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流れ星を手のひらに  作者: ただみかえで
第3章 月は太陽に憧れる 星はまだ瞬かない
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第17.5話 いつかから続くいつもの日々

 すばるが生徒会室で乙女の悩みに頭がいっぱいになっていた頃。

 天体観測部の部室では、ケイ・すばるを除く残りの3人が集まろうとしていました。


 すばると同じクラスの3人は中学の頃からの仲良し。

 3人の中ではまとめ役的な役を振られることの多い財津(ざいつ)真木(まき)

 のんびりお昼寝大好きな箕田(みのた)かのん。

 どうしても素直になれない泉未来(みく)


 いつもは、すばるがいたり、誰か1人が来られなかったり。

 3人が3人だけになることはなかったのですが、今日はどうやら違うようで。

 他に誰もいないからこそ、彼女たちの物語も動くのです。

 ちょっと、真木の視点で覗いてみましょう。


☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★


「こんにちわ~マキさんが来ましたよ~っと」


ガラガラッ


「…………」

 うん、その、なんだ。

 かのん……なんで私より早く来てすでに寝てるのよ?

「……んゆ?

 おー、マキちゃん~早かったね~」

「『マキちゃん~』じゃないよ、全く。

 あれ、すばるは? 先に出たと思ったけど」

「ん~~?? 来てないよ~~??」

 あれ、どこで追い抜いただろう。

「あ、そういえば、すばるは冷水先輩のお手伝いだって言ってたな」


 それにしても。

 あの日、HRで突然すばるが出てきたときはびっくりしたなー。

 写真部も自転車部も思ってた以上にガチで、どうするか迷ってた所だったからちょうどよかった。

 ああいうのを渡りに船、っていうのかな。

 まさか、こんな豪華な部室と設備が揃ってるとは思わなかったけど。

 かのんとみくの二人も入ってくれて、また三人一緒にいられるのは嬉しい。

 みくのやつは、口では嫌がってるけどなー。

 まったく、あの天然のツンデレはなんとかならんもんかね。


ガラガラッ


「こんにちわー!

 ……ってあんた達だけなの? 挨拶して損した!」

 ほんと、なんとかならんもんかね。

 口元ゆるんでるぞ?


「んで、今日はすばるちゃん来てないの?」

「なんか、昨日冷水先輩が生徒会の仕事を手伝って欲しい、って言ってたからそれに行ってるんだと思う」

「そう。

 ってことは、なに、今日は三人だけなの!?

 も、もう、や、休めばよかったなー」

 とりあえずツッコミ待ちか? そうなのか?

「はぁ、みくよー。

 そのツンデレなんとかならんかね。

 うちらは別にかまわないけど、すばるや先輩はたまに心配そうにしてるぞー?」

「え!? 嘘!?」

 まぁ、嘘だけど。

 あれは……心配っていうか、ふしぎな生き物を見る目、な気がする。

 さすがにそれはみくが落ち込みそうなので言わないで置こう。

「で、でも、そんなこと言われ、ても……

 ううう、まきのバカー!」

 え? あれ?

 ……あー、しまった。

 これは自分でも気にしてたパターンか。

 泣きはしないけど、ぽこぽこ叩いてくるのはちょっと痛い。


 みくのこのツンデレが始まったのはいつだっただろう。

 中学で初めて会った頃はこんなでもなかった気がしたんだけど。

 元々恥ずかしがり屋の人見知り、ってのもあって、打ち解けるのに時間はかかったが、打ち解けてからは普通だったと思うんだけどなぁ。

「悪かった悪かった、大丈夫だから、な。

 落ち着けって」

 とりあえずみくの頭ごと抱え込んで、背中をぽんぽんしてやる。

「わ、私だって、別に、好きでこんな性格してるんじゃないもん……」

「わーかった、って」

 軽いツッコミのつもりが、どうやら地雷をぶち抜いてしまったようだ。

 そこそこ長い付き合いになるけど、たまーにやらかすな。


「みくは~、私達と一緒に仲良しするの~~、嫌いじゃないよね~~~??」

 少し落ち着いたのを見計らって、かのんが寝っ転がりながらしゃべる。

 なんだかんだで、この三人の中で一番客観的に物事を見られるのがこいつなんだよな。

「うん……」

「でも~~、仲良し~~~、ってやってるのを、周りから茶化されるのが嫌い~~~、なんだよね~~~??」

「…………うん」

 ……そうだ、そうだよ。

 忘れようとして、本当に忘れちゃうなんてことあるんだな。

 あれ(・・)以来か、みくが普通じゃなくなったのって。

 まだ引きずってたか。

 って、忘れてた私が言うことじゃないけど。

「すばるとさ~~~、冷水先輩だったら、大丈夫だと思わない~~??」

「……………………うん……」

「じゃあさ~~~、すこ~~~~しずつでいいから、変えていこ~~~」

 抱えた頭が、そっと動く。

 声に出さず、でも、確実に頷く。

 顔はこっちをむいていないが、かのんが満足そうな顔をしたのがなんとなくわかった。

 そして、そのままこっちを向かないままシエスタ部の活動を再開したのだった。


「いや、かのん。

 何度も言うが、ここはシエスタ部じゃないぞ?」

「……ぷっ、あはははは。

 そうよーかのん!

 天体観測部、なんだから、寝てばっかりいたらダメよ!」

 おーおー、急に元気になったな。

 その方がいいけどな!


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