表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/24

真っ赤な火の村 5

続けて読んでいただいて、ありがとうございます。

 ディックとヴィンスが村の奥の方に進んでいくと、ベルナの声が聞こえてきた。

 村人と何か言い争っているようだ。


「だから、早く逃げないと危ないって言ってんじゃん! ほら、行こう! 途中で風熊ウィンベアーに会っても、私が何とかするから!」

「いやじゃ。誰がよそ者の言うことなんか聞くか!」

「そうだそうだ! よそ者は信用できん」

「だいたい、こうなったのもお前たちのせいじゃないのか?」

「あー、もう! 今はそんなこと言ってる場合じゃないでしょ!」


 ベルナの言うことに誰も耳を貸そうとしない。

 そんな状況に耐えきれなくなったのか、ベルナの手が剣を握ろうと動く。

 それに気が付いたディックは、慌ててベルナのもとに駆け寄った。


「おい、それはまずいだろ」

「だって、こうでもしないと動いてくれそうにないんだもん」

「だからって……」


 ディックは言葉に詰まる。

 ベルナの言い分はもっともで、脅しでもしない限り村人が動く気配はない。

 今はまだ風熊ウィンベアーの標的になっていないからいいが、いざというとき、逃げる気のない二十人以上の村人たちを、ディックとベルナ二人でかばうことは難しいだろう。

 

「みなさん、落ち着いてください。この人たちは……」

「黙れ! お前がこんな奴ら連れてくるからこんなことになったんだ!」


 同じ村のヴィンスの言うことも、興奮している村人たちには届かない。


「ねぇ、ディック君、脅さないって言うならどうするの?」

「そ、それは……俺たちで全部倒すしか……」

「はぁ……それ本気で言ってんの? ざっと見た感じ十匹はいたよ。いくらアリアちゃんたちが強くても全部倒すのにどれだけかかるか……」


 ベルナは自分の言葉を途中で引っ込めた。

 そしてポカンと口を開けて、空を見上げる。

 ディックは首を傾げながら、ベルナの視線の先を追った。

 すると、そこには、三匹の風熊ウィンベアーが宙に浮いていた。

 そして、その風熊ウィンベアーたちは一斉に落下を始める。

 グキッだかボキッだかグシャッだか、よく分からない音を立てて三匹の風熊ウィンベアーは、ただの肉塊になった。


「……あれってサイラス君のアビリティだよね」

「……あぁ、たぶん。重力っていうから、相手を地面に押し付けるとかそんなアビリティだと思ってたけど、あんなこともできるんだな。」

「できるみたいだね。サイラス君のおかげで案外早く片付いちゃいそう」

「そうだな」


 風熊ウィンベアーが次々と宙に浮くのを、ディックとベルナ、そして村人たちもただぼんやりと眺めていた。


お読みいただいて、ありがとうございました。

また読んでいただけると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