金と黒の訪問者 3
続けて読んでいただいて、ありがとうございます。
「もう出発できるか?」
四人が宿屋から出ると、出入り口の横に立って待っていたオリヴィアが、リカルドに問いかける。
「あぁ、支度は終わった」
「そうか。それなら出発しよう」
「その前にちょっといいか? 二人のアビリティを教えてもらえるか?」
「いいだろう。サイラスは土と土の混合で、重力を操ることができる」
「え、重力? 混合の中でも強いって言われてるアビリティじゃん! 本当に私たち必要なの? まぁ、いまさらキャンセルされても困るけどさー」
驚きの声を上げたベルナが疑問を口にした。
他の三人、いつも表情が変わらないアリアでさえ少なからず驚いた顔をしている。
「さっきも言っただろう。アビリティは強いが、まだまだ未熟なんだ」
「ふぅん。ま、暴走なんかしないように頑張ってね」
ベルナは自分よりはるかに高い位置にあるサイラスの顔を見上げて微笑む。
それにサイラスは小さく頭を下げて応えた。
「それで、オリヴィア、あんたのアビリティはなんだ?」
「私は無能力者だ」
オリヴィアは眼鏡を押し上げながら堂々とした声で答える。
「強そう」
アリアが呟く。
その呟きは、オリヴィアに届いていたらしい。
「剣の腕なら自信がある」
「やっぱり私たちいらなくなーい? まぁ、楽できそうでいいけどね!」
「いや、貴方たちの力は必要だ。今、王都周辺はルインのせいで荒れている。その範囲はどんどん広がっているんだ。用心するに越したことはない」
「ルイン?」
ディックが首を傾げた。
「ディック君ってほんとに何も知らないんだねー。そんなところも可愛い」
「おい、やめろよ」
ベルナがディックの腕に絡みつき、ディックはそれを必死に振り払おうとする。
ベルナにくっつかれても固まらなくなったところを見ると、ディックも慣れてきているのだろう。
やっとのことでベルナを振り払ったディックは、頬を膨らますベルナを無視してリカルドに再び問いかけた。
「で、ルインってなんだよ?」
「ルインは国に反抗してる組織だ。最近あちこちで事件を起こしているらしい」
「国ってプロスティアのことだよな?」
「そうだ」
「じゃあ、ルインって外国の組織なのか」
「いや、ルインはプロスティア出身者で構成されてるみたいだぜ」
「なんで自分の国に喧嘩売るんだよ?」
「さぁな。たぶん何か気に食わないことがあるんだろ」
「そっか……。同じ国の中にもいろんな奴がいるんだな」
「一般人も巻き込まれてるみたいだし、お前も気をつけろよ」
リカルドがそう言うと、タイミングを窺っていたオリヴィアが声をかける。
「話は一段落したか? 一段落したなら、そちらのアビリティも聞きたいのだが」
「おう、そうだな。忘れてた。俺は、火と水の混合で蒸気を使う。ベルナは予知ができるが、それがアビリティなのかは分からない。そして、ディックとアリアは無能力者だ」
「無能力者?」
ディックとアリアを見るオリヴィアの瞳が鋭くなる。
「別に珍しくないだろ。あんたも無能力者だって言ってたし」
「……いや、強いという噂を聞いていたから意外だっただけだ」
オリヴィアは、ディックとアリアから目線をそらしながら眼鏡を押し上げる。
「アビリティだけが強さじゃない」
「そうそう! ディック君は置いといて、アリアちゃんはとっても強いんだから!」
「それは頼もしいな。では、そろそろ出発してもらってもいいだろうか?」
いつの間にか太陽は高く昇っていた。
「それじゃ、出発するか」
リカルドが歩き始めると、その隣にベルナが駆けていく。
そして、オリヴィアとサイラスが続き、ディックとアリアがその後ろからついていく形になった。
町を出る門のところには、どこで出発のことを聞きつけたのか、多くの人々が見送りに来ていた。
口々に感謝の言葉を口にする人々に、リカルドは軽く手を挙げ、ベルナは手を振って応える。
アリアは相変わらずの無表情。
ディックは照れているのか、ぎこちなく頭を下げた。
そうして、多くの人に見送られて、ラリマーの町をあとにした。
読んでいただいて、ありがとうございました。
続きは明日の夜に投稿予定です。
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