第47話 露天風呂と星空
やって来ました温泉回!w
「おおー!これすっごいねー!!」
「もう、スミカ、少しくらい隠しなさいよ」
「えー?
どうせ女同士なんだし、気にすることもないじゃーん?」
「だよなー!ほんと、気にしねーでいいだろ、ンなの」
「トラ先輩、スミカを調子にのらせないでください」
「トラ!そう言う問題じゃないでしょう!?」
「んだよステラ、別に減るもんじゃねーしいいじゃん…って、なーにバスタオルぐるぐる巻いてんの?
とっちまえよほらー!」
「きゃあああ!
急になんしようね!?こんバカトラ!!」
「痛っ!
叩くなよ、肌直なんだから、いてぇーって!
悪かった、悪かったから!!」
なんとも賑やかな声が聞こえてくる。
ケイ先輩と裸のお付き合い!?なんて、変にドキドキしていたものの(一回見られてるけど)。
2,3年の先輩方は、あっけないくらいにサササッと脱ぎ終わると脱衣所を出ていった。
逆に、意識しすぎていて恥ずかしい。
「おねぇ、早くいこ」
「うん、ちょっとまってね」
既に脱ぎ終わったなゆが、わくわくした顔で促す。
なゆって、意外とこういうの好きだよなぁ。
「おーい、お前らー、早く来いよー」
「あ、はーい」
中々来ない1年ズにしびれを切らしたトラ先輩の声がする。
「ほら、ミクも早くいくよー?」
「わ、わかってるわよー!」
「ほ~ら~~、恥ずかしがってても~、しょうがないでしょ~~?」
「そ、そうだけどー!!」
「遅くなると、かえって注目されるぞ?」
「う…む、むこう向いててよ!」
「へいへい、先行ってるぞー?」
「ま、待って!!
それはダメ!」
「も~~、ミクってばワガママちゃんなんだから~」
三人娘がじゃれている様子が聞こえてくる。
ミクちゃん、恥ずかしがり屋さんだもんなぁ。
「おねぇ、私たちいない方がいいかも?」
「ん、そうだね。
先いってるねー」
「おー!すぐ追っかけるよー」
マキちゃんの返事に隠れるように、えいっ!というミクちゃんの声が聞こえた気がした。
「うわぁ………これ、すごいですね………」
脱衣所から入ってまず目に入ったのがおっきな露天風呂だった。
前に家族で行った温泉宿では、内風呂があって露天風呂があって、って感じだったのに、まさかのダイレクト露天風呂!
(後で聞いたら、いわゆる内風呂、ってのは別にあるらしい)
湯船の向こうには海が広がり……
「って!
これ、外から丸見えじゃないですか!?」
ざっと見渡しても、遮るものが見当たらない。
「お、星空姉妹やっと来たなー!」
「おまたせしましたー…じゃ、なくって!」
トラ先輩、引き締まってるなぁ…っていうか、さっきステラ先輩も言ってたけど少しは隠してください…目のやり場が…
「すばるちゃん、大丈夫よ。
ここ、プライベートビーチだし、予めセバ…瀬田さんが侵入者チェックしてくれているから」
「うちのセキュリティはすげーぞー?」
ふっふっふっふっ、って悪役みたいな笑い方をするトラ先輩。
逆に聞くのが怖くなるくらいにスゴそう…。
「そんなことより、ほれ、上見てみ?」
「上??
屋根ですか?あ、これ椰子の木から作ってるとか!?」
見上げると、なんとなく雨は防げるかなぁ?ってくらいの隙間だらけの屋根が見える。
「ぶっ、チゲーよ、あっちあっち」
「すばるん、おいでー」
トラ先輩の指差す方を見ると、ビーチチェアに座ったケイ先輩が手招きしていた。
ケイ先輩……ほんと、お肌きれいだなぁ。
スタイルもいいし……って、そうじゃない!
「おねぇ、ほら」
「う、うん」
一瞬見惚れてた私を、なゆが引っ張る。
ビーチに降りると、砂の感触が心地いい。
「上、すごいわよ」
言われるがまま見上げると――
「うわぁ……」
そこには、満天の星空が広がっていた。
それだけじゃない。
穏やかな海に映り込んだ星空が、海と空の境界を曖昧にしていて、自分が宙に浮いているような錯覚に陥る。
「どう?スゴイでしょ?」
「はい…」
目の前の光景に圧倒されて、返事もおぼつかない。
「うわ、すごいな、これ…」
「すごいね〜〜」
「うん!!」
しばらくぼーっと見ていた所に三人娘がやって来た。
「お?んだよミク、お前もバスタオルぐるぐる巻きかー!
ていっ!」
「あ、トラせんぱ……ひゃああああああああ!!」
「ああトラ!!
あんた、なんばしよっとか!!」
「いてっ!痛いって!!!」
「少しくらい痛くせんと反省しよらんやろ!!
ほら見てみんしゃい、ミクちゃん泣いとろーが!」
いきなりバスタオルを剥ぎ取られうずくまるミクちゃん。
それを慰めようとするマキちゃんと、笑うだけで助けようとしないかのちゃん。
トラ先輩はステラ先輩にバシバシ叩かれてるし、スミカ先輩もケイ先輩も笑ってるだけで助けようとはしない。
あー、このみんなといると、ゆっくり浸ることも出来ないなー。
「おねぇ、楽しいね」
「うん!」
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