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流れ星を手のひらに  作者: ただみかえで
第6章 期末テストをやっつけろ!
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第39話 おわったー!

…あれ、私、どうしたんだっけ?

お風呂からあがって、ちょっと色々あって、スミカ先輩が戻ってきて。

さあ気合入れて勉強再開だー!って…あ、その前に、ケイ先輩がスミカ先輩のスキンケアをぐりぐりとやって。

ちょっと不機嫌そうにしながらも、言われるがままに化粧水を染み込ませてるスミカ先輩の姿は、ちょっとレアだったな。

もう面倒くさいからこんなもんでいい?なんて言って、その度にケイ先輩に怒られてたっけ。

仔猫ちゃんたちのためでしょう?って。

そういえば、スミカ先輩っていつも『仔猫ちゃん』たちに愛を振りまいているけど、本命さんっていないのかな?

みんな愛してるよ、なんて言うけど、見た感じは、アイドルとファン、って感じだしなぁ。

そういう役を演じている、っていうか、なんかそんな風に見える。

生徒会室でダラダラしてるとこなんか見てると、全然アイドルオーラないし。

だからって、王子さま役に酔っているわけでもなさそうだし。


って、なんでこんなこと考えてるんだろ。

ああそうだ、今の私の状況がよくわかんなかったんだっけ。

えっと、勉強会再開!ってなってから、ちょっとドキドキは残っていたけど、なんとか集中してがんばって。

…がんばって、いた、よね?

それが、気がついたらふわふわした感じで、どこにいるのかもわかんなくて。

ケイ先輩たちもいなくて…あ、なんか遠くで声が聞こえる気がする。

んー…ま、いっか。

ここはここで気持ちいいし、私がんばったし。

ちょっと、このまま休んじゃおう――。



「すばるちゃん、寝ちゃった?」

「そうみたいね。

 まぁ、さっきまでがんばってたし、このまま寝かせちゃいましょう」

「んだな。

 あとで布団に運ぶの手伝うよ」

「お願い」

ケイの横で、すばるが机につっぷしていた。

ちくたく…と、時計の音と、すばるの寝息だけが響く、静かな室内。

ゆっくりとした時間が流れていく。

「…………なぁ、ケイ?」

「ん?なに?」

「すばるちゃんって、いい子だよな」

「急にどうしたの?」

「だから、いい子、だよな?」

「そうね…。

 いい子よ」

優しい目ですばるを見て、静かに答える。

柔らかな髪に手を添え、撫でながら。

「だよな。

 まっすぐで、元気で、いつも周りに気を遣ってて」

「ちょっとおっちょこちょいな時も多いけどね?」

「はは、そうだね」

「…スミカ?」

急に何を言い出すのだろうか、ケイには検討がつかず、訝しげにスミカを見る。

しばしの沈黙。

「なぁ、ケイ。

 気付いているんだろ?」

「ん??

 何の話???」

「すばるちゃんの気持ち、さ」

「っ!!」

すばるを撫でる手が止まる。

はい、とも、いいえ、とも答えない。

だが、それこそが答えそのものだった。

「すばるちゃんは、いい子だよ。

 スミレ先輩のようには、ならないさ」

「……はぁ…」

ゆっくりと息を吐く。

そのままゆっくりと深呼吸。

「……わかってる。

 でも…まだ……」

すばるを撫でる手を再び動かしながら、今度はどこを見るともなく、また、スミカに返すようでもなく、漏れ出すように答える。

「…や、すまん。

 ちょっとだけ、気になっちゃって」

「ううん、大丈夫。

 …いつもありがとうね」

「ぷっ、ケイから『ありがとう』なんて珍しいこともあるもんだ」

シリアスな空気に耐えられなくなったか、敢えて茶化すように笑う。

「もう!

 ちょっと褒めたらすぐこれだ」

「ははは、ごめんごめん。

 でも、そうか、少しは前に進めそうでよかった」

「たぶん、ね…自分がどうしたいのか、まだ全然わかんないけど」

「そんなもんだろ」

「そんなもんかしら」

「うん」

「そっか」


『それが、ボクでなかったのは、ちょっと残念だけどね』


その言葉をグッと飲み込み、優しくスバルを撫でるケイを眩しそうに見つめ、そっと目を逸らした。

「さて、ボクたちも、そろそろ寝ようか」

時計はすでに3時を指している。

「寝ないでやっても、効率悪いしね。

 そうしましょうか」



――それから、一週間。


放課後。

さっきもらったばっかりのテスト結果を持って生徒会室へ!

本当は、ダッシュで来たかったんだけど、廊下を走ると先生に怒られてしまうので、できるだけの早歩きで到着っ!


ガラガラッ


「せんぱーい!!」

ドアを開けると、正面にはケイ先輩。

仁王立ちで待ち構えて、ってわけではないけど、すぐに目が合ったところを見ると、待っててくれたのかも?

椅子にも座ってなかったしね。

「おつかれさま、すばるん。

 結果、どうだった?」

「えへへ」

ちょっとだけ心配そうな顔で聞かれたので、心配ご無用!ってな感じに笑顔でVサイン!

「お!すばるちゃん、やった!?」

横で見ていたスミカ先輩にも見えるように、結果の紙を二人に見せる。

うちの学校は、個別の答案とは別に、A4の用紙1枚の『結果表』というのが渡される。

それぞれの教科の点数と、主要5科目合計とその他の科目(家庭科とか、選択科目とか)を加えた総合での順位がそれぞれ載っている。


5科目合計381点 98位/278人中


「初の二桁順位です!!」

ぎりぎりだけど!

「おー!やったじゃん!」

「ふふふ、頑張ったわね」

ケイ先輩が優しく頭を撫でてくれる。

「がんばりましたー!」


ガラガラッ


「こんにちわー」

そうこうしていると、マキちゃん、かのちゃん、ミクちゃんの3人娘もやってきた。

「もー、すばるってば1人でさっさと行っちゃうんだもん、待っててよねー」

「あはは、ごめんねマキちゃん。

 一刻も早く報告したくって」

「それで、3人娘はどうだったのかしら?」

すっと私から離れて、ケイ先輩が3人に近づく。

ちょっと残念。

「私はいつもどおりでした、ちょうど真ん中くらい」

「私は~、1問間違っちゃって~~3位でした~。

 なんか~、今回は満点が二人いたみたいなんですよ~~~」

満点!?

え!?結構今回の難しかった気がしたんだけど…どこの世界の話だろう…。

「ミクちゃんは?」

「あ、あのっ!!

 赤点0ですっ!!!!

 ありがとうございました!!!」

深々と頭を下げるミクちゃん。

「よかったわね」

「はいっ!!!」

すっごい、嬉しそう。

勉強会、やってよかったなー。


ガラガラッ


「あれ、みんないる」

「お、なゆー。

 どうだったー??」

「ん、今回は12位」

「え!?」

かのちゃんに負けない!って言ってたのに。

「…もしかして、私の勉強見てたから!?」

「ううん、おねえのせいじゃないよ。

 強いていうなら…あのタイミングで超絶音響上映をやった映画が悪い」

「あー……」

そういえば、日曜日にもう一回行ってたなぁ。

帰ってきてからも、ずっとその話してたし。

「でも、うん、いい上映会だった。

 悔いはない」

「そっか」

生まれてからずっと一緒にいるけど、たまになゆがわからない…。


「でもでも、みんな無事終わってよかったね!

 次は合宿の準備とかしないとね!」

さぁ、夏休みがやってくるぞ!


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