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流れ星を手のひらに  作者: ただみかえで
第7章 夏休みと合宿と
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第40話 宿題とご褒美

さて。

今、私の目の前には、真っ白なノートがある。

昨日買ってきたばかりの、表紙の色が可愛い、1冊のノートが。

その横には教科書。

数学、現国、古文、世界史、物理、化学、英語……。

うず高く積み上がる教科書をじっと睨みつけ…睨みつけた所でなにも変わらないことに絶望して手元のノートに目を移し…

「はぁぁ……」

大きなため息が漏れる。


「ねぇなゆ?」

「なに?おねえ」

「今ってさー?

 夏休みだよね?」

「夏休みだね」

「なんで、勉強してるんだろう?」

「なんで、って、宿題があるからじゃない?」

「そーだけどーーーー。

 ……夏休みに宿題なんていらないよね」


うちの学校は進学校というわけではないのだけど、平均よりは少し偏差値が高い。

宇宙関係の仕事をしようと思ったらある程度以上の学力は必要なんだろうし、そういう人たちが集まったら、そうなるんだろう。

おかげで受験の時は思ったより苦労した。

家から近くて制服が可愛い、だけで高校は選ぶものじゃない、って当時は半泣きで思ったものだ。

そのくせ、基本方針は『遊びも勉強も全力で!』なもんだから、授業もなかなかにハイレベルだ。

その分?その代わり?、色んな楽しい行事がもあるんだけど。

さらに、どうやら2学期以降その傾向が一気に加速する、と先輩方に脅されているので、今からドキドキものだ。

入学式の日、学長先生が

「宇宙では何が起こるかわかりません。

 そういった時に、支えてくれるのがこれまで努力してきた自分であり、知識の地盤であり、そして何よりかけがえのない仲間たちです。

 新入生の皆さん、よく学び、それと同じだけ、よく遊びなさい!」

って言っていたのを思い出す。


そんなわけで、絶賛『よく学び』中なのである。

本当は、まだ夏休み始まったばかりなので、そこまで根を詰めなくてもいいんだけど。

合宿でも勉強会をやるので……さすがに真っ白なものを持って行くわけにもいかない。

それ以前に、宿題の量が思っていた以上にてんこ盛りなので、毎日コツコツやらないと、ってのもあるけど。

「おねえ?ちっとも進んでないよ?」

「う……」

とはいえ、やる気が出ないものにはどうしようもない。

「先に言っとくけど、最後の方で泣きついても助けないからね?

あの時の悪夢はもう……」

「ごめんなさい…」

かつての悲劇を二人で思い出し…う、ちょっとやる気出たかも。

私も、二度とゴメンだ。

「でもさー?

 なんかこう、夏休み始まったばかりで、テストも終わったばかりで。

 ちょっとは勉強しなくてもいいかなー?って思わない?」

「あんまり」

「むー、優等生ちゃんめ」

「…その言い方はキライ」

「あ…!

 八つ当たりした、ごめん」

「うん、許す」

「ありがとー、なゆ好きー」

むぎゅー。

…勢いよく抱きついてみたものの、暑かった…。

「……いくらクーラー効いてても暑い」

「うへへ、うちの妹はほんと可愛くてよかおなごじゃ」

「…おねえ、全然やる気ないでしょ?」

「そ、そんなことないよ!

 ちょっとはあるよ!

 ちょっぴり、少し、わずかに、もしかしたら…?」

「もしかしたら、は、ないのと同じだね」

「…そうとも言う。

 いちおう、0ではないんだけどねー」

「しょうがない。

 私、一区切りついたし、一旦休憩するけど。

 おねえもコンビニいく?」

「いくー!

 アイス食べたい!」

「そういえば、今日新作出る、って何かで見た気がする」

「お!そうなの!?」

「うん、チョコミントの」

「…チョコミントきらーい」

「おいしいのに」

「チョコミン党員め」

「いつでも入党お待ちしておりますよ?」

「入らないよっ!」

私には歯磨き粉食べてるようにしか思えないんだよなー。


「あ、そうだ。

 おねえ、ご褒美があれば頑張れるよね?」

「ご褒美!?

 なんかあるの?!」

「…おねえ、ちょろい」

「う…」

我ながらそう思う。

「ちょっとスマホ貸して」

「スマホ?

 はい」

なんだろう。

「何するの??」

私の問いかけに答えず、スッスッとスマホをいじる。

「あんまり変なとこ見ないでねー?

 双子とはいえ、私にもプライバシーが…」

「…自分で全部見せてくる人のプライバシーって?」

目線は上げずに鋭いツッコミが…。

そうでした。

「なゆに隠すことなんてなんにもないしねー」

「…もう少し隠してもいいのに」

「なゆにも同じこと返すよー?」

「……だね」

もちろん、なんでもかんでも、ってわけではないけど。

なゆに隠さなきゃいけないこと、なんて想像もつかない。

「はい、ありがとう」

とか考えていると、スマホが戻ってきた。

「ほーい。

 で、何してたの?」

「ふふふ、あとでのお楽しみ…」

なんだろーー??


ピコンッ!


お?

なんかメッセージが来た音。

通知画面には…ケイ先輩からのメッセージであることと、こんなメッセージが


『いいわよ。

 じゃあ、土日は混むから、金曜日にでも行きましょうか』


「へ…?」

なにこれ、どういうこと??

なにが『いいわよ』なんだろう??

「どうしたの?」

「ん?

 なんか、ケイ先輩からメッセージが来たっぽいんだけど、よくわかんない内容で」

「ああ。

 先輩、早かったね」

「え?」

「送信メッセージ、見てみたら?」

んん???

あ!これ、なゆがなんかやったのか!

改めてスマホのメッセージアプリを開いて、中身を確認。


『ケイ先輩!

 今週末に、合宿の買い物に行きたいんですけど、一緒に行ってくれませんか?』


という、私が送ったことになっている(なゆが送った)メッセージが…。

「なーゆー!」

「ご褒美。

 頑張れるでしょ?」

「……がんばる…。

 あ、でも、合宿の買い出しならなゆも一緒に行こう」

「え?私はいいよ。

 先輩と2人で行ってきなよ」

「だーめ。

 なゆとのお出かけも、ご褒美だから」

気持ちはすっごく嬉しいけど、ケイ先輩と2人で行ったら、なゆは1人でお買い物、になっちゃうからね。

「いいの?」

「もちろん!

 …それに、ケイ先輩と2人っきりでお出かけなんて、デートみたいじゃん!!!

 ドキドキして何していいかわからないよ!!」

「うーん、だからご褒美だったんだけどなー」

「…いいの!

 あとさ。

 できれば、デート…は、自分でちゃんと誘いたいな、って」

「ん、そっか。

 …余計なことしちゃった?」

「ううん、全然!!

 嬉しいの間違いない!」

「そっか、ならよかった」

「メッセージ送っておくねー」


『ありがとうございます。

 それと、なゆも一緒に行っていいですか?』

『もちろんよ。

 そしたら、他のみんなにも声かけてみる?』

『そうですねー。

 みんなでわいわい行きましょう♪』

『OK!

 じゃあ、私の方から声かけておくわね』

『ありがとうございます!

 よろしくおねがいします』


いつも応援ありがとうございます♪

ちなみに、私はチョコミン党員です♪

コンビニにチョコミントが溢れるいい季節になりましたね!


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