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流れ星を手のひらに  作者: ただみかえで
第8章 文化祭
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第63話 衣装

 衣装部屋はそんなに広くなく、そのせいか歩く隙間もないほどに色んな服が吊り下がっていた。

 わ、この辺ドレスがいっぱい。

 布もフリルもふんだんに使われていて、すごいボリューム。

 これでダンスするんだよね?

 すごく動きづらそうだなぁ。

 でも……ちょっと憧れちゃうな。

 ふふふ、着る機会なんてなさそうだけどね。


 こっちは水着かー。

 グラビアの撮影とかもするのかな?

 布地は少ないわりに、妙にボリューム感がある。

 えーっと……なんか、GとかHとかいうアルファベットが見えた気がしたけど気の所為かな……。

 誤植かな、きっと、うん。

 あ、この間かのちゃんが着てた星条旗柄のビキニもある!

 そうだよねぇ、一般向けというより撮影向けだよねぇ……。

 ん? なんだろうこれ、なんか紐が混ざっ……これも水着なの!?

 いやいやいやいや、何がどうしたらこんなのを!!

 自分が着るわけではないのに、なんだか顔が赤くなる。

 うーん、すごい世界を見た……。


 壁の方まで来るとキグルミがあった。

 ここには棚があって、下側のハンガーに『体部分』が吊り下がっていて(でろーんとした姿はなかなかにシュール)、セットの『頭』が上の棚に乗っていた。

 これはこれで、一回くらい着てみたいかも。


ガラガラッ


「星空さんいますー?」

 うわーうわー、って見ていると、入り口の方から呼びかけられた。

「はーい? キグルミの所ですー」

「いたいた」

 さっき撮影ブースで準備をしていたお姉さんだ。

 どうしたんだろう?

「あれ? ケイ先輩も?」

 お姉さんの後ろには、ちょっと困った顔のケイ先輩がいたのだった。


「え? モデルですか?」

「そう。

 なんかね、篠崎が閃いちゃったみたいで。

 あの2人の後ろに星空さんと冷水さんの2人も追加したいんだって」

「らしいのよ……はぁ」

 ケイ先輩にしては珍しいため息。

「私は目立つのあまり好きじゃないのよ。

 そういうのはスミカだけで十分なのに……」

「ごめんね、冷水さん。

 篠崎は言い出したら聞かないから。

 でも、その分イイモノ撮るわよ?」

「ええ……それは、知ってますけど」


 モデル、かぁ。

 といっても、スミカ先輩たちがメインなのは変わらないので、賑やかし要員なんだろうけど。

 でも、ドレスが着られる、ってことだよね?

 それに……ケイ先輩のドレス姿!!!

 絶対見たい!!!

「先輩っ!

 ドレスですよドレス!

 そうでもないと着る機会ないですし、着てみましょうよー」

「……う、すばるんはこっち側の人間だと思ったのに」

「いや、まぁあんまり目立つのは好きじゃないですけど。

 後ろで添え物やるだけだったらいいかな、って。

 ドレス着てみたいし!」

 見たいし!

「……はぁ、わかったわよ。

 どっちにしろ、篠崎さんの指定じゃ断れないしね……」

「やったー!」

「ありがとうね、2人とも。

 篠崎に伝えてくるわね。

 あと、メインの準備もあら方よさそうだから、スタイリストも一人寄越すわね」



「うわぁああ!

 すごいキレイ!

「すばるんテンション高いわねぇ……」

「だって!

 ドレスですよドレス! 私、一生着ることなんてないと思ってましたもん!」

「素直に喜べる所は羨ましいわね」

「なに言ってるんですかー。

 ケイ先輩のドレスだって、すっごく素敵ですよ!」

「ありがと。

 すばるんもとっても可愛いわよ」

「えへへー」


 私が着ているのは、薄いピンク色でこれでもか! ってくらいにフリルがてんこもりになったふわっふわなドレス。

 ヘッドドレス? っていうこれまたフリルたっぷりでお花までついたものを頭に付けてもらった。

 さらにさらにお化粧までしてもらっちゃったものだからもう完璧別人。

 ……自分で言うのもなんだけど、どこかのお姫様みたい。


 逆に、ケイ先輩の方は落ち着いた深い藍色に銀色のキラキラが散りばめられたロングドレス。

 背中は真ん中くらいまで開いてるし、肩も出ていて、セクシーだけどとってもエレガントな雰囲気。

 ちょっとドキドキしちゃうけど、先輩って肌がキレイだからすごく似合っている。

 手には青のグラデーションがこれまた星空のような長い手袋。

 髪型も凝っていて、いつもはスッと長いロングヘアーがふんわりとまとめられてアップになっている。

 なゆに編み込みをしてもらう時も思うけど、どうやったらあんな複雑な構造を作り上げることができるんだろうか。

 普段出ていないうなじが見えて、そこから大きく開いた背中までのラインがまぶしい。

 色白の肌と、星空のような深い藍色がとてもいいバランスだ。

 ……あとで、先輩の写真を別で撮ってもらえないか頼んでみよう。


「どう? 準備できた?」

「スミカ先輩!

 ど、どうですか?」

「いいねいいね、すばるちゃん可愛いよ!」

「えへへー、ありがとうございますー。

 スミカ先輩も素敵ですよ!」

「だろー?」

 このあいだ体育館で見た時は作成中だった上着もばっちりと決まっていて、まさに王子様という出で立ち。

「お、ケイもいい感じじゃん!」

「ありがと。

 柚子先輩は?」

「もうスタンバってるよ。

 ……すげぇぞ?」


 撮影ブースまで来ると、柚子先輩が篠崎さんと打ち合わせ中だった。

 どこに立つか、とか、どういうポーズにするか、とか。

 イメージ図を見ながら話しているみたいだった。

 けど、そんなことよりドレスだ。

「きれい……」

 思わず見惚れてしまうほどの、真っ赤なドレス。

 歩くのも大変なんじゃないか、と思うほどに裾が長く、私のドレスでも多いと思ったフリルが倍くらいは盛られている。

 逆に、上半身はケイ先輩以上に肩も背中も胸元まで大きく開いていて、スカートのボリュームとの対比がすごく目を引く。

 あんだけガッツリ開いているのにちっとも下品になっていないのはすごいなぁ。

 髪型はきちっとまとめられていて、お花やフリルや宝石っぽいもので彩られている。

 首には高そうなネックレスがぶら下がっていて。

 うん、ああいうのが本物のお姫様っていうんだな、っていうのがよくわかった。

 といっても、映画とかでよくあるような自分が恥ずかしくなって嫉妬する、なんてことは全くなく。

 それ以前に、純粋な憧れが先に出てきちゃうなー。


 これ、すごい表紙になるぞ……!

いつも応援ありがとうございます♪

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