第41話 買い出しと水着
金曜日がやってきた。
宿題は、思ったより進んだ、と思う。
進んでないのにご褒美もらう、ってのがなんか嫌だったので頑張った!
これはこれでご褒美のおかげと言っていいのかな?
…ある意味、なゆのおかげ、だね。
と、言うことで待ち合わせのグラタンモール到着。
とにかく品揃え、っていうか、店揃え(っていうの??)で言うとナンバーワンだからね。
「せんぱーい、おまたせしましたー」
「待ち合わせぴったりだから大丈夫よ」
「すいません、バスが遅れちゃって」
ちょっと早めに出たものの、事故渋滞、とかで駅までのバスが遅れちゃったんだよね。
おかげで、予定より1本あとの電車なってしまった。
「大丈夫だよ。
それに仔猫ちゃんを待つ時間はボクにとってご褒美さ」
「あ、すみかせんぱいもこんにちは」
「待って待って?
さっきの『せんぱーい』に、ボクは含まれてないの!?」
「ヤダナー、ちゃんとふくまれてマスヨー?」
ちょっとだけ、やたらキラキラオーラを出してる先輩を見なかったふりしただけですよー?
「すっごい心がこもってない!!」
「そんなことより、トラ先輩たちは?」
私達が一番最後かと思ってたら、まだお二人が来ていないみたいだった。
三人娘は、ちょっと離れた所でフロアガイドを見ている。
「先輩方も少し遅れるそうよ。
家から車で来る、って言ってたから、もしかしたら同じ渋滞に巻き込まれたのかもね」
「あー、そうかもしれないですねー。
確かうちと方向が近かったはずですし」
ピロリン
「あ、トラ先輩からメッセージが。
『もう少しかかりそうだから先見てて』だそうよ。
行きましょうか」
「はーい」
◇
「うーん、どういうのがいいかなぁ…」
今回の合宿は、海沿いの別荘、とのことだったので買いに来たのは水着!
学校指定のものと、中学の時に市民プールに行くのに買ったものくらいしかなかったので…。
「私は別に中学の時のでもよかったんだけど…」
「も~、なゆったら。
さすがにサイズが合わないでしょ~」
「………そうでもない」
あ、もしかして地雷踏んだ!?
「…ご、ごめん…」
「おねえ…謝られる方がツライ…」
「う…」
おっしゃる通りで。
「なゆちゃんなゆちゃん!ちょっとちょっと!」
「ん?
なんですか?早乙女先輩?」
「いいからいいから、こっちこっち!」
ちょっと離れた所からスミカ先輩が手招きしている。
「行っといで―」
「うん、行ってくる」
さて、なゆはスミカ先輩にお呼ばれして行ったし、私もいい加減決めちゃわないとなー。
とは思うんだけど。
うーん、どんなのがいいのか全くわからない。
…他のみんなの様子を見てこよっと。
「マキちゃーん、どんなのにし…うわぉ」
「すばる…『うわぉ』ってなに?」
「いや、だって、ねぇ」
手に持っていたのは、黒のビキニ!!
でも、マキちゃんってば自転車も乗ってるし、結構引き締まってるから似合うかも!
「マキはね~~、えろいよ~~??」
「エロいとか言うなよ!」
ぺしっ
「あいた~、も~~、ひどいな~~~」
「酷くない!」
そういうかのちゃんが手にしていたのは、ふんわりスカート付きのセパレート水着。
色もパステルカラーで柔らかい雰囲気が可愛い。
うんうん、ぽいぽい。
「どんなのがいいかなー、って悩んじゃってさー。
参考に見に来たの」
「なるほどね」
「そしたら、マキちゃんがセクシーなの持ってたから驚いたの!」
「…いやいや、こんなんふつーだって!
よし、すばるもビキニにしよう!」
「えええっ!
さすがに、無理っ!」
「大丈夫だって。
てか、そもそも今ワンピースタイプなんてほとんどないよ!」
そ、そんな事言われてもーーー。
「んっふっふ~、私もすばるちゃんに似合いそうなの探すぜぃ~?」
かのちゃんまでー!
