プロローグ
人類最後の砦、王都ガフスの周りには広大な農村地帯が広がっている。今ここで、魔王軍は神から世界を解放するために史上最大規模の戦を行っていた。
魔王軍は魚鱗の陣を展開し持久戦を仕掛けている。
各部隊を率いるのは魔王軍幹部であり最強の布陣を敷いている。
隊列を組み陣形を駆使して戦う魔王軍に対して王都防衛軍はまるで烏合の衆。数の暴力で押し切るため、隊列もなくただひたすら魔王軍に向かって獣のように襲い掛かっていた。
戦場を眺めるように建つガフス城の上空では白銀の鎧を身に纏い金色の光を放つ神と、学生服を身に纏い赤い光を放つ青年の両者が睨み合っていた。
青年「まさか防衛軍全員分の神器を作り出すなんて、自称全知全能は伊達じゃないな。」
神「我を降臨させる為だけにこれだけの大舞台を用意してくれたのだ、相応の礼をせねばなるまい?」
青年「それで人を狂戦士化させるなんていう悪趣味なもん作ったのか、やっぱりお前はここで終わらせるしかないな。」
神「我を終わらせるだと?驕るな異世界人!」
神の能力”万象焼き尽くす原初の火”で右手から白い火球を放つが当たる寸前で青年が展開している能力”絶壊の領域”により消滅する。
神「ほう、やるな。ならこれはどうだ!」
能力”万象滅する終焉の炎”を発動し両手を天に掲げ先の10倍の大きさの火球を叩きつけるが結果は変わらなかった。
青年「やっぱ反省しそうにないな・・・」
青年は目の前の空気を掴むような動作をする。
神「!?」
能力”不可視の縛手” で神は身動きが取れなくなる。そのまま次の能力”圧縮変換”を発動させると神の体が縮みながら変形し始める。
神「貴様!やめろ!我が居なくなれば人類が!貴様の同類が滅ぶぞ、いいのか!」
青年「人類の為に他種族を犠牲にするお前のやり方は大嫌いなんだよ。それに、人類はもう親離れするべきだ。」
神「貴様ぁーーーーーー!」
神の断末魔が聞こえなくなると、そこには黄金の器だけが残されていた。
こうしてこの世界から神はいなくなったのだった・・・