灰色の景色
続けて読んでいただいて、ありがとうございます。
山を下りたディックたちがしばらく道なりに歩くと『この先コラル』と書かれた看板が目に入った。
空は薄っすらとオレンジ色に染まってきており、アリアが言っていた時間的にもそろそろだろう。
「もうすぐ着くみたいだな! どんなとこだろう」
目を輝かせるディックをベルナがジトっとした目で見る。
「ディック君浮かれすぎじゃない? 観光するわけじゃないんだよ」
「そ、そうだけど……」
「ディックは王都とか噂でしか聞いたことなかったんだろ。それなら、王都と繋がりのある場所に興味も湧くんじゃないか?」
「リカルドさん、ディック君にも甘いよねー。ま、いいけど、ディック君可愛いから……」
「ねぇ、あれ」
ベルナの言葉を遮って、アリアが声をかけ、前方を指さす。
みんな一斉にそちらを向いた。
「あれが、コラル?」
ディックが首を傾げる。
まだ遠くてはっきりとは見えないが、アリアの指さした方向にあったのは灰色の塊だった。
「地図の位置的にはコラル」
「でも、農業の村なら、もっと緑とか見えてもよくないか?」
「何かあったのかも」
アリアの一言で、みんなの間に緊張が走る。
その空気を壊すように、ベルナがいつもより明るい声で話し出した。
「とりあえず行ってみようよ! 行ってみたら案外何でもないかもしれないしさ!」
「そうだよな。行こうぜ」
「いや、ちょっと待ってくれ」
ベルナの意見にディックが賛同し、再び歩き出そうとしたとき、オリヴィアがそれを止めた。
「どうしたんだ、オリヴィア?」
リカルドが問いかける。
「ああいう風になった町を見たことがある。あの村は、ルインに襲われた後かもしれない」
「どういうことだ」
「私はルインの起こした爆発騒ぎに巻き込まれたことがある。その時の、全てが終わった町に雰囲気が似ているんだ」
「だとしたら、なおさら行かねぇと! 今ならまだ助けられる人がいるかもしれねぇ」
そう言うと、リカルドは村の方に向かって走り出してしまった。
それを呆然と見ていたディックは、困ったような顔になった。
「ルインと遭遇したら戦うのか? 人間と?」
「今更何言ってんの? ディック君の剣ってそういう剣でしょ?」
「え?」
「まあ、いいや。早く追いかけよう」
「そうね」
アリアはベルナの言葉に同意する。
「オリヴィアさんとサイラス君はここで待っててもいいよー」
「いや、私たちも行こう」
「……行く」
結局全員でリカルドを追いかけることになり、ディックも不安そうな顔をしながらもみんなについていった。
お読みいただいて、ありがとうございました。
これからの更新についてですが、一週間お休みさせていただきます。
次は12月31日に更新の予定です。
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