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流れ星を手のひらに  作者: ただみかえで
第1章 星降る学園
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第5話 生徒会全員集合!

「え? なゆを生徒会に??」

「ええ、そうよ」

「え? いや、だって、今日入学式ですよね!?

 こんな初日に!?」

「あー、それなー。

 なんかうちの伝統らしいぜー」

「伝統??」

「そそ。

 新入生代表に選ばれた子を生徒会に拉致……じゃなかった、勧誘するのって」

 今、拉致って言った……。

 自覚あったのね、トラ先輩……。

「なるほど。

 そういうことなら、よろしくお願いします」

「なゆ!? 決断早くない!?」

「特にやりたい部活もないし、先輩たち面白そうだしいいんじゃない?」

 うちの優秀で可愛いなゆなら、アリか……。

 って、いや!

 確かに可愛いけど、顔は私と同じだ!


「あ、あの……。

 なゆは、確かにすごーーーく優秀ですし、可愛いですけど……残念ながら私と同じ顔なので、生徒会に入れるほどの美人さんではないですよ??」

「おねえ……。

 それは、褒めてるのかけなしてるのか自己批判なのかわかりづらい」

 なゆの的確なツッコミが入るがとりあえずはスルー。

 さすがに、私のお顔ではこの生徒会基準を満たしているとは思えないしね!

「うんと、すばるちゃん、だったわよね?

 何か勘違いしているようだけれど、生徒会に入るのに顔の基準はないわよ?」

「え? ほんとですか!?」


「うはははは、すばるちゃんおっもしれーー!!

 生徒会に顔の基準て、うちは何屋だよ?

 あははははははははは」

 そう、そうだよね。

 落ち着いて考えたら当たり前なんだけどさ。

 出てくる人全員が美人さんだし、あまりにも唐突なスカウトだったし、どうやら混乱しきっていたようだ。

 ……は、いいけど、トラ先輩ちょっと笑いすぎ……。

 もう10分くらいからかわれてるよぅ。

「こら、そんなに笑ってはいけないわ、トラ?」

 そうやってトラ先輩を諌めているステラ先輩も、大分顔が笑っている。

「ふふふ。

 でも、ありがとうね。

 そんな風に『美人さん』だなんて言われたの初めてで嬉しいわ」

「またまたー。

 初めてだなんて冗談ばっかり。

 私、こんなに素敵で美人な人って見たことなかったですよ~?」

「……もう、そげん褒めよってもなんも出んとよ?」

「ステラー、まーた出てるぞー」

「あぅ……」

 ステラ先輩、顔を真っ赤にしての方言はずるいです……。

 美人さんが照れると可愛い、とか、どんだけチートですか……。

 釣られてこっちまで顔が赤くなってしまいそう。


「で、でも、本当に言われたことないのよ?」

「えー? いっつも、可愛いって言ってるじゃんー」

「トラは別枠です。むしろ、言わなかったらツネってるわ」

「おーおー、それは怖い」

「そ・れ・と。

 そういう話は、ここじゃない所でしてくれないかしら?

 後輩だって見ているんだから」

「ん? それはあれか、あとで二人でゆっくり、ってこ……痛い!」

「そういうことを言わないで、って今言っているのがわからないのかしら? ツネるわよ?」

「もう! ツネってるって!!!」

 おーい、お二人さ~ん?

 すっごい仲良しなのはわかりましたけど……。

 完全に二人の世界に入ってませんか~? もしも~し?

「え、えっと、あのー……」

「あ、ああ、ごめんなさいね。

 もう、トラが余計な茶々を入れるから」

「んだよー、俺のせいかー?」

 ああ、帰ってきたと思ったのに、また!


 と、その時。


ガラガラッ


「お疲れ様です、遅くなりました」

「お疲れ様でーす」

 残りの生徒会メンバーがやってきた。

 私には、そのお二人が救世主に見えたものだ……。


「それじゃ、残りのメンバーを紹介するわね。

 おケイ、スミカ、自己紹介してくださる?」

「書記兼会計の冷水慧よ。

 迷子のすばるちゃんとまた会えて嬉しいわ、ふふふ」

「ボクは早乙女さおとめ純佳すみか

 よろしくね、仔猫ちゃんたち」

 遅れてきたお二人(救世主)、こと、2年生の冷水先輩と早乙女先輩。

 ケイ先輩は、迷子を案内してもらったので私は覚えてたけど、向こうも覚えててくれたとは思わなかったのでなんだか嬉しい!

