緑に囲まれた山道で 2
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やっと山頂付近に差し掛かった六人は、疲れからかほとんど無言だった。
辺りは薄暗い。もう少しで日が暮れるのだろう。
そんな時、どこからか悲鳴が聞こえてきた。
おそらく男性の声だ。
「今のって悲鳴だよな?」
「あっち」
立ち止まったディックたちを置いてアリアが駆け出す。
「おい、アリア、一人で行くな!」
「えー、ここでも人助け? もう、めんどくさいなー。こんなとこに置いてかれるのは嫌だし、ついていくけどさ」
「サイラス、私たちも行くぞ」
「え、あ、おい、ちょっと」
みんなが次々とアリアを追いかけていく様子を見て、ディックも慌ててそれに続いた。
少し走ると、開けた場所に出た。
そこには、一人の男性とモンスターが向かい合っていた。
男性は腰を抜かしたのか、尻餅をついた状態から動けないようだ。
モンスターの方は、じりじりと男性に近づいている。
「風熊」
そう呟いてアリアが武器の斧を構える。
「風熊!? 出会ったら逃げろって言われてるモンスターじゃねぇか! 本当に戦うのか?」
「なになに? ディック君怖いの?」
「い、いや、そういうわけじゃないけど……」
「おい、ディックをからかって遊んでる場合じゃない」
リカルドの真剣な視線の先では、風熊が目の前の男性に向かって、手を振り上げていた。
その手には鋭い風をまとっている。
「うわぁ、あれはやばそう……。もう、仕方ないなー」
ベルナは足元に落ちていた小石を風熊に向かって投げつけた。
それは見事に命中し、風熊がぐるりと向きを変えてディック達をにらみつけ、走りだす。
風熊の狙いは、一番前にいたアリアのようだ。
いつも無表情のアリアも、自分に向かってくる大きな生き物に、驚いたように目を見開く。
それでも、とっさに斧を盾にして直撃を防いだ。
「真打登場ってね!」
ベルナが風熊に狙いを定めて向かっていく。
しかし、ベルナの双剣が風熊を切り裂くことはなかった。
ベルナが切りかかるよりも先に、風熊の頭が体から切り離されたからだ。
体から離れた頭はドサリと地面に落ち、一拍遅れて体も崩れ落ちた。
アリアの前には血まみれの剣を持ったオリヴィアが立っている。
断面から噴き出す血の雨がアリアと、オリヴィアに降り注いだ。
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