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流れ星を手のひらに  作者: ただみかえで
第6章 期末テストをやっつけろ!
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第33話 名監督の条件?

「おお、おおお!!

 すごい!すごいよなゆたさん!!

 私、こんなに数学と仲良くできそうって思ったの初めて!!

 将来、絶対先生向いてるよ!!」

「ん?どしたのミクちゃん?

 そんなにはしゃいで」

休憩後の勉強会第二部が始まってすぐ。

ミクちゃんから歓喜の声、が聞こえてきた。

「すばる!すばる!

 なゆたさんすごいね!!」

「ちょ、ちょっと落ち着いて。

 なゆは確かにすごいけど、いきなりどうしたの?」

「あ、ご、ごめん…。

 えっとね、数学の問題が全然わからなくて、ちょうど手が空いたって言うからなゆたさんに聞いたんだけど。

 びっくりするくらいわかりやすかったの!!

 かのんに聞いても、全く何もわからなかったのに!!」

「え~~、ミクってばひどい~~~。

 こんなに丁寧に教えてあげてるのに~~~」

「あのねー!

 あんたのは教えてるって言わないの!!

 もっと分かる言葉で説明してよ!!」

「え~~?わかるように言ってるってば~」

「まぁまぁ、ケンカしないで」

どうにも興奮気味のミクちゃんをなだめなる。

「あー、これな。

 ミクの言うことが正しいんだわ。

 かのんの説明、私でもちんぷんかんぷん」

「マキちゃんまで…」

逆に、興味が出てきた。

ちょうどわからない問題あったから、聞いてみよう。


「ねーねー、かのちゃん。

 この問題教えてー」

数学の文章題。

方程式を作って、グラフを書くってやつなんだけど、方程式を作る所から難しくて詰まってしまう。

「お~~、ま~かせて~~。

 えっとね~、まず~、この文章からこういう式が出来るでしょ~?」

…ん?

あれ、なんかいきなり謎の方程式が出てきたぞ?

「え?なんで?」

「お?なんで、って、そういう風に文章が書いてあるじゃ~ん?」

……そうなんだろうか。

えーっと、えーーーっと…??

「…ごめん、なんでこの式になるのかさっぱり…」

「むむ~~、なんて説明したらいいんだろ~~~。

 こうとしかならないんだよにゃ~~」

なるほど…これは中々きびしい…。

「と、とりあえず、この式が出てくるまではいいとして、この後はどうするの?」

「んっと~、そしたら~~、この式がこうなるでしょ~~?」

「…なる、の??」

なんか、いきなり式の見た目が変わったぞ?

「え~?だって、文章にもそう書いてあるじゃん~?」

……どこ、に?

「ごめん、かのちゃん。

 残念ながら、ミクちゃんとマキちゃんが正しい…」

「がーん…」

ごめんね!

でも、ほんとにわからないの!!


「ふふふ、名選手が名監督になるとは限らない、ってやつね。

 かのんちゃんの中では、見た瞬間感覚的にわかっちゃうんでしょうね~。

 紐解いてみれば、きっと正しい手順を踏んでるんでしょうけど、まさに天才タイプね」

ケイ先輩の言う通り、かのちゃんにはきっと私たちとは違う物が見えているんだと思う。

天才タイプ、かー。

すごいなぁ…ははは。

「で、どの問題?」

「あ、えっとですね、これなん…で……すけ…ど………」

「どれどれ…」

ケイ先輩、近い近い!!

ああ、ふわっといい香りがする。

ど、どうしよう、今日の最後体育の授業だったから、私汗臭くないかな!?

一応制汗スプレーは使ってるけど…うう、どうしよう!?

「すばるん??

 おーい、すーばるーん?

 聞いてるー???」

「……は、はい!!

 聞いてます!!

 あ、いえ、すいません、聞いてませんでした…」

「もぅ、ボーッとしてないでちゃんと聞いてなさい?

