばす。そこで自分が学ランを着ていることに気づく。

 なぜ学ランでキャンプに来ているのか記憶を探っていると、徐々に眠る前に何をしていたか思い出してきた。俺はキャンプ場ではなく学校にいたはずだ。


 あの儀式の後、今の状況になるには2つの可能性が挙げられる。

 一つ目は儀式の途中で寝ている俺に激怒したオカ研の方々に山奥に捨てられた。

 二つ目は儀式が成功し異世界に召喚された。

 可能性的には山奥に捨てられた方が高い。

 校則でスマホ禁止だから連絡手段はないがここを離れて人に会うことができれば帰れるだろう。

 目標が決まったなら後は行動するのみ、俺は生い茂る草をかき分けジャングルの中に入っていった。


 道なき道を歩き続けて3時間くらい経っただろうか、太陽を目印にまっすぐ進んでいるつもりだが一向に景色が変わらない。ただひたすら緑、緑、緑だ。

 足場は悪く歩くだけでかなりの体力を失い、気温も湿度も高い。だからと言って薄着になれば棘の生えた植物や枝に手だけでなく体中傷だらけにされるので、学ランのボタンを外すくらいしかできない。大量の汗で水分は失われ喉はカラカラだ。

 日も暮れはじめ、辺りが暗くなってきている。今日はもう限界なので仕方なく野宿の準備を始める。準備と言っても低い位置で二股に分かれた頑丈そうな枝のある木を探すだけだ。

 まともな寝床を作る材料も時間も無いし、地面には八本足のミミズや魔女の手のような五本足の虫など気味の悪い生き物がうじゃうじゃいるからそこで寝ることだけは避けたい。

 

 運良く辺りが真っ暗になる前に良さそうな木を見つけることができた。その木から伸びた複数の枝は幹から2mほど離れた所で極端に垂れ下がりまるで幹を守る檻のように地面に刺さっている。

 枝の間を潜り抜け中に入ろうとしたが、暗さで目測を誤り枝に接触してしまう。その枝は少しの力で簡単に折れ、中から粘りのある液体が垂れ少し手に付いてしまった。

 その樹液のようなものは手の傷にかなりしみる。洗い流す水がないのでポケットに入っていたティッシュで念入りに拭き取った。


 そうこうしているうちに太陽は完全に沈み、月の光が僅かに足元を照らしてくれる。何とか木の幹に辿り着きよじ登ろうとした時だった。

 体から急に力が抜け、そのままうつ伏せに倒れる。全身が麻痺しているみたいで指先一本動かせない。

 原因は明らかにさっきの液体だろう。この木は見た目通り枝で自身を守っていたようだ。

 疲労はピークに達している上に、麻痺で立ち上がることはできない。

 そのままどうすることもできず、俺の意識は夜の闇に沈んでいった・・・。

 

 目が覚めたのは太陽が昇り始める早朝頃だった。起き上がり、手を閉じたり開いたりして体が正常に動くことを確認する。次に学ラン、ズボン、白シャツを脱ぎそれぞれ力いっぱい払う。

 ついでに体の異常を確認すると足や腕に数か所、虫に噛まれた跡が見つかった。痒い以外症状はないので放っておく。

 自分のうかつな行動でひどい夜を過ごす羽目になったが気を取り直して先に進むしかない。

 日本はそんなに広い土地ではない。今日中には人里に辿り着けるだろう。そう自分に言い聞かせひたすら足を動かす。


 歩き出してから10分くらいだろうか、急な斜面に差し掛かり目の前の景色が一気に開ける。

 俺の目に映ったのは連なる山々とそれを覆いつくす深緑のジャングル。

 それだけなら世界中探せばいくらでも見つけられそうな風景だが、俺のいた世界なら絶対にいるはずのない生き物がそこには飛んでいた。


 鷹の上半身にライオンの下半身、神話や物語の世界にしか存在しないはずの生き物。


 グリフォンだ。

 

 グリフォンは俺に気付くことなく飛び去っていったが、あいつは俺の希望を確実に打ち砕いていった。

 奇妙な虫も植物も俺が知らないだけと無理やり逃避することはできた。だが、グリフォンを見た途端知りたくなかった現実を突きつけられる。


春行「儀式・・・成功してしまったのか・・・」


 膝から崩れ落ち絶望している俺の脳裏にまるで激励するかのように父さんの言葉が蘇る。


 『どんな絶望的な状況になっても行動し、解決していくしかない。それができなくなるまでは絶対あきらめるな。死ぬまでは出来ない事なんてないんだ。』


 この言葉は、地震や津波みたいな災害に巻き込まれた時のための教訓なのだろうが、今の俺の状況でも十分あてはまるだろう。

 力強く立ち上がり頬を叩く。自分に気合いを入れ今後の行動方針を考える。


 最終目標は元の世界に戻ることだ。そのためには情報が不足している。なら情報収集するべきだが今のままではいずれ餓死する。

 初めに俺がするべきことは安定して生存できる環境を見つける、又は作らなくてはならない。ここからの景色の中に人がいそうな場所は見当たらないから、自分で作らないといけないようだ。


 まずは水の確保が急務だな。今朝、小便をしたが色が濃く脱水症状の兆候があった。

 このまま、まっすぐ行ったら谷に辿り着く。ここからでは見えないがあそこなら川が流れているかもしれない。

 俺はこの世界から絶対生きて帰ってやる、そんな決意を胸に急な坂を慎重に下り始めた。

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