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流れ星を手のひらに  作者: ただみかえで
第11章 バレンタイン
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第90話 初詣

今回から第3部スタートです!

 年が明けた。

 あのクリスマス会から1週間、あっという間だったなぁ。

 宿題やったり(冬休みは少なめだからいいよね!)、大掃除したり。

 そうこうしているうちに、毎年恒例の家族旅行の日になって。


 お父さんのこだわりで、大晦日~元旦はいつも温泉に来ることになっている。

 普段あまり遠くに行くことなんてないから楽しいんだけど、渋滞がひどいのだけはなんとかならないかなぁ……。

 みんなおやすみだしね、しょうがないとは思うんだけど。


「おはよー」

 旅行から戻って今日は1月2日。

 ゆっこたち中学の頃からの仲良しグループと初詣に行く日だ。

「あれ、お父さんは?」

 リビングに降りてくると、いつも早起きのお父さんの姿がない。

「ああ、昨日の運転疲れで腰が痛いって寝てるわよ」

「なるほど……すごい時間かかったしねー。

 そんな無理して行かなくてもいいのに」

「そう言わないのよ。

 娘たちと旅行に行くの楽しみにしてるんだから」

「ふぅん……そういうもん?」

「そういうもんよ。

 ま、行ける間は付き合いなさいな」

「はーい」



「で、今日は2回めになるわけ?」

「そうなんです。

 なので、初ではない詣でですね」


 今日は生徒会・天体観測部チーム合同の初詣だ。

 といっても、ステラ先輩は帰省してていないし、トラ先輩もそれについていったとのことで、現役生のみだけど。

 それに、私となゆは昨日ゆっこたちと行ってるから、スミカ先輩に言ったとおり2回め詣でだし。

 こうやって休みの間もみんなと会えるのが楽しいからいいのだ。


 昨日もすごく楽しかった。

 ゆかりが約束通り彼氏を連れてきていたので、散々みんなにからかわれてたけど、それを上回る勢いでノロケ回っていたのは面白かった。

「あの大人しいゆかりが、好きな人を前にするとあんな風になるなんてねぇ……」

 中学の頃には見たことのない姿に、思わずつぶやいたら、

「おねぇも人のこと言えないよ?」

ってなゆが言うもんだから、矛先が私に向いて大変だった……。


「ふぅ……」

「どうしたの? すばるちゃん、ため息なんてついて」

「あ、えっと……」

 どうしよう。

 いくらスミカ先輩が、私のケイ先輩への想いを知ってるとは言え、好きな人のことでからかわれて大変だった、なんてみんなの前では言えない……。

 そうだ!

「お、おみくじが末吉だったので、今日こそは大吉を引きたいなー、って」

「あー、『末吉』って一応『吉』ではあるけど、なんというかすごく微妙な気分になるよね」

「ですよねー。

 どうせなら『凶』が出てくれたほうがいっそスッキリするのに」

「確かに」

 しかも、『恋愛』の項目、『難しい』って書いてあって余計落ち込んだな……。

「私は大吉だったので、今日は引かない」

 隣で、ふふん、とドヤ顔なゆが宣言する。

「いいなー。

 ボクも大吉引きたい」

 最近なゆのドヤ顔率が上がっている気がする。

 あまり表情を表に出さなかったので、いいこと、なのかな?

 ドヤ顔メインなのはちょっと気になるけど。



「てか、おみくじってそんな何回も引くようなもんだったっけ?」

 今日こそは! とそっと気合を入れている横からマキちゃんのツッコミが入る。

「う……だってー」

 少しでもいい結果を引きたいオトメゴコロを理解して欲しい。

「おみくじって~~、別に1回だけ~~、な~~~~んて決まり、ないよ~~~?」

「そうなの!?」

 かのちゃんからの助け舟に思わず大きな声を出してしまった。

 横でミクちゃんも同じリアクションをしている。

「そうだよ~~~。

 気に入らなければ、10回でも~~~100回でも~~~引いていいんだよ~~~」

「そ、そんなには引かないけど、もう一回くらいはやりたいかな」

 何回引いてもいいからって、大吉が出るまで引き続けるのもなにか違う気がするし。

「おねぇ、知っててリベンジしようとしてたわけじゃないんだ」

「えへへ」

 なゆは知ってたみたいだ。

 もう、それならそうと昨日言ってくれたらいいのに!


「それにしても、さすがに誰も振り袖着てきてないですね」

 ぐるっと全員を見ても、普段着のままだ。

「さすがに、着付けも大変だしね」

 そう言うケイ先輩の着物姿、見たかったなぁ。

「ん?」

「あ、いえ!」

 つい想像(妄想?)しながらじっと見てしまい、目が合ったケイ先輩に不思議そうな顔をされてしまった。


 クリスマス会での告白。

 アレ以来、ケイ先輩と会うのは初だけど。

 何事もなかったかのようにいつもどおりだ。

 もちろん、周りにみんながいる中、変に気まずくなっても嫌だけど。

 全くなんの反応もない、ってのも寂しいなぁと思ってしまう。

 もちろん、焦るつもりはないんだけど……。


「ほら、ぼーっとしてると迷子になるわよ?」

「はーい」

 みんなは話しながら少し先に行っていた。

 遅れている私に気づいていないわけではないけど、ケイ先輩が待っててくれていたので任せることにしたんだろう。

「行きましょう」

 ケイ先輩の横に並び、そっと手を繋ぐ。


『その『いつか』ができるだけ早く来るよう、いっぱいアピールしちゃいます!』


 あの日、言った言葉を思い出す。

 気持ちを伝えたことで、先輩に対して『想い』を隠さなくてよくなったせいか、なんだか欲張りになったのかもしれない。

 柔らかく笑う先輩が好き、って改めて思う。

 繋いだ手から、私のドキドキが伝わるんじゃないか、なんて事を考えながら先輩を見ると、なんでもないかのように(本当にそうなのかもしれないけど)いつもの顔だ。

 ちょっとだけ悔しい。


 その後。

 引いた『大吉』のおみくじに、


『恋愛:焦らずじっくり待て』


って書かれていて、神様には何でもお見通しなんだなぁ、としみじみ思ったものだった。


いつも応援ありがとうございます♪

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