第31話 意外な伏兵
久しぶりに三人娘登場!
「で。
よくわからないまま、すばるに言われた通り生徒会室に来てみたものの…えーっと…」
「生徒会室に~一緒に~~~、って言われたけど~~~。
みく~?なんか悪いことした~~??」
「な、なんで私なのよっ!
悪いことなんてするわけないじゃん!!」
「うーん、だよねぇ。
で、すばる?
結局、どういう状況なの、これ?」
翌日の生徒会室。
何も告げられず(告げてないのは私だけど…)連れてこられた天体観測部三人娘が、それぞれに困惑した顔をしている。
そりゃそうだよね、生徒会室でメンバー勢揃い!してたら、私でもビビる!
「ふっふっふ。
実はね、マキちゃん!かのちゃん!ミクちゃん!!
なんとなんと、先輩たちが期末テストに向けての勉強会をしてくれるのです~」
じゃじゃーん!
って、漫画だったら効果音が付きそうな感じでタネ明かし。
「くれるのです~、じゃないでしょ、すばるん?
元を正せば、すばるんが泣きついたからでしょ~?」
「ああん、ケイ先輩~!
それは言っちゃダメなやつですーー!」
折角、その辺の流れはなかったことにしようとしたのに…。
「あれ?すばるって、そんな成績悪かったっけ?
中間の時は普通だった気がしたけど」
「う…ちょ、ちょっとね、いろいろあって」
さすがに、ここ数日のことについては何も話していない(というか、話せない)ので、なんとも説明しづらい…。
「ま、細かいことはいいじゃん!
三学年のトップが揃い踏みなんて、超贅沢だよ!!」
「贅沢、っちゃ贅沢だけど…
これ、逆に言うと、下手な成績取れない、というプレッシャーが…」
「う…考えないようにしてたのにっ!」
昨日、ふと冷静になってその事に気づいてしまった時に、どうしようかと思ったものだ。
い、一応、ちゃんとした成績を取る、予定には、なってる…けど。
…ちょっと胃が痛くなってきた…。
「で?
実際のところ、三人は試験大丈夫そうなの?」
「そうですねー。とりあえず私は無難に、って感じですかねー」
「マキはもっと勉強すれば、上の成績狙えるのに、面倒くさがってやらないのよ!
ほんっと、手を抜くことだけうまいんだからっ」
「だってさー、とりあえず赤点じゃなきゃいいじゃん。
空いた時間で自転車も写真もやりたいし」
「……それは、とりあえずで赤点回避できない人への嫌味かしら?」
「え?ミクちゃんってそうなの?」
「そうよ?悪い?」
なんだかんだで卒なくこなしてるイメージだったけど。
「あ、もしかして、中間テストのあとしばらく部活に来なかったのって…」
「あれは〜〜補習受けてたからだね〜〜」
「かーのーんー!
余計なことは言わなくていいの!!」
「だから、私が教えてあげる〜、って言ったのに〜〜」
「いーやーよ!
ってか、かのんの教え方はわかりづらいのよ!!」
「はーいはい、喧嘩しなーい」
ヒートアップしていく所に、ケイ先輩がスッと止めに入る。
「…ごめんなさい」
ふと我に返ったミクちゃんが小さくなる。
こういうとこは素直で可愛いと思う…って言うとまたややこしくなるから、黙っとこう。
「ふふ」
ケイ先輩も、同じことを考えてるみたいで、ちらっとこっちを見て合図を送ってきた。
…と、思う。
勘違いだったら恥ずかしいので、そっと心の中にしまっておこう。
「そういうかのんちゃんは?」
「私はですね〜〜」
「私と同じ点数でトップですよ」
答えは後ろから返ってきた。
え?なゆ?
「そ~そ~、世界史で1問間違っちゃって〜〜」
「かのんさんは世界史だったんですね、私は数学でうっかり」
「あ〜、それって〜〜、最後の問題―〜?」
「…そう、それ」
「アレややこしかったよね〜」
「ええ…
世界史は、もしかして…」
「うん〜、最近改まったばっかり〜、って言ってたとこ〜」
「あれは…確かに酷かった。
教科書通り書いたらハズレ、とか」
「ね~、ひどいよね~~~」
うわぁ、珍しい。
こんな対抗心むき出しのなゆなんて、何年ぶりだろう。
ふふ、でも、なんか楽しそう。
このレベルの会話になると、私、全くついていけないからなー。
不甲斐ないお姉ちゃんでごめんよ。
「あ、忘れてた~。
簑田かのんです~、いつもすばるちゃんからお話聞いてます~」
「これはご丁寧に。
星空なゆたです。
同じく、いつもおねえから話は聞いてます」
「あれ?二人ってはじめてだっけ?」
「うん、おねえから話は聞いてたし、テストで名前並んでたから知ってはいたけど」
「そうだね~、クラス違うし、ここに来ることもなかったし~」
「あー、そっかー」
「すばるちゃんから話はよく聞くし~、初めてって感じはしないけどね~~」
「だね、私も初めて感ない」
「ふふふー、よろしくねー」
「こちらこそ」
ガシッと握手。
うんうん、青春だね~。
「そうだ、かのんさん、ちょっと聞きたいんだけど」
「かのんでいいよ~」
「私もなゆたでいいです」
「ほ~い。
んで~?どしたの~、なゆた~?」
「えっとね、この間数学でやったこの公式なんだけど――」
「う~ん、天上人たちの戯れ、って感じだ」
「ま、すばるんは、すばるんのレベルでがんばりなさい?」
「はーい」
私は私にできる範囲で頑張ろうっ!
…それにしても、聞こえてくる二人の会話、半分もわかんないな…。
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主に私が!(笑)




