表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
流れ星を手のひらに  作者: ただみかえで
第10章 クリスマス
89/134

第81話 バレバレ

キーンコーンカーンコーン……


「せ、せーふっ!!」

 予鈴が鳴るのを聞きながら、教室に駆け込む。

 案の定、バスが渋滞に巻き込まれてしまったため危うく遅刻する所だった。

「ん、まぁ、時間的には大丈夫だが、廊下を走るんじゃないぞー」

伊織音(いおね)センセーごめんなさーい」

 すでに先生が教室にいたせいで怒られちゃったけど……。


「おはよーすばる。

 ギリギリなの珍しいな。

 なゆたが起こしてくれなかったの?」

「おはよーまきちゃん。

 そうなの、二人して夜更かししちゃってー……って、待って。

 まるでいつもなゆに起こしてもらわないと起きれないみたいじゃない!?」

「え? だってそうでしょ?」

「ぶー、最近はそうでもないんだよー?

 早起きしてお弁当作るのお手伝いしてるくら――」

「ホームルーム始めるぞー。

 静かにしろー」

「はーい」

 ちらっと? ギロっと? 先生がこっちを見た気がしたので、慌てて口を閉じる。

 なんか、機嫌悪い??


「あー、わかってるとは思うが、来週には期末テストがある。

 それに合わせて、明日から部活は禁止となる。

 図書室などで勉強する分には構わんが、早く帰って勉強をするように。

 あと……その後はクリスマスやらなんやらあるが、学生の本分を忘れてハメを外しすぎるんじゃないぞ!

 非常にめんどくさいことに私が見回りさせられることになったから、余計な問題起こすんじゃないぞー!

 デートとかするなら、見えない所でやれ!」


 ……なるほど。

 それでイライラしてたのね。

 って、なんか、最後の方はだいぶ八つ当たりっぽかったけど……。

 とか思ってたら、

「せんせーはデートじゃないんですかー?」

「……水上、お前の内申点覚えておけよ?

 そう言う相手がいないから、見回り係押し付けられたんだよ悪いか!」

 空気を読まずに突撃した子が撃沈してた……。

「せんせーそれ“しょっけんらんよー”っていうんだよー?」

「うるさい、職権は濫用するためにあるんだ!」

「うわぁ、だめ教師―」

「……水上、お前、本当に内申点下げるぞ?」

「にゃはは、ごめんなさーい」

 全然懲りてないっぽいけど。

 その後、他の子たちからも『せんせーみたいないい女ほっとくなんて男に見る目がない』だの『黙ってたらすごくモテそうなのに』とか、散々傷口に塩を塗(なぐさめ)られてた。

「っとにお前ら。

 街で見つけたら覚悟しとけよ!」

「はーーい!」

 うちのクラスってほんと仲いいな、って改めて思ったのだった。



「んで、結局何して遅刻しかけたんよ?」

 お昼、部室でご飯を食べているとまきちゃんが朝の話を引っ張り出してきた。

「ふぉへ?

 ふとへ……」

 ちょうどおかずを口に入れた直後で、謎言語になってしまう。

「ひょ、ひょっほはっへ」

「ああ、ごめんごめん、慌てないでいいよ」


ごくん


「えっと。

 中学の時の友達とクリスマス会をやろう、って話をしてて。

 結局みんな予定があるってことで流れちゃったんだけど、なんとその中の一人が彼氏ができたとか言っててねー」

「あー、それで夜中まで盛り上がっちゃったってやつか」

「そそ」

 平日の夜中にやることじゃなかったよね。

「彼氏かー。

 ま、女子校のうちらには関係のない話だな」

「えー?

 とかいって、実はいたりするんじゃないのー?」

「あはは、いないいない。

 なんだかんだで、3人一緒なのが落ち着いちゃって」

「ふふ、わかる気がする。

 私もなゆといると落ち着くしなー」

「なーにいってんの。

 すばるにはケイ先輩がいるじゃん?」

「まぁねー……ちょ、ちょ、ちょっと待って!!!」

 あまりにさり気なく言われたものだから、自然と返事しちゃったけど。

 けど!!

「ん?」

「そ、それはどういう意味で……?」

「え、だって、すばるってケイ先輩のこと――」

「あー! あー! あー!

 やっぱり言わなくていいー!」

「お、おう……」


 しばしの沈黙。

 みくちゃんとかのちゃんが購買に行ってるから、今はまきちゃんと私しかいないとはいえ。

 まさかそんな話になるなんて。

 ていうか、

「……なんで、知ってるの?」

「もしかして……気づかれてないと思ってたの?!」

 びっくりした顔のまきちゃんを見ながら、ゆっくりとうなずく。

 そりゃもう、思ってましたとも。

「ああでも、スミカ先輩にもバレバレだったみたいだしなぁ。

 ……そんなにわかりやすい?」

「一目瞭然」

「即答しないで……」

「いや、だって、なぁ……」

 そっかぁ……そっかぁぁぁ……。


ガラガラッ


「購買混んでたーーー」

「危なく食パンしか買えない所だったよ~~~」

 なんとも微妙な雰囲気の中、購買組がやってきた。

「お?

 すばる、どうかした??」

「あ、いや、その……」

 話題を変えたかったので、いいタイミングではあったんだけど。

 どうしよう……あ、そうだ。

「ねね、みんなでクリスマス会しない?」


いつも応援ありがとうございます☆

気に入っていただけたら、評価やブックマークをお願いします★

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