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流れ星を手のひらに  作者: ただみかえで
第2章 部活は必須です
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第9話 屋上へ行こう

「んーーーー!」

 生徒会のお手伝いが終わって、ぐいーっと伸びをする。

 今日はいつもより作業が多かった。

「おねえ、おつかれ」

「なゆ、ありがとー!」

 伸びてたら、なゆがお茶のおかわりをくれた。

 ほんと、よくできた妹だよ。

「すばるちゃん、ありがとうね。

 今日はちょうど書類が多い日で、すっごく助かったわ」

「ほんとほんと、すばるちゃんのおかげで助かったぜ!」

「そうね、スミカよりもすばるんの方がよっぽど役に立ってたわね」

「ぶー。

 いいんだよ、ボクは広報担当だから!」

「あはは、違いねえ!」

 うん、相変わらず濃いなー、ここの人たちは……。


「で、ケイ。

 もしかして、あそこ行くの?」

 『あそこ』ってことは、すみか先輩もどこに行くかわかってる、っぽいなー。

「そうよ。

 すばるんが『星を見る部活』って言うから」

「あー、確かに、あそこ以外にないか」

「うん」

 なんだろ。

 前に何かあったのかな?

「あ、あの!」

「うん? どうしたの?」

 なんてことはない普通の会話だけど、ケイ先輩とスミカ先輩の少し寂しそうな顔が気になった。

 けど……。

「あ、いえ、スミカ先輩も知ってるんですねー? って」

 さすがに、突っ込んでは聞けなかった。

「まあねー。

 きっとびっくりするよ!」

「えー? なんですかー?

 教えてくださいよー?」

「だーめ、見てからのお楽しみ、ってことで!」

「ちぇ~」

 すぐにいつもの明るい感じになって茶化されてしまった。



「わぁ、綺麗な夕日……」

 屋上って来るの初めてだ。

 あ、向かいのあれが屋上プラネタリウム!?

 すっご! おっきい!

「すばるんのおかげで早く終わったけど、それでもいい時間になっちゃったわね。

 日が落ちる前に行くわよ」

「はーい」


ガチャッ

ギィィィィィ


 目的の小部屋は、うちの学校にしては珍しく、ちょっと古い感じがした。

 小部屋っていうより、小屋って言ったほうがしっくり来るかも。

 屋上にあるのが、ちょっとふしぎな感じだけど。

「ここね、学校ができた時からあるんだって」

「へー、そうなんですねー」

 ドアをあけたものの、カーテンが閉まっていたので部屋の中はよく見えない。

 ちょっと埃っぽい感じもするなー。

 あんまり使っていない所なのかな?

「今電気つけるから待ってね。

 あ、中は畳だから、そこで靴脱ぐのよ」

「はーい」

 んっと、ここかな?

 うー、暗くてよくみえにゃい。


パチッ


 パッと部屋が明るくなった。

 上り口がよく見えるようになってよかった。

 足元に注意しつつ、靴を脱いで中に入る。

 入ってすぐは、台所??

 簡単なご飯くらいなら作れそうな設備が整っているように見える。

 え!? 冷蔵庫まである!?

「そんな所で立ち止まってないで、こっちに来なさい?」

 入ってすぐの所で立ち止まっていたら、ケイ先輩に呼ばれてしまった。

 でもなんだろ。

 宿直室? っぽい雰囲気だけど、そんなの見せてもどうしようもないよなー。

「ほら、ここ開けてみて」

 言われるがままに、目の前の引き戸を開けてみると……

「こ、これ……は??」

 まず最初に目に飛び込んで来たのは、大きな望遠鏡だった。

 あれって……ものすごい高いんじゃないんだろうか、ってくらいの大きさのやつ。

 部屋の真ん中にはテーブル(こたつっぽい)があって、その上には小さい望遠鏡もいくつか乗ってる。

 部屋の隅の方には……地球儀と、それより一回り大きな天球儀まで。

 本棚を見たら、星座関連の本もいっぱい。

 あ! あの星座図鑑、うちにもあったやつだ!


 全く頭が追いつかない。

 一体全体、これってどういうこと??

「あの、ケイ先輩……?」

「ふふふ、びっくりしたでしょ?」

 私がぽかーんとしているのを見て、ケイ先輩はなんだか嬉しそうだった。

 そして、その笑顔のまま、こう言ったのだった。


「ようこそ、天体観測部へ!」


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