 いい、この問題はね?」

そうして丁寧に教えてくれるケイ先輩の声を聞きながら、どうしても色んなことが気になって集中できず。

なんとな~くわかった気がしつつ……うーん、でも、きっと自力では辿り着けそうにないなぁ…。

あとで、もう一回なゆに聞いてみよう。

ごめんなさい、ケイ先輩!

…って、私今日、心の中で謝ってばっかりだなぁ。


「さ、もういい時間だし、今日はお開きにしましょう。

 また明日、同じ時間くらいから初めましょう」

時計を見ると18時過ぎ。

7月に入ったとはいえ、もう少ししたら暗くなってしまう。

そもそも、うちの学校は18時半には完全下校、ってルールがあるから、帰る準備をしないと怒られちゃう。

あれ?テスト期間はもうちょっと早かった気が…?


「あら、あなた達、まだいたの?

 テスト前は18時完全下校よ?

 早く帰りなさい?」

と、思ってたら、見回りに来た伊織音先生に怒られてしまった。

うん、やっぱりそうだよね。

「あー、すんません。

 ちょっと勉強会をしてたもんで。

 すぐに帰りますー」

「ん、早くね。

 あ、そだ、勉強会ってことは明日もやるの?」

「一応そのつもりですねー。

 俺らも生徒会の活動なくて暇ですし」

「暇だから勉強会、ってのも、あなた達らしいわね。

 まぁいいわ。

 今日は私だからいいけど、明日は三年生の学年主任が見回り担当だから、時間気をつけておきなさいね。

 試験前だからって、こってり絞られるわよ」

「学年主任って…もしかして、ザビ先っすか?」

「…ぷっ、そのあだ名、まだ残ってるの??

 私が在学中からあるわよ」

「俺も先輩から聞いて、なので。

 たぶん、受け継がれてるっぽいです」

「それ、絶対本人に言っちゃダメよ?」

「わかってますって」

ふふふ、と時代劇の悪い人みたいに笑い合う伊織音先生とトラ先輩。

ザビ先??そんな人いたっけか。

気になる。

…っていうか、

「え?伊織音先生、OGだったんですか!?」

「そーよ?

 あれ、最初に言わなかったかしら?」

「聞いてないですよー。

 ね、マキちゃん?」

「私も初耳だなー」

「あら、そうだったかしら」

相変わらず軽いなー。


「で、ザビ先、って誰なんですかー?」

「世界史の出島先生のことだよ。

 1年生って、世界史は違う先生?」

「うちは浦賀先生ですねー」

世界史、に限らず、各教科で先生は4~5人いるんだけど、1年生の世界史担当は違う先生だった。

「見たことはある?」

出島先生…んーーーー、全然顔が出てこないなぁ。

「もしかして!ザビ、って、ザビエルのザビ!?」

「ミクちゃん正解!

 よくわかったねぇ」

「一回だけ、出島先生がお休みの時の代理で来たことがあったので…」

なにかに気付いたミクちゃんが叫んだけど。

ザビエル、って、あの『フランシスコ・ザビエル』??

あ、出島だから?

いや、違う、時代的にもっと前か。

あれ?あってるっけ??えっと…うん、とりあえず今回の試験範囲じゃなかくてよかった…。

「…確かに、これは本人には言えないですね…」

「そんなにまずいの?」

「うん。

 だって、ザビエルなのは、その…髪型、だから……」

髪型??……あ!?

ザビエルの髪型を思い出した途端、ある1人の先生の顔が浮かび上がる。

「あー!

 あの先生が出島先生だったのか!

 というか…そのあだ名ひどいですね、あはは」

「ひどい、っていいながら、それだけでわかってしまう辺り、すばるちゃんも同罪だよ?」

「だってー」

これ以上ないくらいのあだ名だけど、それだけにヒドイ。

「わかってるとは思うけど、絶対に本人には言わないこと。

 私が在学中に、うっかり口に出して大変な目にあった子がいたから…詳しくは、言えないけど…」

大変な目…しかも詳しく言えない、って…。

こわっ!!!


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