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流れ星を手のひらに  作者: ただみかえで
第12章 卒業
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第114話 過酷スケジュール

「かんぱーい!」

 生徒会室にみんなの元気な声が響く。


 卒業生追い出し会の翌日。

 終業式が終わってその午後に、生徒会室にて昨日の打ち上げをしていた。

 メンバーは、生徒会の3人とお手伝いをしていた天体観測部の4人、そこに伊織音(いおね)先生を加えた8人だ。


「みんなおつかれ。

 OGのみんなも、いい会だった、って言ってたし、大成功と言っていいだろう」

 ジュースを片手に伊織音先生が口を開く。

 ほんっと大変だったし、そう言われるとすごく嬉しい。

「ま、なんにせよ今日は気兼ねなく飲み食いしてくれ。

 私は軽く食べたから戻るけど、あんまり遅くならないようにな」

「はーい」

 そう言うと、先生は職員室に戻っていった。

 終業式が終わった、っていうのに、先生って大変なんだなぁ。


「やー、ほんと、無事終わってよかったなー」

 両手にサンドイッチと唐揚げを持ったスミカ先輩が椅子にぐでーっとしながら息を吐く。

 先生がいなくなったからって早いなぁ。

 ……いや、スミカ先輩の場合は先生がいても変わらないか。

「スミカ、お行儀悪いわよ」

「へいへい」

 ぶー、っとしながらも、ちゃんとお皿に戻すのはなんだか面白い。


「でも、先輩方ほんと大変でしたよね。

 というか、スケジュールキツすぎですよね、これ……」

「そーなんだよマキちゃん。

 修学旅行行って、帰ってレポート発表して、期末テストやって、そのまま卒業式って詰め込みすぎなんだよーーー!」

「ほんと。

 もう少し時期ずらしてくれてもいいのに、って思ったわ」

 ただでさえ詰め込みスケジュールの上、追い出し会の準備があるから生徒会の負担はすごい。

 今年は生徒会メンバーが少ないのもあって、余計だと思う。

 その分がんばってお手伝いしたけどね。

「天体観測部のみんなのお手伝いがなければどうなっていたことか」

「お役に立てたようでなによりです」

「ふふふ、ありがとね、すばるん」

 その笑顔が見られただけで、私は十分です。

 ……と心の中でそっと言っておく。

 みんながいる前で言うのはちょっと、ね。

 や、二人っきりだったら言えるか、と聞かれるとそれはそれで自信はないんだけど。


 それにしても。

 卒業式が終わったものの、全然実感がない。

 もともと、受験やらなんやら3年生は学校に来ていなかったから、しばらくトラ先輩たちを見ていなかったし。

 いつの間にか、今ここにいないことが“今の普通”になっていたんだな。

 そう考えると、3年生が登校を免除されている期間って、在校生が3年生がいないことに慣れるための期間でもあったのかもしれない。

 なんてね。


「さて」

 一通り食べ物もなくなり、先生の言う『あんまり遅く』なる前にお片付けをしていると。

 ケイ先輩がホワイトボードにある文字を書き始めた。


『新入生歓迎会』


「みんな片付けながらでいいから聞いてくれる?

 私達の修学旅行から始まった過酷スケジュールですが。

 残念ながらまだ終わりません」

 そこで一旦言葉を区切ったケイ先輩。

 大きく天を仰ぎ、ゆっくりと息を吐くとともにこう付け足したのだった。

「というか。

 多分、最後のこれが一番大変よ……」


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