第71話 ファンクラブ
今回はプロローグ的でちょっと短めです
「こんにちわー……ん?」
今日は文化祭のお片付け日。
天体観測部の方は午前中のうちに終わっちゃったので(暗幕とパネルと片付けるだけだしね)、生徒会のお手伝いにやってきた。
……んだけど、ドアを開けたらスミカ先輩が1枚の紙を見て唸っていた。
「うーん、妙なことになったな」
「さすがにこれは……」
横にいるステラ先輩も苦い顔をしている。
「どうしたんですか?」
「あ、すばるちゃん。
これなんだけど……」
「部活新設申請書、ですか……?」
私が天体観測部を作った(復活させた)時にも書いた用紙。
スミカ先輩から渡されたそれには、なんとも反応しにくい部活名が書いてあった――
『早乙女純佳ファンクラブ』
「これは……」
確かに妙なことになっているなぁ……。
「なんかね、この間の舞台が思った以上に受けたみたいでさ。
それ自体はボクとしても嬉しいんだけどさ。
まさかこんなのまで出てくるとは」
元々ファンクラブがある、という噂はあったものの、こう表立ってくるとさすがにスミカ先輩も参ってしまったみたいだ。
いつも『仔猫ちゃん』なんて言いながら、女の子たちにキャーキャー言われているのにね。
「とはいえ、これは流石に許可するわけにはいかないわね」
「あ、やっぱりダメなんですね、これ」
「ええ。
個人に依存するような活動を学校側が公認するわけにはいかないから」
「なるほど」
それもそうか。
仮にスミカ先輩じゃなかったとしても、誰かの芸能人とかの私設ファンクラブを学校公認でOKするのはおかしな話だ。
実際、申請をした人たちもダメ元だったみたいで、不許可だってことをステラ先輩が伝えたらそのままおとなしく引き下がった。
やれやれ、ってことでこの話は終わるハズだったんだけど、そうもいかない事態が起こったのだ。
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