どっちにしても、自分一人ではなかなか探しきれなかったので、2人に任せることにした。
コレは無理!ってのはそう言えばいいしね。
でも、いつもはなゆが選んでくれるので、なんか新鮮。
ちょっと楽しみ!
「マキー?かのんー?
そこにいるー??」
試着室からミクちゃんの声。
いないなー、と思ってたら試着してたのね。
「あ、今私しかいないー」
「あら。
んー…すばるでもいっか。
ちょっと見てくれる?」
シャッ
「おー!
かわいー!」
「ほんとっ!?
ふふ、ありがとっ!!」
試着室のカーテンを開けて出てきたミクちゃんは、タンクトップと短パンといった出で立ち。
全体的にゆったりしてる感じで、花柄+フリルですごく可愛い!
…ん、だけど。
「って、あれ?
それも水着??」
「そうだよ~。
…ちょっと、こっちこっち」
手招きに寄っていくと、上着の裾をそっとまくって見せてくる。
「ちょ、ちょっとミクちゃん!?」
「お、大きな声出さないでよ!」
「ご、ごめん…」
でも、いくら周りに女の子しかいなくても急にそんな大胆な!
「これね、重ねて着る水着なんだ。
下がビキニで、上からこのタンクトップを着るんだよ」
といいながら上着をまくって、下のビキニを見せてくれた…。
…なんだろう、ちょっとイケナイコトをしている気分…。
ドキドキしてきちゃった…。
「このまま水にも入れるし、脱いでもいいし、って感じ。
ちなみに、短パンの下も着てるんだよ」
「へ~~」
…色々あるんだなぁ…。
下も見てみる?って言われたけど、丁重にお断りした。
フリルもついてて可愛いのに、と言われたけど、妙な背徳感に耐えられなかった…。
そういえば、ケイ先輩たちはどんなの選んだんだろう?
ちょっと見に…
「すばるー、持ってきたよー」
「今~、逃げようとしたでしょ~~?」
「し、してないよ!!!」
とりあえず、かのちゃん。
その手に持った、星条旗柄のド派手なビキニは却下でお願いします…。
どこにあったのそんなの!!
結局。
なんだかんだでビキニを買うことになった私。
胸周りと腰回りに、これでもかっ!ってくらいにフリル盛り盛りのやつ。
レース地の上着(ラッシュガードって言うらしい)とセットだったのも決め手だった。
もちろん、レースなので透けてはいるけど、上に着ている安心感はありがたい。
どうしてもワンピースがいい、と言った私にマキちゃんが探してきてくれたのだ。
実際、マキちゃんが言ってたとおり、ワンピースタイプのものはほとんどなくて(あっても競泳用ばっかり)。
さすがに競泳用を海水浴で着るのは、ね…。
「ケイせんぱ~い、買えましたー?」
「ええ、ばっちりよ」
うちらがお会計を済ませた頃には、もう先輩たちはとっくに終わってて、お店の外のソファに座ってのんびりくつろいでいた。
私が一番時間かかってしまったぽくて、申し訳ない。
今日は待たせてばっかりだなー。
「気に入ったの買えた?」
「はいっ!先輩は、どんな感じの買ったんですか?」
「そうねぇ…当日のお楽しみ、ってことで」
「えーーー」
その後、スミカ先輩や、トラ先輩たちにも聞いてみたんだけど、みんな『内緒』のヒトコト。
意外なのは、なゆにも内緒にされたこと。
「ボクの見立ては完璧だよっ!
お楽しみに~~!」
「早乙女先輩に、こんな才能があるとは意外でした」
「えっと、それは褒めてる?けなしてる?」
「もちろんホメテマスヨ?」
「心がこもってないっ!!」
いつの間に、スミカ先輩とこんなに仲良くなったんだろう、と、ちょっとお姉ちゃんはヤキモチですよ?
「おねえはどんなのにしたの?」
「んー…じゃあ、私も内緒っ!」
ふふ、こういう『内緒』はなんだか楽しいかもっ!
あとは、細々したものを買い込んで、今日の買い出しは終了!
合宿はいよいよ来週!
早く来ないかな~~。
女の子の水着って色々あって楽しいですよね♪
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