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流れ星を手のひらに  作者: ただみかえで
番外編7~9
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番外編9 その後のクリスマス~三年生編

次回から、金曜更新にお引越しです★

*今回はトラ視点です


「ん、んーーー!

 こんだけ雪が多いとさすがにさみーなー」

 寒さで縮こまった体を思いっきり伸ばす。

 背中のあたりで、ボキボキって音が鳴った気がするけど気にしない。

「トラ、はしたないわよ?」

 向かいに座るステラに怒られてしまった。

「別に、他に誰が見ているわけでもないんだからいいじゃんよー」

「それでもダメです。

 というか、あなた周りに誰がいても気にしないでしょう?」

「…………そ、そんなことは、ないんじゃないかなー?」

 思わず目をそらしてしまった。

 ちっとは気をつけようと思ってるんだけどなー、こう……つい、な。


 今日は12月24日、いわゆるクリスマスイブだ。

 みんなとのクリスマス会は昨日やったし(すげー楽しかった!)、今日はステラと二人っきりで過ごすことになっている。

 は、いいんだけど……。

「なぁ、ほんとに出かけなくていいのかー?」

 折角なので出かける予定だったのだが、雪が降っていることもあり予定を変更したのだ。

 足首くらいまで積もっているとはいえ、外出できないほどの大雪ってほどでもないから行こうと思えば行けるんだけど、

「別に、無理にどこかへ行かなければいけないわけでもないし、こうやってゆっくりしているだけでも十分よ」

ってステラが言うもんだから、特に何をするってわけでもなく俺の部屋でダラダラしている。

「いいならいいけどよ……いつもどっか連れてけって言うくせに」

「今日はいいの」

「よくわかんねーなー」

 うーん、オンナゴコロってやつは全くわからねぇ……。


「それで、さ」

「ん?」

 ま、考えてもしゃーねーな、って思ってたらなんかステラの様子がおかしい。

 顔赤くして、もじもじして……

「トイレか?」

「……!

 っん、バカトラ! ほんっデリカシーなかね!!」

「いや、だってよー。

 前から言ってんじゃん、そういう細かいコトに気づくのは無理だって」

「はぁ……そうね……うん、知ってたけど。

 でも、恥ずかしいものは恥ずかしいのよ」

「えっと、すまん、なんか恥ずかしいことあったか?

 やっぱトイ――」


ぺしっ


「違うっち言いよろうばい!」

 はたかれてしまった……。

 なーんかあったっけなぁ?


「はい、これ」

 すっと差し出される小さな箱。

 箱……はこ……ハコ……??

「あ!

 あーあーあー、それかそれか!」

 思い出した。

「もしかして、忘れてたなんてことはないわよね?」

 おもいっきりジト目で見られる。

 ……なんか今日はやたら怒られてないか、俺?

「いや、忘れて……たけど、大丈夫、ちゃんと忘れてないから」

「どっちよ?!」

「あー、えっと。

 なんのことか忘れてたけど、ちゃんと買ってるってことだよ」

「……ならいいけど」

 未だジト目のままのステラの視線から逃げるようにして、しまってあった同じような小さい箱を取りに行く。


 春の進路相談の時、卒業したら一緒に住もう、と約束をした。

 うちの大学へ行くってことで学内推薦をもらったから、受験もしなくていい。

 年が明けたら、新生活に向けての準備だ。

 年が明けたら、長いようで短かった高校の3年間が終わる。


 そこで、なにか『記念』になるものが欲しい、ってステラが言い出した。

 急に『記念』と言われても、何がいいのかわからなかったのでステラの希望に沿うことにした。


「ほい、これな」

 取ってきた小さな箱をぽんと渡す。

 少しぶっきらぼうになってしまったが、改めて意識すると心臓がドキドキ言うもんだからしょうがないだろ。

「じゃあ、はい」

 俺の方もステラが出していた小さな箱を受け取る。


 キレイなリボンをほどき、包装紙をほどく。

 出てきた箱を開ける。

 お互いがお互いに似合いそうなデザインを選ぶ、ってことにしていたのでどんなのが出てくるかと思ったけど。

「ん……さすがに、照れくせーな」

「……うん」

 出てきたのは、装飾は少ないが細かいデザインが凝ってるシンプルな指輪(・・)だ。

 逆に、俺がステラに選んだのは3つの指輪を組み合わせてつけるっていうものだ。

 つける順番によって、見た目の印象が変わるってのがなんかステラっぽいな、って思ったんだよな。

 サイズは薬指にぴったり、なん、だが……。

「実際つけると、照れくさいどころじゃないな、これ……」

 自分でも顔が赤くなっているのがわかる。

 ステラなんて耳まで真っ赤だ。

 だからといって、外そうとは思わないけどな。


「その、なんだ。

 改めて、よろしくな」

「う、うん……よろしく」

 お互い真っ赤な顔をしたまま、ゆっくりと近づいていき――


コンコンッ


「お嬢様、なにかおやつなどお持ちいたしますか?」

 ――春の時のすばるちゃんといい、どうしてこういうタイミングに限って誰か来るかね。

 どっかに監視カメラでもついてるのか?

「あー、じぃ?

 用があれば呼ぶから、危機に来なくていいぞ」

「かしこまりました」

 はぁ、やれやれ。

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