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流れ星を手のひらに  作者: ただみかえで
第9章 生徒会選挙
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第72話 公示

 文化祭が無事終わり、そろそろ涼しくなってくるかという10月の頭。

 色々な部活の秋季大会と共に3年生の先輩たちは引退し受験へと向かっていく。

 天体観測部には3年生がいないので、特にそういったイベントはないんだけど、生徒会の方では世代交代が起ころうとしていた。


「次の生徒会長って、どうやって決めるんですか?

 やっぱり選挙とかあるんです?」

 天体観測部の部室でまったりとしながらケイ先輩に聞いてみる。

 この時期は生徒会の活動がそんなに忙しくないらしく、ちょこちょこと部活に顔を出すことが多くてなんだか嬉しい。

「ええ、選挙をやるのよ。

 といってもほとんど形だけのものよ。

 新入生代表になるような子をそのまま拉致……じゃなかった、勧誘して役員にしちゃうからね、だいたいそのまま会長になるみたい。

 わざわざ立候補するような人もいないから、ほぼ信任投票をやるだけ、って感じね」

「そんな感じなんですねー」

「だから、今年は私で、来年はなゆたちゃんね」

「なるほど」

 うちの中学も似たようなもんだったなぁ。

 生徒会長が引退する時に役員の中から次の生徒会長を指名、信任投票で反対が過半数を上回らなければそのまま就任。

 副会長以下の役員は、会長が指名して終わり、って感じ。

 よく漫画なんかであるような壮絶な選挙戦なんてものはなかった。

「実際には漫画なんかにあるような生徒会選挙なんてのは、ファンタジーよね」

「え?……ぷっ、あはは」

「あれ? なんかおかしなこと言った!?」

「いえ、ちょうど今おんなじこと考えていたので、なんかおかしくて」

「あら、そうだったのね。

 少し憧れもあるけどね、ああいうの」

「あ、わかります!」

 演説とか、ビラ配りとか、ちょっとやってみたいかも。

 私が生徒会長に立候補とかはありえないから……やるとしたら応援演説かな。

 えーっと『私がケイ先輩が生徒会長にふさわしいと思う理由は~』なんちゃって。


「いやー、あんなのやるもんじゃないですよー」

「あ、マキちゃんおつかれ~」

 日直でちょっと送れていたマキちゃんがやってきた。

 後ろにはミクちゃんとかのちゃんもいる。

「そーそー。

 選挙活動なんてやることいっぱいでいいことないわよ。

 会長になったからって、結局は雑用係だし!」

「三人の学校は、結構ちゃんと選挙やってたんだ」

「すごかったよ~~~。

 立候補者だけで10人くらいいたかな~~~。

 ポスターとか~、ビラとか~、準備だけでお腹いっぱいだったよ~~」

「へー……って、もしかして、かのちゃんも出たの!?」

「違う違う~」

 なんだ、あの言い方だとてっきりかのちゃんが立候補したのかと……

「出たのはマキだよ~。

 ね~~、元生徒会長~?」

「え!

 そうなんだ!」

 意外……ってほどでもないか。

 なんだかんだで火がついたら熱くなりそうだもんね。

「あー……まぁ、うん。

 あの頃は若かった……」

 遠い目をして明後日の方を見るマキちゃん。

 今も若いよ……?

「いい経験ではありましたけどね。

 あんなに大変なのはもういいです」

「そういうものなのね。

 まぁ、うちの学校ではなさそうだから、よかった、ってことかしらね」

「ですね~」


 翌日。

 全校集会で生徒会選挙の公示が行われた。

「――よって、次代の生徒会長を選出するための選挙開始の宣言をいたします。

 第33代生徒会長、根本エレクトラ!」

 舞台上でトラ先輩が宣言する。

 こういうところ、ほんとかっこいいなぁ。

「立候補者、及び、推薦候補者については本日より1週間の間生徒会室にて受付を行います。

 2週間の選挙活動期間を経て、選挙により新たな生徒会長を専任することといたします。

 もし、候補者受付期間に誰も現れない場合、生徒会長推薦である冷水彗(れいすいけい)の信任投票を実施することにより選任致します。

 以上!」


 立候補、はわかるけど、推薦候補なんてのもあるんだ。

 配られたプリントをよく見ると、どうやら100人以上の署名がある推薦書があれば候補者を立てることができるらしい。

 あ、生徒会長の場合は一人でOKなのか。

 というか、生徒会長が推薦しないと0になっちゃうから、人数必要とか言われても困っちゃうんだろうけど。

 実際100人の推薦者なんて集めるの大変だろうから、形だけの制度っぽいなー。



コンコンッ


「お邪魔しまーす。

 なゆ~、帰ろー……ん? どうしたんですか?」

 生徒会室になゆを迎えに来たら、紙の束を前に困った顔をしたスミカ先輩がいた。

 なんかこの間もこんな光景があったなぁ。

「ああ、すばるちゃん……。

 この間の、覚えてる?」

「っていうと……ファンクラブの?」

「そうそう、それ」

「え? また来たんですか?」

 やけにすんなり帰ったと思ったけど、実は諦めてなかったのか。

「あ、いや、違う……ってか、あってるんだけど違うというか……」

「どういうことです?」

「これ……」

 差し出された紙の束を見ると――


『推薦候補者 早乙女 純佳

 署名総数、180名』


との記載が……。

 その下の紙の束にはびっしりとクラスと名前が羅列されていて……。

「え、ええええええ!?」

 まさか、こんな風に形を変えてくるなんて……。


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