 ああ、でも『入学式で迷子の新入生』ってインパクトは強いか……。

 そういう覚えられ方だったら、ちょっとヤダな~。

 なんて言っても遅いケド。


 そして、なんともヅカな空気を醸し出しているのが早乙女先輩。

 自他共に認める学園の王子様なんだとか。

 自己紹介で『仔猫ちゃん』とか言いながらウィンクするくらいだし、好きな子は好きだろうなー。


 ん? あれ?

「あの、ステラ先輩が生徒会長で、トラ先輩が副会長。

 書記と会計を冷水先輩が兼務してるってことは……早乙女先輩の役職って残ってなくないです??」

 私の知ってる生徒会の役職って、この4つくらいなんだけど。

 他にもなんかあったっけ?

「ああ、スミカは『広報』よ」

「広報……ですか?」

 ステラ先輩の代わりに、冷水先輩が答えてくれた。

 ……広報って、生徒会の役職に必要なの??

「ほら、こいつ見たまんま目立つじゃん?

 うちの学校って結構対外的な活動も多いからさー。

 そういう時に表に立ってもらうのに便利だったんよ」

「な、なるほど」

 でも、トラ先輩……十分先輩も目立ちます。

と、口から出そうになったのを我慢した私、偉いと思わない?


「ねえ、おねえ?

 早乙女先輩、どこかで見た気がするんだけど……」

 ふと、横からなゆが袖を引っ張ってそんなことを言ってきた。

 んー、といってもなー、こんだけ目立つ人そうそう忘れないと思うんだけど。

 けど……確かに、入学前に見たことがある気がする。

 どこか街なかですれ違ったとかだろうか……。

「おいおい、仔猫ちゃんたち。

 そんなに熱い目で見つめてどうしたんだい?

 抱きしめてほしいのかな?」

 どうにも思い出せなくて、ついついなゆと二人でじーっと見つめてしまっていた。

「あ、いえ、そういうのはいらないです」

「間に合ってます」


 改めて。

 好きな子は好きだろうな~、としみじみ思いつつ。

 でも、私には刺さらなかった。

「あ、あれ?

 おかしいな。ボクってこんな扱いのキャラじゃないはずなんだけど」

「初対面でスミカビームが効かない子も久しぶりね」

「ケイ~、なんだよそのスミカビームって~」

「初対面の女の子相手にばらまいてるじゃない?」

「えー? 別に普通じゃん??」

 すごいなー。

 あれ、素なんだ。


「あ!! 入学案内のパンフに写真載ってた人だ!」

「え!?

 …………ほんとだ!!!」

 私のうっすらした記憶を一生懸命手繰り寄せてみると、確かにいた!

 なゆ、よく思い出したなー。

「ああ、あの写真かー。

 懐かしいな。

 あれがきっかけで生徒会入ったんだよねー」

「そうね。

 ステラ先輩に、写真映えする知り合いいない? って言われて、連れてきたのよね」

「ふふふ、まさか『噂の王子様』を連れてくるだなんて、思いもよらなかったのだけれども」

 確かに『広報』って感じのお仕事だなー。


「そしたら、私は何をやればいいのでしょう?」

 思い出してすっきりしたのか、なゆが聞く。

 いつもながら、切り替えが早い。

「一応、おケイのお手伝いをしてもらおうと思うのだけれども」

「是非お願いしたいわね。

 書記と会計、なんて1人じゃちょっとキツかったし、ほんと助かるわ」

「わかりました、よろしくお願いします」


 そんなこんなで、とっても長い入学初日が終わったのでした。

 新しい出会いは期待していたけど、まさかこんなに濃いことになるとは思わなかったな。

 私の高校生活、どうなるのかな?

 楽しみと不安を両手いっぱいに抱えながら、結局その日は疲れているにも関わらずなかなか寝付けなかった。


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