第44話 別荘と2回目のくじ引き
「つーいたー!!」
「いえーい!!」
3時間ほどのフライトを経て、ようやく飛行機は目的地である、沖縄へ到着した。
タラップを降りると、もわっとした空気がまとわりついてくる。
「さすがにあちぃーな!」
「もうトラ先輩、あんまりお洋服でパタパタしちゃダメですよ」
「そうよ、トラ。
一応女の子なんだから、少しは嗜みを持ちなさい?」
「ちぇ~、わーったよ。
って、ステラ。
一応、はないだろ?一応は」
「言われたくなければ、最初っからそういうことしないのよ」
「へいへい」
…なんだろう、別の意味で気温が上がってきたなー。
ふぅ、暑い暑い。
「う、うーん。
ほんとコレが南国って感じなんだね~」
ぐいっと伸びをしながら、南国の空気を肺の奥まで吸い込む。
「おねぇ、南国来たことあったっけ?」
「なゆと同じでないよ!」
「うん、だよね」
いいじゃん、そこは気分の問題だよ!
「そういえば、私も南国は初めてだわ」
「あれ?
ケイ先輩もなんですか?」
「ええ、うちは両親があまり暑いところは得意ではないから」
「そうなんですねー」
なんか意外な感じ。
ん?そうでもないかな?
うーん、ま、いっか。
「ボクは、何回かあるよ」
「あー…うん、スミカ先輩は来てそう」
「ちょ、なにそのよくわかんないイメージ」
「夏の似合う女、みたいな?」
「ふむ…それならいいか」
いいんだ…。
家を出たのが、7時過ぎ。
そして、今が15時過ぎ…。
うん、長かったー!
みんないたし、退屈はしなかったとはいえ、こんなに長時間の移動なんて初めてだったので、なんだかんだで疲れたー。
「では、車を回して参りますので、お嬢様がた、もう少々お待ち下さい。
あ、ここからはそう遠くありませんのでご安心を」
といって、私にウィンクをしていく瀬田さん。
うぅ、まだ移動あるの?ってのが顔に出ちゃってたみたい…。
◇
「あの…ここ、ですか??」
「そだよ?
ん?なんか変か?」
「いえ、変、ではないんですけど…」
みんなで泊まれる、というからある程度広いとは思っていたけど、ある程度どころの騒ぎではなかった。
「なんというか、その…」
「旅館みたい、でしょう?」
言葉を探していると、ステラ先輩からの助け舟が。
「ああ、それですそれ!
規模が違いすぎて、どう表現したものか、って迷ってました」
うん、そうだ、旅館だこれ。
「これで、温泉とか食堂とかあったら、まさにですよねー」
「あるぞ?」
「…あるんですか!?」
「ちなみに、裏っかわはプライベートビーチだぜ?」
「なんと…」
ここまですごいと、どこから突っ込めばいいのやら。
少し高くなっている玄関から中に入ると、板張りの廊下の先には大きな階段があった。
「では、私はこちらで控えておりますので、何かありましたらご遠慮無くおっしゃってください」
そう言うと、瀬田さんは玄関脇にある小部屋へ入っていった。
管理人室、みたいな感じなんだろうか。
「私達はこっちよ」
ギシギシと音を鳴らしながら廊下を歩く。
この感じ、おばあちゃんちに行った時に似ててなんだか懐かしい。
そういえばおばあちゃんちも広かったなぁ…さすがにここほどじゃないけど。
廊下の左右にはいくつか部屋があるようで、ふすまが並んでいる。
そのまま突き当りまで歩くと、先導していたステラ先輩がふすまを開けて待っていた。
「ほら、入って入って」
そこは、一体どのくらいの広さなんだろう?ってくらいの大きな畳敷きのお部屋。
全員入っても、まだまだ余裕がある感じは、ほんとすごい。
「はい、みんなお疲れ様。
慣れない長時間の移動で疲れていると思うけど、もうちょっとだけ我慢してね」
「はーい」
全員が部屋に入ったのを確認し、ステラ先輩が真ん中に立ってお話を始める。
トラ先輩でも伊織音先生でもない辺りが、なんとなく面白い。
「まず、この部屋についてだけど、滞在中の寝起きは基本的にここになります。
夜はお布団を敷くのでみんな手伝ってね。
荷物は混ざらないように各自管理すること。
皺になりそうなものとかあったら、押入れにハンガーがかけられるようになってるわ。
ここに来るまでに通ってきた部屋が中くらいの広さになっているので、合宿期間中の打ち合わせなどはそっちで。
生徒会部屋と天体観測部部屋で分けようとは思うけど、それでいいかしら?」
「一緒でもいいんじゃねーの?
別に聞かれて困る話があるわけでもねーし」
「んー……確かに、トラの言う通りではあるけど。
おケイ、どうする?」
「そうですね。
まぁ、私の場合兼任ってのもあるので、その方が楽っていうのはありますね。
人手に困ったら手伝ってもらえますし。
すばるんも三人娘もそれでいい?」
「もちろん!
なんかあればお手伝いしますよ!」
「そうですね。
冷水先輩の意見がほしい時もあると思いますので」
「私はどっちでも~~~」
「マキがいいなら、それでいいわよっ!」
「じゃあ、そうしましょうか。
あとでテーブル運ぶの手伝ってちょうだい」
「合宿期間中のスケジュールに関しては事前に渡してある通り。
遊ぶ時と、そうでない時と、メリハリを付けてやりましょう」
「はーい」
ひとまず今日は移動日なのでゆったり。
明日は、遊びの日!
先にお仕事、って話もあったんだけど、こんな目の前にきれいな海があったらそれどころじゃないだろうし、ってことでまず遊ぼう!ってことになった。
その後、それぞれに文化祭の準備をする日、って感じになっている。
夜は、星を見に行く日とかもあって、すごく楽しみ。
「あとは分担ね。
お掃除はみんなでやるとして、お料理は順番で当番を決めましょう。
くじでペアを決めて交代でやる、でいいかしら?」
「はーい!」
そして、本日2回目のくじ引きが行われた。
「すばるん、よろしくね」
「はいっ!」
私のくじ運ぐっじょぶ!!
見事ケイ先輩とペアになれたのでした。
わーい!
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