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流れ星を手のひらに  作者: ただみかえで
第7章 夏休みと合宿と
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第54話 思い出と妹

 結局、3回目の朝焼けは夢の中で終わってしまった。

 予想通り全く起きられなかったのだ。

 なゆに「あんなにしても起きないおねえ久しぶりに見た」と言われる程……。

 『あんなにしても』の内容を教えてくれなかったのがちょっと怖い。

 ていうか、ケイ先輩がずっと横を向いて笑いをこらえているんだけど……え? ほんと何したの!?


「さぁ、今日は宿題の日よ!!」

 朝食を終えるなり、ステラ先輩の死の宣告……もとい、今日のスケジュールの確認が。

「うぇぇ。

 わかってはいるけど、やりたくないーー」

 ついつい絞り出すようなうめき声が漏れ出てしまった。

「おねえ……あの時の悪夢は……」

「わかってるよぉ……」

 全然終わらなくて、泣きながら見た9/1の朝日は今でも忘れられない……。

 とはいえ、みんなも宿題ヤダよねぇ、と思って周りを見ると、意外にもそうでもない人が多い雰囲気。

 なんだかんだでみんなしっかりしてるからなぁ……。

 でもでも、おベンキョ苦手組のミクちゃんならきっとわかってくれるはず!


 そう思って、目を向けると、

「でも、みんないる方がだらけなくていいじゃない!

 わかんない時に、かのん以外に聞けるのもいいわ!」

 ……くっ、まさか裏切られるとは……。

 あ、あれ?

 もしかして、こっち側にいるの私だけ?

「ほんと、やだよねぇ宿題」

 よかった、スミカ先輩がいた。

 ……いや、これはよかったでいいのだろうか。

「はぁ、スミカ先輩と同じなのもアレなので、がんばります」

「ちょっとちょっと!?

 あれ!? 私の扱いどんどんひどくなってない!?!?」

「うんうん、偉いわすばるん。

 スミカのようにならないためにも、がんばりなさいね」

「はいっ! ケイ先輩!!

 ……わからない所あったら教えてくださいっ!」

「もちろんよ」

「おーい!! ひどくないー?!」



「……っふあぁあぁぁぁ」

 お風呂が気持ちいい。

 かつてないほど集中して宿題をやっていたら、いつの間にかお風呂の時間になっていた。

「おねえ、ちょっとおじさんくさいよ」

「ええー!

 だってだって、もうなんかとにかく疲れたし!

 温泉気持ちいいし!!」

「ふふ、そうね。

 ほんと、頑張ったものね」

「はいっ!」

 なんとなんと、残るは読書感想文のみ、という快挙。

 それも、明日の午前中には終わるんじゃないかという……。

 すごい! 頑張ったよ私!!


「明日で合宿も終わりかー」

 露天風呂に浸かりながら星空を見上げ、ひとりごちる。

 幼い日に見たあの風景と重なり、思わず手を伸ばしてみる。

「何してるの? おねえ」

「んー? なーんか、掴めそうだなぁ、って」

「そう言えば、小さい頃よくやってたよね」

「そうだったっけー」

とかいいつつも、ちゃんと覚えている。

 あまりにも目の前いっぱいに広がっているものだから、1個くらい持って帰ろうと思ってたんだよね。

「そうだよ。

 で、1個も掴めなくて泣いちゃって……」

「う……よくそんなこと覚えてるね」

「あら、小さい頃のすばるんて、ずいぶんと可愛かったのね?」

「えへへ、そんな頃もありました。

 たまに流れ星が流れると、落ちてきたものくらいなら拾えるかなー、とか」

 当然、その辺に落ちてるわけもないんだけど。

「でも、お月さまはなんか怖かったなー」

「月が?

 どうして?」

「まあるくて大きい、ってのもありますし、なによりずっとついてくるので」

「『逃げても逃げてもおっかけてくる!!』って言って、お父さんに言ってたよね」

「……なゆ、そういう記憶は残しておかなくていいのよ?」

「あの頃のおねえ、可愛かった」

 もう。

「ていうか、なゆもケイ先輩も。

 可愛かっ()って過去形なの酷くないです?」

「あら、ごめんなさい。

 今のすばるんも可愛いわよ」

 そう言ってケイ先輩が頭を撫でてくれる。

 自分で振っていおいてなんだけど、めっちゃ照れる……。

「照れるおねえは可愛いと思うよ?」

「……余計な事は言わなくていいの」

 最近、なゆの姉いじりが加速している気がする……。


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