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流れ星を手のひらに  作者: ただみかえで
番外編7~9
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番外編8 その後のクリスマス~3人娘編

*今回はマキ視点です。


「や~、昨日は楽しかったね~~」

 なんで、私の部屋のベッドの上でかのんがゴロゴロしているんだろうか……。

 や、雪の降る中『寒いから入れて~~』って来たからなんだけど。

 ……いつものことか、やれやれ。

「久しぶりにみんな集まって楽しかったわね!」

 大きなクッションに埋もれて漫画を読んでいるミクがいるのも、まぁいつもの光景だ。

 言ってもそんな広い部屋ではないので、私の居場所は勉強机の前にしかなくなるのはちょっと困りものだけど。


「ミクもかのんも、クリスマスに出かける用事とかないの?」

「ん~~~?

 マキの家でごろごろする予定があるよ~~~?」

「そうね、このマンガの続きを読まないといけないから忙しいわよ!

 ……これ、続きはないの?」

 ダメだこいつら、早くなんとかしないと。

 なんて、私も特になんの用もないので人のこと言えないけど。

「はぁ、うら若き女子高生がこんなことでいいのかね」

「じゃあ~、マキは予定あるの~~~?

 デート的な~~~?」

「あるわけない」

「だよね~~」

 間違ってはないんだけど、こう改めて言われると少しクルものがある。

「……この調子だと、10年後も3人で過ごしている気がしなくもないな……」

「うん? そうなんじゃないの?」

 ぼそっと呟いた言葉にミクが即答する。

「ミクはそれでいいの?」

「逆に、マキはダメなの?」

「……そうだなぁ、全然問題ないな」

「でしょ?」


 この先、何が起こるかはわからない。

 誰かに好きな人ができるかもしれないし、お付き合いを始めるかもしれない。

 けど……うん、それでも3人がバラバラになる未来は見えない。


 そういえば、昨日のクリスマス会、途中抜けてから戻ってきた時のすばると冷水先輩は少し雰囲気が違っていた。

 なにかあったのだろうか。

 もしかして告白した、とか?

 まさかね。

 女同士かぁ……色々大変そうだなぁ。


 私だと、ミクやかのんと……?

 うむむむ、さすがに考えられないなぁ。

 もちろん一緒にいるのは楽しいし、きっとこの先も変わらない関係を続けているんだろうけど。


 でも、もし『好き』だと言われたら……?


 …………。

 ダメだ、全く想像できない。

 いや、もちろん嫌いではない。

 嫌いだったらこんなに長いことつるんでないし。

 けど、その私の『好き』には『恋愛感情』は含まれていない。


「どうしたの? 難しい顔して?」

「っ!

 ……い、いや、大丈夫」

 変なことを考えていたせいか、突然のミクのアップに心臓が高鳴る。

 落ち着け落ち着け……。

「変なマキ」

「うるさい」

 ま、なるようにしかならないか。


 窓の外を見ると、しんしんと雪が降り続いていた。

「ホワイトクリスマス、か」

 テレビなどで見るそれは、ロマンチックの象徴のようなものではあるけれど。

 昨日の夜から降り続いた雪はすでに足首を超えるくらい積もっていて、それどころではない。

「もう少し、手加減して降ってくれればいいんだけどね」

「さすがにこれは降りすぎだよね~~~」


「一応聞くだけ聞いておくけどさ」

 ちょうど雪の話になったので、見ないふりをしていたものに視線をうつしながら切り出す。

「ん~~??」

「なによ急に」

「二人の荷物が、普段よりも多い気がするんだけど……」

 そう。

 うちに遊びに来るだけなら、いつもはちいさなポーチや下手すると手ぶらなんてことさえある二人が。

 珍しくちょっとした大きさのリュックでやってきたのだ。

 そう、まるで一泊どこかへ泊まれるような……。

「そりゃ~~、着替えとか必要だし~~」

「ええ、寝る前につける化粧水とかも持ってこないといけないしね」

 予想通りだった。

 でも……

「……えーっと……泊まるって話、聞いてないぞ?」

「え~~?」

「え?」

 なぜそんな不思議そうな顔をしているんだ?


コンコンッ


 そんな時、ふいに戸をノックする音が。


ガチャッ


「あ、ミクちゃんにかのんちゃん、いらっしゃい。

 晩ご飯何かリクエストある?」

 返事をする前に戸を開けたお母さんが、入るなりそんな事を言う。

「おばさんの料理なんでもおいしいから~~」

「おばさまにお任せしますわ」

「え? 泊まるって知ってるの?」

「昨日の夜言ったじゃない。

 今夜は私たち出かけちゃうし、夜は子どもたちだけでよろしくやってね、って」

「『私たち』って、父さんも?」

「そりゃそうよ。

 あと、ミクちゃんとことカノンちゃんとこも」

 そういえば、親同士は昔からの知り合いだったんだっけか。

 中学でミクと友達になった、って話した時にびっくりしてたもんなぁ。

「聞いてない……」

「あらそう??

 まぁいいじゃない、どうせ用事なんてないんでしょ?」

「ないけどさー」

 いい加減だなぁ、もう。

「じゃあ、美味しいもの作っておくから。

 ゆっくりしてってねー」

 そう言い残すと、パタパタと慌ただしく去っていった。


 なんとなく、私たちの未来が見えた気がした。

 恋をして、結婚して、子供ができても。

 きっとこうやって一緒にいるんだろうな。


いつも応援ありがとうございます♪

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