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流れ星を手のひらに  作者: ただみかえで
第4章 レイニーレイニー
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第22話 どこから驚いていいかわからない

 ここのフードコートはかなり広い。

 お店も20店舗くらいあって、ぐるーーっと回るだけでも時間がかかってしまう。

 なのに、どのお店を見ても行列がいっぱい……。

 あんまり席から遠くのお店の行っても往復だけで時間かかっちゃうし(しかも、人混みをかき分けて行かないといけない)。

 やっぱり近場だと……あ、あれがパスタ屋さんか。

 遠目にメニューを見ながら近づいてみたら、どうやらピザもやっているらしい。

 ピザ……普段見る宅配のやつとちょっと違う感じだなぁ。

 ちゃんと窯で焼きます、って!

 これにしよー、っと。


「5分少々お時間かかりますがよろしいですか?」

「大丈夫です!」

 お金を払って、呼び出し機をもらう。

 5分でピザできるのって、すごいなぁ。

 よし、一旦席に戻ろう。

 多分同じお店だから、一緒に取りにこれそうかな?


「ケイせんぱー……」

「あっれー!! ケイじゃん!

 ひっさしぶりー!!!」


 席に戻って、声をかけようとした瞬間だった。

 この混雑の中でも通るような、大きな声が響く。

「え……!?」

 顔をあげた先輩の目が見開かれ、正面の私……ではなく、右の方に視線が注がれる。

 声の大きさに反比例するかのような小さな背丈。

 私の顎の下くらいしかないんじゃないだろうか。

 長袖のTシャツにジーンズという、かなりラフな、けどちょっと寒そうな格好。

 髪はショートで、一見すると中学生くらいの男の子のような印象を受ける。

 声が可愛らしい感じなので、女性なのだろうけど……(さすがに、このノリで声変わり前の男子ってことはないだろうし……)。

「やー、こんな人混みで会うなんて奇跡だね!!

 久しぶり久しぶり、元気してたー?」

「す、すみれ先輩……どうしてここに!?」

「どうもこうも、ココに来る用事なんて買い物しかないじゃん!」

 先輩……!?

 え!? ケイ先輩の、さらに先輩!?

 てことは、この人……大学生!?

 もう、どこから驚いていいかわからない。


 脳みその処理が追いつかず。

 そのまま棒立ちだった私。

 でもね。

 それ以上に、頭がついていかない事態が起こるなんて思いもしなかった。


 なんと。

 その、すみれ先輩とやら。

 ケイ先輩の席の真横まで行くと……そのまま体を抱き寄せ……頬にチュッとキスをしたのだ!!!


「……へ??」

 我ながら、すごい間抜けな声が出ていたと思う。

 目の前の光景が受け入れることができず、思考は完全に停止。

 手に持っていた呼び出し機をゴトンと落としてしまったのにも全然気づかないで、ただただ呆然としてしまったのだった。

「すばるん!?」

 声に気づいたケイ先輩がようやくこちらに向く。

「お? なんだなんだ?

 連れかい?」

「あ、はい、今年の新入生で後輩の……」

 同時に、すみれ先輩さんもこっちを向く。

 いや、向いただけでなく、そのまま近づいてきて……、

「え……?」

 自然と流れるように抱き寄せられ……頬に……、

「だめ!!!!」

 慌てて駆けつけたケイ先輩によって、すみれ先輩さんは羽交い締めにされ、私へのキスは防がれた。


 え、なに、これ……?


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