表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/24

真っ赤な火の村 2

続けて読んでいただいて、ありがとうございます。

「あー、気持ちよかった! やっぱりお湯に浸かると身体の芯まで温まるねー」


 ベルナの声が聞こえてくる。

 どうやら女性陣が温泉から帰ってきたらしい。


「お姉さん、案内ありがとう! じゃあねー」


 そう聞こえた直後、キィっと扉が開いて、ベルナを先頭にアリアとオリヴィアも家の中に入ってきた。

 三人の髪はしっとり濡れていて、いつもと少し雰囲気が違う。

 ディックは少し顔を赤くして、三人から目線をそらした。


「三人ともおかえり。次は俺たちの番か」

「先に入らせてもらってすまないな」

「仕事の依頼人に先に入ってもらうのは当然だろ、気にすんなよ」

「ありがとう」


 オリヴィアはお礼を言いながら、眉を下げて微笑んだ。

 今まで凛々しく吊り上がった眉が下げられると、オリヴィアは、普段のきつい印象が一変して、優しそうな顔の美人になった。


「あんな顔もできるんだな……」


 ディックは、しばらくの間オリヴィアに見惚れていた。

 そんなディックの腕がグイっと引っ張られ、ディックは我に返る。

 引っ張られた腕を見ると、自分の腕を掴んでいたのはベルナだった。


「ねぇねぇ、リカルドさん、オリヴィアさんにだけ優しいと思わない? ずるくない?」

「はぁ……。それはベルナの日ごろの行いのせいで、ベルナに対して当たりが強いだけだろ?」

「えー、そんなことないって! 絶対私たちに対する態度と違うよ。 ね、アリアちゃんもそう思うよね?」

「別に」

「じゃあ、サイラス君は?」

「……」


 突然話を振られたサイラスは、困ったように首を傾げた。


「おい、ベルナ! サイラスをいじめるなよ。ディックとサイラスは風呂の準備しろ」


 その一言でベルナから解放されたディックとサイラスは、それぞれ支度をする。


「リカルドさんは、私のことが嫌いなんだー」

「めんどくさいからやめろ」

 

 ベルナの嘘泣きと、それを適当にあしらうリカルドの声を聞きながら、ディックはラリマーで滞在中に調達していたカバンの中で、衣服と剣以外のものを下の方に押し込んで、カバンを肩にかける。

 サイラスも準備ができたのか、リュックを背負った。


「皆さん、準備ができたのであればご案内いたします」

「あぁ、頼む」


 リカルドの返答を聞いたヴィンスが扉を開け、男性陣は温泉に向かって出発した。

 村の近くは、焚き火のおかげで明るかったが、しばらく行くとその大きな明かりはなくなり、ヴィンスが手に持っている小さなランプだけが光っていた。

 しかし、道がしっかり整備されているおかげで迷うことはなさそうだ。

 ディックは、その道が気になるようでキョロキョロと辺りを見回していた。

 そして、何か思いついたのか、前を歩いていたヴィンスの肩を掌でトントンと叩いた。


「そういえば、山の道も整備されてたけど、あれってヴィンスさんたちがやってんの?」

「そうです。あの道は私たちが麓の町に買い物に行くときにも使うので、ついでに」


 ディックの質問に、ヴィンスは優しく答える。


「へぇ、やっぱりそうなのか。麓の町っていうとラリマー?」

「えぇ、ラリマーともう一つ、逆側に農業の盛んな町があるんですが、その二つの町にはよく行きますね。皆さんはラリマーから来られたんですか?」

「そうだよ」

「水害があったと聞きましたが、大丈夫でしたか?」

「まぁ、なんとかな」


 答えたのはリカルドだった。


「そうですか、ご無事でなによりです。さぁ、もう着きますよ」


 ヴィンスがそう言って指さす先には、木々に囲まれた池があった。

 ただし、その池の底は薄っすら赤く光っており、普通の池とは違う。

 

「すっげー!早く入ろうぜ!」


 ディックはそう言うとその池に駆け寄っていった。

 それに苦笑しながらも、ヴィンスやリカルド、サイラスもそれに続いた。

 そんな四人を急かすように、冷たい風が四人の近くを吹き抜けていった。

お読みいただいて、ありがとうございました。

また読んでいただけると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