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流れ星を手のひらに  作者: ただみかえで
第8章 文化祭
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第56話 文化祭実行委員

文化祭編スタートです

「よーし、お前ら席につけー!」


 二学期が始まった。

 朝から始業式で、校長先生のお話を聞いて、宿題出して……。

 今日はまだ授業がないけど、なんだかバタバタしていた。

 それも一通り終わり、あとはHR(ホームルーム)が終わったら帰ってお昼ご飯! なんだけど……。

 

「んじゃ、文化祭実行委員を決めるぞー。

 いいんちょ、ヨロシク」

「えー、先生、丸なげですかー?」

 うちのクラスの学級委員の阿東(あとう)さんは、先生相手でも物怖じなくポンポンとツッコミをいれる。

 特に、適当な伊織音先生には容赦がない。

 まぁでも、先生の方もそれを良しとしているっぽいし、なんだかいいコンビって感じだ。

「人聞きが悪いな。

 お前らを信用して任せてるんだよ」

「またうまいこと言って……」

「いいから、任せた」

「はいはい」


「では、文化祭実行員に立候補する人、挙手!」

「…………」

「…………」

「…………」


 阿東さんの問いかけに、誰も声をあげない。

 普段だったらざわざわしているHRも今日ばかりは静かだ。

 そうだよねぇ……。

 どう考えても、大変そうだもんねぇ……。


 うちの学校は部活が必須だ。

 そのため、文化祭においては『クラスの出し物』というものがない。

 やってはいけない、というわけではないんだけど、みんな部活の方がいっぱいいっぱいで、それどころではないんだとか。

 クラスの垣根を越えた『有志』で、なにかをやることはあるみたいだけど。

 それに合わせて、準備期間中は各種委員(図書委員とか美化委員とか)も急ぎのもの以外のお仕事はなくなる。

 生徒会と……文化祭実行委員以外は。


 文化祭実行委員の任期は短い。

 1ヶ月あるかないか、ってところだ。

 けれど、その分密度が濃い……というか、濃すぎる。

 この期間に関してだけ言えば、下手すると生徒会よりも忙しいかもしれない、とはトラ先輩の言葉だ。

 しかも、生徒会と違って部活免除がないので、そっちの準備も同時進行になる。


 つまり、何がいいたいかというと。

 自分たちの準備をしながら『文化祭実行委員』も、なんてとてもじゃないけどやってられない! というのがみんなの総意なのだ。


 では、どうなるのか?

 決めないままで終われない。

 けれど誰も立候補しない。


「えーっと、誰もいないー?

 いや、大変だとは思うけど……部活と両立とか死にそうだけど……きっとやりがいはあるよ……たぶん……」

 阿東さんの声が段々と力を失っていく。

「誰もいないなら、阿東そのままやるかー?」

「わ、私は無理ですよーー!」


 その結果……たいていのクラスでは、学級委員が押し付けられるのだそうだ……。


「あ、あのー……」

「ん? どうした星空―?

 トイレか?」

「いや、立候補を……」

「ほんとっ!!!!!!」

 言い終わる前に、阿東さんの喜びに満ちた声が重なる。

「他に誰もいなさそうだし、うちの部の展示はそこまで大変じゃないから……」

 それに――

 そうでもしないと、忙しいケイ先輩と会う機会がなくなっちゃうし!

 だったら、さっさと立候補しとけよ、って話なんだけどさ。

 大変だよー大変だよー、って話を散々聞かされた後だと、どうにも二の足を踏んじゃって……。

 他に立候補する人がいれば……とか思っちゃったのだ。


「おーし、そんじゃ星空で決まりでいいかー?」

「はーい!」

 今までの静けさはなんだったの? ってくらいに、全員の返事がハモる。

「じゃ、それで。

 他に連絡事項はないし、今日はこれで終わりなー。

 寄り道しないで帰れよー」


 後で聞いた話。

 阿東さんは星座部所属で、文化祭で出す部誌に向けて漫画を描くことになっていたらしい。

 しかも、学級委員だし、という理由で1年生の取りまとめ役も押し付けられたばかりだったのだとか……。

「漫画なんて描いたことないし!

 取りまとめとか言われてもどうしようってなってたし!

 ほんと星空さんが文化祭実行委員を引き受けてくれて助かったよ!!!」

 涙を流しながら感謝されてしまった……。

 ヘタレな私でごめんね!


いつも応援ありがとうございます♪

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