第51話 早起きと寝ぼけ眼
今回は少し短めです
翌朝。
眠い目をこすりながら、なんとか日の出前に起きる。
「おはよう、なゆ~」
「ん、おはようおねえ」
「ケイ先輩は~?」
「お手洗い行ったよ」
「ん~~」
昨日はしゃぎすぎたせいか、さすがに眠い……。
「おまたせ。
お、すばるんも起き……起きてるの? これ」
「ふぁっ……起きてますよ~~~」
一瞬夢の世界に旅立ちかけたけど、先輩の声で目が覚めた。
うんうん、バッチリ起きたよ、バッチリ……。
「このままだとおねえがサクッと寝そうなので、行きましょう」
「そうね」
他のみんなを起こさないようにそっと出る。
今日はちゃんと上着も羽織った。
「おはようございます。
今日は皆さんお早いですね」
玄関口では、今日も瀬田さんがお掃除をしていた。
昨日はバーベキューを仕切ってくれたり、星を見に連れて行ってくれたりしたのに、もう起きてるなんてすごいなぁ……。
「ええ、すばるんが朝焼けがきれいだった、と聞いて」
「なるほど。
お気をつけていってらっしゃいませ」
「ありがとうございます」
なゆに手を引かれてビーチを歩く。
今日は昨日行った露天風呂の方ではなく、逆の東屋の方に向かうことになった。
「もうすぐ日の出かしら」
時計を見ると……あれ、時計忘れた。
手を引くなゆの手元を見ると5時40分……ん? あれ?
なゆってこんな時計してたっけ……?
「どうしたの? すばるん?」
「ふぇ?」
思ったよりも近い所から聞こえる声に、顔をあげるとケイ先輩がいる……!?
「わっ!」
ずっとなゆだと思っていた手はケイ先輩のものだった!
思いがけない事態にあわあわしていると、
「変な子ねぇ……」
と言われてしまった……。
「あぅ、ちょっと寝ぼけてたみたいで」
「もう大丈夫?」
「はい」
おかげさまで、今度こそバッチリと目が覚めました!
東屋についた頃にはちょうど日の出の時間になっていた。
「すごいね、おねえ」
「でしょー?」
「これは本当にすごいわね」
「ふふーん」
「……なんですばるんがドヤ顔してるのかわからないけど」
「えへへ」
昨日よりも少し雲が多い空は、その雲が赤い光を吸い込んだおかげで違ったきれいさがあった。
突き抜けるような赤もよかったけど、ふんわりと広がるこの感じもいいな。
パシャッ
せっかくなので1枚。
この感動をそのままは残せないけど、それでも撮っておきたかった。
「どう? うまく撮れた?」
デジカメの液晶をなゆが覗きこむ。
「んー、まあまあ?」
マキちゃんのカメラならもっとすごいのが撮れるんだろうけどなー。
「貸して、私も撮ってみる」
「ん、がんば」
カメラをなゆに渡して手持ち無沙汰になったので、ビーチチェアの並んでいる方へ。
ゆっくり明るくなっていくのを眺める。
贅沢な時間だ……。
完全に明るくなってからもしばらく、ケイ先輩やなゆと取り留めのない話をしていたら、あっという間に朝ごはんの時間になっていた。
戻って「朝焼けを見に行ってた」と言ったら、なんで誘ってくれなかったの?! とみんなから怒られてしまった。
結局、明日はみんなで見に行くことになった……さすがに3日連続超早起きはできる自信がなかったけど……。
万が一の時は置いていってもらおう。
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