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流れ星を手のひらに  作者: ただみかえで
第7章 夏休みと合宿と
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第42話 待ち合わせと執事

ついにやってきました合宿当日!

ワクワクしすぎて昨日はあまり寝られなかった。

どうやら、なゆも同じだったようで(珍しい!)、二人して目覚ましより1時間も早くに起きてしまったのだ。

リビングでぼーっとしててもしょうがないし、ってことで早くに家を出ることにした。

一番乗りだね!なんて、電車でなゆと話してたんだけど、待ち合わせ場所の駅前に着くとすでに先客がいた。


「おーっす、星空姉妹!

 早かったなー」

「トラ先輩、ステラ先輩おはようございます!」

「集合時間までまだあるから、もう少しゆっくりしていたらよかったのに」

「いやー、なんか早くに目が覚めちゃいまして」

「おねぇ、昨日の夜とか遠足の前の小学生みたいだった」

「そーゆーなゆだって、ずっとそわそわしてたじゃーん」

「むー」

顔に出さないようにしてたけど、おねえちゃんの目は誤魔化されないのだ。

伊達に双子やってないからね!

「はいはい、喧嘩しないのよ?」

「喧嘩じゃないですよ〜」

「ほんっと、お前ら姉妹は仲いいよなー。

 俺はにーちゃんいるけど、あんましゃべんないからなー」

「トラ先輩、お兄さんいるんですか!?」

知らなかった。

「あれ?言わなかったっけか。

 つっても、もう社会人やってるから、とっくに独立しちゃってるけどな」

「へーー、そうなんですねー」

男女の兄弟だと、また違うのかなー。

むしろ、うちが双子だからレアケースなのかも?

「お仕事は何をされているんですか?」

あ、それ私も気になった。

「ん?

 飛行機のパイロットだよ」

「おお!すごい!!」

「全然すごくねーって」

「そんなことないわよ。

 今日の飛行機だって、お兄さまが手配してくれたんだし」

「まぁなー、それは感謝してるけどよ」

あれ、トラ先輩、もしかしてちょっと照れてる?

今日は珍しいものが見れる日だなー。


そうこうしてるうちに、全員が集合した。

トラ先輩、ステラ先輩、ケイ先輩、すみか先輩、マキちゃん、ミクちゃん、かのちゃん、なゆ、そして私。

全部で9に…

「ごめーん!遅くなっちゃった」

「へ?伊織音先生??」

どうしてここに?

「先生、時間ギリギリすぎ!

 置いて行っちまおうかと思ってたぜー」

「ごめんなさいね。

 猫を預けるのに手間取っちゃって」

「伊織音先生も行くんですか??」

「もう、すばるんてば。

 一応、部活の合宿ってことになってるんだから、顧問がいないとだめでしょ?」

う、ケイ先輩に笑われてしまった。

「あー!

 そういえば、伊織音先生って顧問でしたね!」

「えっと…その喋り方はすばるの方ね?

 あとで減点しておくわ」

「えええ!!

 そ、そんなー」

「嘘よ。

 そもそも、なんの点数なのよ」

「…伊織音先生の閻魔帳…?」

「本当に作ろうかしら…」

「ごめんなさい!!」

そんなわけで。

総勢10名での合宿がスタートするのだった。



「本日より、合宿の間お世話させていただきます、根本家執事の瀬田と申します。

 皆様気軽に、セバスチャンとお呼びください」

瀬田で、セバスチャン…???

「えっと…?」

「じぃ…いつも思うけど、お前のそのギャグセンスわかりづらいよ…」

「ふむ、ナウなヤングにバカウケだと伺っていたのですが」

「うん、まずそこから古いな」

「左様でございますか。

 困りましたねぇ」


全員集合して間もなく、空港まで乗っていくバスがやってきた。

12人乗りのちょっとずんぐりした可愛いちっちゃなバスだ。

で、中から出てきたのが、セバスチャンさん、こと、瀬田さん。

白髪をオールバックにしてきっちりスーツを着込んだ、漫画に出てくるような執事さんだった。

それにしても。

トラ先輩のおうちが、とってもお金持ちだ、ってのは知っていたけど、まさかこんな執事さんが出てくるだなんて思わなかったなぁ。

そして、まさかこんなお茶目な方だとはもっと思わなかったなぁ。

「ま、そんなわけで。

 細々とした世話をしてくれるうちの執事だ、よろしくな。

 『じぃ』でも、『瀬田』でも、『セバスチャン』でも、『おい』でも、『こら』でもなんでも好きなように呼んでいいから」

「お嬢様。

 さすがに、『こら』はちょっと…」

「『おい』はいいのかよ!」

「可愛いお嬢様方に呼ばれるのでしたら…」

…ほんと、お茶目だ。


「この間説明したけれども。

 合宿期間中の身の回りのことは私たちでやること、は変わらないので、セバ…瀬田さんにあまり頼らないようにね」

「ステラお嬢様、そう仰らずになんでもお申し付けください」

「だめよ、瀬田さん。

 みんなでやることに意味があるんだから」

合宿前のミーティングで、ステラ先輩に言われたことを思い出す。

せっかくみんなで同じ時間を過ごすのだから、食事の用意や家のお掃除などなど、みんなで手分けしてやろう、と。

社会経験として、自分でやることの大変さを知っておくことはいいことだ、って。

この中では、ステラ先輩だけが寮暮らしなので、謎の説得力があった。

…いつも、お母さんがやってくれてるから気づかないことが、いっぱいありそうだな。

「ああ、それと、ステラお嬢様?」

「はい?」

「いつものように、セバス、とお呼びくださいね?」

「…だ、大丈夫です」

「ステラ先輩、セバスさん、って呼んでたんですね…」

「だ、だって!

 瀬田、ってお名前、今初めて聞いたのだもの!!」

「ほっほっほ、そうでしたかね」

「…わりぃ、ステラ。

 じぃは昔からこういういたずら大好きなんだよ…」

「…なんとなく、おかしいな、とは思ってはいたのよ…」

真っ赤になってるステラ先輩、可愛いなぁ。

今日はほんと、珍しいものが……あれ?これは意外とよく見る気がするな。

ふふふ、楽しい合宿になりそうっ!!


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